第14話 知らない番号から電話がかかってきたらまずググったほうがいい
プルルルルルル。
知らない番号から電話がかかってきた。
「誰だろ」
とりあえず電話に出る。
「ウチが幽霊だらけってマジ!?」
開口一番に叫ぶこの女性は、多分あの幽霊カフェの店長だ。
「どうせ今暇なんでしょ!? いますぐに来て!!」
酷い物言いだ。
こんな言われ方したら絶対に行きたくない――。
* * *
来てしまった。
来るつもりはなかったのに、あの後将太郎くんが鬼電をいれてきた。
「空太郎さんが来ないと俺が怒られるんすよ!? 俺のためにも絶対来てくださいね!」などと言い、一方的にガチャ切りされた。
色々考えたけど、将太郎くんのことを思うと気の毒になってしまったのだ。
店の扉を開こうとすると、ガラス扉越しに霊がいっせいにこちらを向く。
「シンクロ率
頭の中でエウァのオペレーターの叫び声が響く。
もう完全に萎えてしまった。
「いやー……」
戸惑っていると店長がこちらに気づき、小走りでかけてくる。
もう逃げられない……。
「遅い!」
「……すいません」
「で、どう? 今もいっぱいいる?」
「いますね。うじゃうじゃいますね」
「何人いる!?」
「1、2、3、4、5……。16人はいますね」
「は!? 人間は1人もいないのに満席じゃない!?」
「そうっすね……」
「もしかしてうちって霊のせいでいまいち売り上げ上がってないのかしら……」
「どうっすかね……」
心なしか落ち込んで見える霊たち。
何か皆で話しているようだが、何を話しているかまではわからない。
俺は昔から霊はうじゃうじゃ見えるのだが、霊の声は聞こえない。
ユキトの声も最初は聞こえなかった。
昔からあまりに霊に遭遇するので、霊を消滅させる裏技は知っているのだが、霊たちが落ち込んでいるように見えて憚られる。
「空太郎さん、どうっすか?」
ビビりまくっている将太郎くんがレジから出てくる。
「まあうじゃうじゃだよね」
「本気で無理っす……」
今にも消えそうな声で呟く将太郎くん。
鈴の音が聞こえ、入り口のほうを振り返ると、世里奈ちゃんが呆然と突っ立っていた。
「めっちゃたくさんいる!!」
世里奈ちゃんは一言そう叫ぶと、瞬間その場にへたり込んでしまった。
「世里奈!? 世里奈!!」
将太郎くんが世里奈ちゃんに声をかけるも反応がない。
失神しているようだった。
将太郎くんが世里奈ちゃんをお姫様だっこして、ソファ席に寝かせる姿をただ呆然と眺めていた。
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