第17話 …もういいや、好きにして。
炊けたお米「天上天下唯我独尊」は私でも分かる程に美味しくて驚いた。
「地球の神様、このお米でちょっと試してみたいんだけどいい?」
「兄であろう?構わぬぞ」
そう、お米が好きすぎてたまらないお米バカの兄ツネノリに食べさせてみたくなったのだ。
「ありがとう。んじゃツネノリ!すごいの行くよ!」
そう言って「天上天下唯我独尊」を送り付けてみる。
さて、そろそろ感想を聞いてみるか。
そう思ったところでツネノリは違っていた。
ありえない行動に出たのだ。
「千歳!なんだこれは!?今まで食べたどのお米様よりも旨いぞ!」
「はぁ!?なんでツネノリの声がするの?今私は神の世界に居て人間が神の世界と話すのはかなり大変なんだよ?」
あり得ない。
本当に規格外の事をしてきた。
「そんなことは知るか!このお米様の事を千歳に聞きたい一心で次元球を握りしめたら出来た!」
「嘘でしょ!?何なのウチのお米大使は…」
「千歳、この米の名は何と言うのだ?」
「「天上天下唯我独尊」だって」
「素晴らしい。このお米様はどこで手に入るのだ?」
「無理だよ」
「な…何!?何故だ千歳!」
ツネノリの困惑する顔が目にもの浮かぶ
「地球の神様がお米の神様に特別に頼んで作って貰ったブレンド米なんだってさ」
「そ…そこを何とかならないか?千歳の力で何とかならないか?何か千歳が支払えるもので何か手に入れる方法は無いか?」
「はぁ!?なんで私なの?」
何を言い出すんだ何を?
お前はもう27で一児の父だろう?
「俺では神の世界には行けないし、行って雑用をすれば貰えるのなら今すぐに飛んで行きたいくらいだ」
「マジかよ…」
「頼む千歳!多分俺は死ぬ前に食べたい物と聞かれたらこの「天上天下唯我独尊」をメリシアに炊き上げて貰い千歳が魚神に捕って貰った魚で作る漬けマグロ丼と言う程だ!」
「ええぇぇぇ」
ちなみにツネノリの執念は常軌を逸していて広場中に聞こえていた。
「これ千歳のお兄さんの声なの?」
なんてナースお姉さんが反応している。
「俺のお魚を死ぬ前に食べたいって言ってくれる人が居て嬉しいゼーッ!!」
お魚さんは泣いている。
「ツネノリ!欲しいの!?」
「アート!アートもいるんだな!頼む!俺に天上天下唯我独尊を授けてくれ!」
「地球のおじちゃん。お願い〜」
アートが地球の神様に飛びついてお願いをする。
「むはっ、アートに頼まれては断れぬなぁ。千歳よ、お前の兄も半神半人にしても良いかな?」
「はぁ!?無理!!」
何でお米ひとつの為にツネノリまで半神半人にせねばならないのだ?
ツネノリは綺麗で優しい奥さんと可愛い娘が居るパパなのだ。
まだ世界の為なら許せるがお米の為なんて言語道断だ。
「ふむ。米神に言わせるとブレンドが面倒らしいのだ」
「ブレンド米だからブレンドが面倒なの?」
私はそう言うと地球の神様はツネノリに話しかける。
「千歳の兄よ」
「はい!なんでしょうか地球の神様!」
「元になる「天地創造」「明けの明星」「天使の嘆き」「悪魔の大炎上」「終わらない明日」と言った米神が作った米を一粒単位で奇跡的にブレンドをすると出来るそうだ。
今回はアートの為にガーデンの神を真似て0と1の間を作ってそこに監き…ではない、招いて完成するまで頑張って貰ったのだ」
…なに?またこの人はそんな事をしたのか?
「はぁ?何やってんの?監禁して終わるまで帰さなかったの!?」
私は地球の神様に文句を言おうとするが「千歳、うるさい!黙っていろ!」とツネノリが怒鳴ってくる。
「地球の神様!それが出来れば俺にこの天上天下唯我独尊を与えてくださるのですか!?」
「それなら良いと米神も申しておる。だが残った米や失敗したからと捨ててはならぬのだぞ?他の米も米なのだぞ?」
「仮に天上天下唯我独尊のブレンドが不可能だった時、そうしたら俺は生み出されたお米も残ったお米も遜色なく食べ尽くして見せます!!」
…おい。
それメリシアさんが大事にしてるツネノリがメリアさんの話でルルお母さん達に覚悟を問われたときに答えた奴だろ。
私は追体験してそれを見たぞ?
「よし!その覚悟は見事だ精進すると良い。後で千歳に持たせよう。頑張るのだぞ」
「はい!ありがとうございます!!」
…もういいや、好きにして。
「面白い話だったね。ねえチトセ。ウチのツネノリにも為そうよ」
「ええぇぇぇ?」
黒さんが余計な事を言う。
「ふむコピーガーデンで試すと言うのだな。やるが良い」
それを聞いた地球の神様も笑顔で賛成しだす。
「…おーい。ツネノリさっきはありがとう。
うん。ちょっと凄いものを送りつけるからさ食べてみてよ」
この先は以下同文と書いても遜色ない話だった。
違うのは天上天下唯我独尊を食べたツネノリは瞬間移動で神の世界までこようとした。
「見える!今の俺には千歳が見える!あそこに行けばお米様に出逢える!」と言って飛ぼうとしていた。
慌てて東さんが止めてくれて助かったのだが、まさかそこまでの執念を見せるとは思わなかった。
ジョマと東さんと呆れながら慌ててしまった。
その後は何とか天上天下唯我独尊を手に入れようと画策して自分でブレンドすると言い切っていた。
「本当ウチのお米バカは…」
「米神が喜んでいるぞ?」
「でしょうね。お米の神様にはちゃんと監禁したことは謝りなさいよ」
「ああ、そうしよう」
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