第18話 今も本当に好きでなくてはならない人だ。
ナースお姉さん達も戦神も皆お魚さんの魚を大絶賛でアートも海鮮丼を喜んで食べていた。
足りなくなると複製神さんが複製してくれてみな心ゆくまで食べていた。
途中でお魚さんがツネノリに漬けマグロ丼をと言うので天上天下唯我独尊で作った漬けマグロ丼を差し入れたら「こんな幸せな事が許されるのか!?いやこの後で何かトラブルなんかに見舞われるのではないか!?」と泣いて喜んでいた。
それをりぃちゃんの力で見たお魚さんも「俺の魚でこんな泣いて喜んで貰えるなんてサイコーだゼーッ」と泣いていた。
「ちぃちゃん、お兄さん…娘さんが食べたがっているのに「済まない!いくらチヒロでもこれは!」って謝って娘さんが泣いて…」
「はぁ!?バカじゃないの?何やってんの?「千聖!聞こえる?千歳だよ!千聖の分は今から千歳があげるから待っててね!」」
そう言ってからツネノリにムカついたのでヒラメと鯛も漬けにして三色丼にして差し入れてあげた。
「千歳!酷いぞ!」
「どっちがよバカ!軽々しく神の世界まで通信寄越さないでよ恥ずかしい!」
「ねぇチトセ」
「試さない。常泰泣いたら可愛そうでしょ」
黒さんの言いたい事はわかる。
なんで姪っ子に続き甥っ子まで泣かさなきゃいけないんだ。
その後はタコ焼きもアホみたいに焼いた。
これに関しては戦神が隠れた才能を発揮していて器用にタコ焼きを焼き続けていてカリカリのフワフワに焼けていて上手だった。
タネの仕込みは私だがあんなに美味しくは焼けない。
あまりに皆から絶賛された戦神は「千歳、このタコ焼きはフナルナに広めてもいいか?」と言い出した。
「どうぞどうぞ。ジョマ、鉄板の作り方をフナルナに授けてくれるかな?」
「はい!喜んで!」
ジョマがフナルナを装飾出来ることに喜んでニコニコとする。
「ママ楽しそう」
アートがニコニコと喜ぶジョマを見てそう口にしていた。
「そうだよアート。
ジョマはこうやって皆を笑顔にする為に頑張っているんだよ。
頑張っている時が本当に楽しくて仕方ないの。
うまくいかない時に悲しむ人も出た事があるけどママは誰かを困らせたいんじゃないんだよ」
それを見て本当に嬉しそうにするアートを見れて私は良かったと思う。
そして皆も同じで顔を見合わせて笑顔になってしまった。
私は夕方に帰宅すると複製しておいたお刺身と海鮮丼を出しながらお父さんとお母さんに経緯を説明する。
「ツネノリの奴はまったく…」
「本当、千聖が可愛そうね」
お父さんとお母さんがやれやれと呆れる。
「じゃあお父さん、これ千聖にあげていい?」
私は出した刺身達を指差して聞く。
「何!?嘘だろ!?」
お父さんは世界の終わりみたいな顔をすると「親子揃ってまったく…」とお母さんが呆れながらつっ込む。
「お父さん、長生きをしたいみたいだから今日は休肝日にするならこのお魚は全部ウチで消費出来ます。拒むなら海鮮丼とお刺身半分は金色お父さんと千聖にあげます」
「くっ…何て残酷なんだ…。わかったよ」
苦しんだ末に休肝日を受け入れるお父さん。
魚好きだからお魚を使えば飲酒を控える。
「じゃあお父さんのお財布と家中のお酒は0と1の間に格納しておくからね」
「マジかよ、そこまでやるか?」
「大マジよ」
「千歳、ビリン君のところに行くの?」
「うん。待ってくれているだろうし神の世界に行きたいのを我慢して王様に頼んでくれたから行ってくるよ」
「じゃあよろしく言ってね」
「千歳、ビリン呼ぼうぜ?」
「呼ばないよ。ビリンさん来るとお酒が許されちゃうもん。じゃあね行ってきます」
そうして私が迎えに行くとビリンさんが「ご馳走様チトセ」と出迎える。
「へ?」
「父さんが複製しておいた海鮮丼を食べたんだよ。母さん達も大喜びで食べていたよ」
「あらら。じゃあこれは要らなかったかな?」
私はビリンさんと食べようと格納しておいたお刺身を見せる。
「いやいや、俺はそこまで読んでいるからお腹に余裕もあるしチトセ飯は食べ尽くしたい」
そう言ってニカっと笑ったビリンさんが手を出してくる。
本当に嬉しそうに私のご飯を食べてくれるから嬉しいし作り甲斐がある。
「おっと、ビリンさんのくせに」
「酷え。なあ…」
何を言いたいかわかる。
「うん。今日は一緒の時間が少なかったからセカンドに行こうよ」
「おう。のんびり魚を食べながら過ごそうぜ」
2人でセンターシティのホテルに泊まってのんびりと魚を食べながらゴロゴロする。
今日の出来事を話すとビリンさんは表情を変えながら適度な相槌をくれる。
「ツネノリさん、神の世界を目指せばいけるって事か…」
「天上天下唯我独尊が絡んだからだと思うけどね」
「あ、そんな気する」
「でしょ?」
「アートの事も何とかなって良かったな」
「うん」
「だがエクサイトだっけ?気になるな」
「うん。東さんを酷評した創造神崩れが作った世界」
「ああ、それもだけどさ」
「へ?」
「多分何らかのトラブルになると思う」
「そっちか…」
「俺達でも見てみたいんだ。神様やジョマならまだしもアートはな…」
「うん。私も考えてるよ」
そう、アートは東さんを酷評したメガネが創った世界を気にするだろう。
父が酷評されるほどにメガネの世界が素晴らしいのか。
それともまともな世界を創れないメガネが東さんを悪く言う事で保身しているのかもしれない。
そして見たがることを否定すれば暴走すると思う。
「チトセ、辛くても見守ってあげてくれないか?陰ながら助けてあげて欲しい」
「うん」
私が思っている事をビリンさんも言ってくれる。
ずっとこうして私の後押しをしてくれる。
「後さ、力の逃げ場がなくなるのは辛いかも知れないけどアートを守る時に手が足りなければ俺も神の世界に行かせてくれよ」
「えぇ、必要無いと思うよ?」
「それでもさ。アートは俺たちで守ろうぜ」
「うん。わかったよ」
6年前にアートを守ると言った事を今も守ってくれている。
律義で誠実で…今も本当に好きでなくてはならない人だ。
嬉しい気持ちで顔を見てしまう。
そうするとビリンさんが何かを思い出した顔をして私を見る。
「あ、そうだ。ゴメン」
「は?」
「昨日の赤ん坊の話を意識してたら母さん達にバレた」
「はぁぁぁぁっ?」
「ウチに残ってたサエナの着替えを手に取って見てたら母さん達に見られて…
「おやおやおや?ビリンはパパになりたいのかな?」
「やっとチトセさんのお許しが出たのかしら?」
「やだ!どうしよう!待ち遠しい!」
って言われた」
「絶対にあれこれ言われる奴じゃん」
「ゴメン」
「仕方ないなぁ」
私はビリンさんに呆れながらキスをした。
そして「赤ちゃんは授かり物だから流れに任せるからね」とだけ言った。
真っ赤になったビリンさんは「よろしくお願いします」と言う。
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