第15話 知らない女神の名前が出てきた。

そう言えばメガネが気になることを言っていたのでりぃちゃんのところに行く。


「りぃちゃん」

「何?ちぃちゃん?」


「メガネが世界を作っていたの?」

「あ、その事?うん。大体5年前にね。

創造の力を失いかけていて失わないように世界を作ろうとしたけど周りの評価とか損得を気にして最後まで作れないでいたの」


「それなのに作ったの?」

「うん。女神ジルツァークって人に頼まれて作ってたよ」


知らない女神の名前が出てきた。

基本的に神の世界で神は、戦神は戦神と言う名前だったりフナルナと言う世界を作った事でフナルナの神と呼ばれたりする。

それなのに何の神かも言われずに「ジルツァーク」と言う名前なのが気になった。


「ジルツァーク…、それってなんて世界?」

「エクサイト。メガネはジルツァークに頼まれてエクサイトを作っていたよ」


「エクサイト…」

「気になるの?」


「ちょっとね」

やはり名前も含めて何もかも気になる。


「ちぃちゃん、伝達してもいい?」

「うん。何?」

そう言う私の脳内にはヨタヨタと歩くメガネの前に立つ東さんとジョマが居た。

私は慌ててりぃちゃんを見るとりぃちゃんは少し困った顔で「メガネが仕返ししないか気になっていたから見ていたの。そうしたらイィト様とジィマ様が現れたの」と言う。


「君が僕に何を思おうが構わないが僕の娘は無関係だ。関わらないで貰いたい」

「僕は何もしてないさ。たまたま昨日は君の娘が僕の居る所に通りがかって君を知る旧友が居ただけだよ」


この瞬間に東さんがメガネを睨む。

その顔には恐ろしいまでの怒りが居た。

東さん、東京太郎は本来恐ろしい神だ。

戦う場面は見たことがないが、10年前王様と私が本気で剣を飛ばしている中を平然と入って行った事がある。並の神には回避不可能の私と王様の剣。1人で出した剣すら回避不能なのに2人で出したそれを平然と回避したのだ。

そして並の神なら殺せる力を持つ私達、ゼロガーデンの皆の攻撃で敵になった神が死なないように防壁を張りつつ防壁の余波でガーデンが壊れないように世界も守り切れる。

それだけの力を普段は隠している。

知り合って10年になるがその理由は知らない。


その東さんは創造に全てをかけているからこそ、創造の事を考えればこそ周りの神からの誹謗中傷も切磋琢磨の一環だと思い受け入れていた。

東さんは粗暴の神々に自分の世界を示威行為の一環で壊されても、創造すらまともにしない創造神達の誹謗中傷も全部自分が悪いからと思って全てを押し殺して心を壊すまで創造に繋げた。

その結果創造が出来なくなるまで追い詰められた東さんは地球の神様の世界…そう地球に身を寄せて居たほどだ。

それでも本能に抗えなかった東さんはこっそり作ったゼロガーデンでお父さん達との出会い、私やジョマとの出会いで変わった。そしてアートを授かったことで更に変わった。

だからこそ東さんは怖い。

睨まれたのはメガネだが私自身が震えあがってしまう。


「言葉遊びは不要だ。君はただ僕の娘に、僕の身内に近付いて余計な事をしなければいい」

「たまたま道端で会っただけなのにどうしろと言うんだい?そんなだからいちいち細かい事を気にして周りから弄ばれて世界を壊されるん…」

メガネは最後まで話せない。


隠匿された光の剣が24本飛んできてメガネの足をこれでもかと串刺しにしていく。


私は慌てて王様と黒さんを見ると2人とも微笑んで「当然だろ?」「仕返しなんて考えたら痛めつけようと思って隠しておいたのさ」と言うし隠匿神さんが「私が教えたんだよ」と照れながら言う。


痛みに蹲るメガネ。

ジョマが前に出るとつま先でメガネの顎を持ち上げる。


「これ以上私の京太郎と私のアートに何かしたら本気で叩き潰すわ。覚悟しなさい。私は京太郎程優しくない。京太郎は優しすぎるから最後の最後で踏みとどまるけど私は踏みとどまらない。もう一度言うわ。叩き潰す」

そう言ってメガネの顎から足を退かすと東さんの手を引いて連れて歩き出す。


「隠匿神、メガネも隠匿してよ」

「粗暴神と同じ感じでいいよ」


「王様?黒さん?」

「ちぃちゃん、魔王さん達は隠匿神さんに頼んで気絶した粗暴神を隠匿の力で周りから認識できなくしたんだよ」


「はぁ?じゃあ今もボロ雑巾になっていて誰も助けられないんだ」

「うん、すごい事考えるよね」

「へへ、千歳とリリオに褒められた。嬉しい」

隠匿神さんが照れ笑いをすると東さんとジョマがくるのが見えた。

顔は暗いのを誤魔化しているのがよくわかる。


「東さん、ジョマ」

私が先に近寄るとジョマが泣きながら抱きついてくる。


ずっと我慢していたんだよね。

本当なら暴れてこの世界ごと叩き潰したかったんだよね。

私はわかっているよと心で言う。

言葉が届くかは気にしない。

他人に聞かれるよりは思ってもし伝わったらいいなくらいで丁度いい。

そんな気持ちでジョマの背中をさする。

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