第10話 アートの涙の1万倍は苦しんで。
「ちょっと来てよ!」
王様が声を荒げると目の前に呼び出されたのはりぃちゃん→リリオだった。
「あれ?ここは神の世界?魔王さんに戦神にお魚の神と複製神さん?それとちぃちゃん?」
「リリオ、アートがこのバカと後2人にいじめられたんだ」
驚くりぃちゃんを無視して王様が話を進める。
「え?アートが?何でですか?6歳の子供ですよ?」
りぃちゃんの目が三角になる。
それは初めて見たけど怖い。
「何があったか追体験してみると良いよ」
そう言われてりぃちゃんがメガネを睨むとワナワナと震える。
「テッド!今すぐ来て!大至急!待った無し!」
そう怒鳴ったりぃちゃんはとても怖い。
りぃちゃんはその後で王様を見る。
「魔王さんは優しいですね」
「だろ?それなのにチトセってばさぁ」
「ちぃちゃんも怒っていたからやりたかったんじゃないですか?」
「でもトキタマがチトセの剣が汚れるって言うから僕が代わりにね」
目が怖いが笑顔のりぃちゃんは王様と談笑をした後でメガネを見る。
メガネはりぃちゃんに何かを感じて怯えた声を出す。
「ヒィッ!?」
「よくもウチのアートをいじめてイィト様とジィマ様を侮辱しましたね。許さないから」
そう言ったりぃちゃんの目は怒っていた。
看破と追跡のスペシャリストになったりぃちゃんは本気で怒っている。
「りぃちゃん…」
「ちぃちゃん、追体験で見たよ。アートの泣きそうな顔。頑張って目に涙を溜めて歯を食いしばって何とかその場から逃げ出そうとしたのに逃がさないの、泣きそうな顔すら笑ったこいつらを私は許さない」
その瞬間私の脳内に涙を堪えるアートの顔が浮かぶ。
「りぃちゃん!?これ!!」
「うん。後はちぃちゃんに任せるよ」
許せるわけがない。
私がメガネを睨みつけるとメガネは縮みあがる。
知らない。
さっきまでの怒りが馬鹿みたいだ。
「ムカつく。
でも怒るのも馬鹿らしい。
苦しんで。
アートの涙の1万倍は苦しんで。
ううん。苦しめる。
拷問釘【アーティファクト】」
私は拷問釘を3ダース程作って1ダースずつ刺して根を広げてから爆破をする。
そして爆破した瞬間に次の釘を刺して根を広げる。
止まらない。
止めさせない。
「トキタマ君、剣じゃなきゃいいよね?」
私は一応トキタマ君に確認を取る。
邪魔をされたらたまったものではないからだ。
「はーい、オッケーですよー」
トキタマ君が嬉しそうに返事をする。
その間もメガネがヒーヒーと煩い。
この点ではまだ覗きの神の方がマシだった気がする。
「アンタ煩い。千歳檻【アーティファクト】空気も抜くね」
頭だけヘルメットみたいに出した千歳檻でメガネを封じると空気を抜く。
空気が無ければ静かでしょ?
メガネは紫色になって苦しそうにもがいて暴れる。
爆破が辛いのか空気がないのが苦しいのか知らない。
その後ろでりぃちゃんは絶賛怒っていた。
「テッド!まだ!?なにやってんの?はぁ?私がどこに居るかわからないの?神様の世界だよ!何で怒っているか?そんなの私達のアートがいじめられたからよ!そう!やった奴を痛めつけるの!私の代わりにテッドがやるの!今すぐ来て!」
そう言われて現れたテッドは血まみれの広場で起きている事を見てドン引きする。
「来たぞ。
だが、これは何だ?魔王とチィトと神々と戦神?
誰に何を聞けばいい?」
テッドがりぃちゃんに確認をする。
「聞く必要ない!伝達するから、私の怒りをうけとめて!テッドの怒りをコイツらに思い知らせて!」
「了解だ」
テッドはりぃちゃんと手を繋ぐと全てを見たのだろう。
「退けチィト!!」と言って両手に炎の剣を持つと私の檻ごとメガネを切り刻む。
メガネは新鮮な空気に溺れて咳き込むがテッドはお構いなしにこれでもかと斬り刻む。
「そこだ!やれ!いいぞテッド!止まるな!もう一声!!」
りぃちゃんはニコニコとテッドを応援する。
ひとしきり斬り刻んだテッドは満足そうに剣をしまうと「子供を泣かせて何が楽しい?自身の愚かさと子供にしか勝てない事を証明して何が楽しい?」と見下ろしながら言い捨てる。
「流石だねテッド。それでさリリオ。残り2人のバカを見つけてよ。リリオならどこに隠れようとも関係ないよね?」
王様が嬉しそうに聞く。
「はい!任せてください!さっき看破と追跡で粗暴な神の姿は見ました。
でも陰湿で陰険で粗暴な嫌な感じの奴です。関わらない方が幸せな奴です」
りぃちゃんが聞いても居ない事を言ってくる。
そんな事までわかるようになったの?
「へぇ、また凄くなったんだね。
リリオはそこまで見えるんだ。
どうしようか?」
「私ならテッドとちぃちゃんと魔王さんと黒魔王さんに居場所を送るので気が済むまで光の剣で斬り刻みますかね。
後は2人共周りに仲間の粗暴な神が居ないと大人しいタイプみたいだから私なら各個撃破しますね」
「ふーん。じゃあさもう1人の僕を呼ぼうか。トキタマ、黒い僕を呼んでよ」
「ハイですー!」
そうして呼ばれた黒さんは不満気だったが私達の顔つきと広場の惨状を見て「どうしたの?何があったの?」と聞く。
こういう時の王様と黒さんは頼もしい。
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