第9話 私は邪魔が入った事で面白くない。
「白々しい!死ね!」
そう言って放った私の光の剣はメガネには当たらなかった。
突如現れた12本の光の剣が私の剣とぶつかり合う。
妨害が入るなんて思わずに放っていた剣は簡単に弾かれてしまう。
この剣は誰だかわかる。
もう10年の間何回も衝突をしている。
「ちっ!王様!?」
「そうだよチトセ」
そう言って私の横に現れたのはビリンさんのお父さんでもある王様だった。
「トキタマから事情は聞いていたし帰宅したビリンから代わりに神の世界でチトセを止めてくれって頼まれたからね」
そう言って王様は左手を前に出すとその手に元アーティファクト「時のタマゴ」の小鳥、トキタマ君が降り立つ。
「不思議ちゃん。おはようございます」
トキタマ君が普段と変わらない愛らしい感じで挨拶をしてくる。
「おはようトキタマ君」
私は邪魔が入った事で面白くない。
「怖い顔はやめてくださいよー。不思議ちゃんが怒らなくてもいいんですよ?」
「何それ?王様退いてよ。私はソイツに用があるの」
「こんなのを斬ったら不思議ちゃんの剣が汚れちゃいますよ。ここはお父さんにお任せしましょうよ」
「そうだよチトセ」
そう言った王様は眼鏡の創造神崩れの前に立つと右手で軽々と首を持って持ち上げる。
複製神さんは王様が掴む事に合わせて手を放す。
「え!?くる…苦し…苦しい」
「やあ、10年前にも散々痛めつけて6年前には命を助けてあげたのにまだバカみたいな事をするんだね。また痛めつけてあげるよ」
王様の冷たい声。
「な…ぼ…そん…」
「何?わかんないや、何で僕がそんな目にかな?大丈夫、殺しはしないよ。神殺しは御免だからね。
でも僕は除き変態趣味の神を散々痛めつけた経験があるから死ぬギリギリまでは痛めつけてあげるよ。
よくもウチのアートを泣かせたね」
「僕は全部見ましたからねー」
王様の言葉にトキタマ君が畳みかける。
そうか、トキタマ君は昨日見ていたのか。
「な…の…けん……」
「何の権利かな?あるよ。君は地球の神が決めた取り決めを破ってジョマを侮蔑の言葉で呼んだのだからね」
そう言うと王様の剣が縦横無尽にメガネを斬り刻む。
「ギィィィッ」
眼鏡が苦し気な声を上げる。
それを見てトキタマ君が嬉しそうに「お父さん格好いいです!」と喜ぶ。
辺りにはメガネの血が飛び散る。
しばらく斬り刻むと王様が剣を止める。
わざわざ皮一枚手前で止める芸の細かさがヤバい。
私はやれて3ミリ手前だ。
ここが同じ半神半人でも違う。
「さて、ここでやめるか続けるか、これ以上をするかしないかは君次第だ」
「へ?え?や…やめ…やめて…」
メガネが必死になって懇願する。
「違うよ」
王様がそう言うとメガネは更に斬り刻まれる。
「ギィィィッ」
そしてしばらくすると手を止める。
「さて、どうする?」
「な…何を?」
今度は余計な事を言わずに慎重に話すメガネ。
「簡単さ。君はここで残り2人の神の事を話してこの後は自分の分の罪を支払えば終わり。
残り2人を庇い倒して2人の分も罪を償うかだよ。あ、ちょうど良いところに治癒神がいるね。僕の支払いでどんな目に遭えるか聞いてみなよ?」
そう言って王様がメガネを投げ捨てる。
投げ捨てられたメガネはナースお姉さんに聞く事なく一目散に逃げようとする。
悪手だ。
そんな甘い考えで王様から逃げられるわけがない。
「バカな奴だ」
王様がそう言うと右の足を切り落として左の足の甲に剣を突き立てる。
突然の事で何が何だかわからないメガネは転がりながら事態に気づくと「ヒィィィッ、あ…足、足?僕の足がぁぁぁっ」と叫び出す。
王様は前に出て足を拾うと「そうだよ。足だよ」と言って渡すとそのままナースお姉さんに拷問の日々を説明させる。
…まだ終わってない覗きの神に対する拷問の日々。
地球の神様の見立てだと後1年くらい刑期があるらしい。
聞いていて真っ青になるメガネ。
「さて、言うかい?」
王様が不気味なくらい優しくメガネに問いかける。
「し…知らないんだ。どこにいるか知らない」
メガネが涙ながらに答えると王様は舌打ちをしながらお魚さんに「お前なら呼べるよね?ちょっと呼んでよ」と言う。
「NO!俺は奴らとフレンドじゃないから無理NO!」
「ちっ、面倒だな。複製神は知らないの?」
王様は周りの神々に聞くけど皆関わりたくない感じなのと本当に知らない感じで話にならない。
「くそっ、プロに頼むか」
「プロ?」
私は王様の言い方が気になって聞き返してしまう。
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