第6話 お酒やめれば長生きなのにね。
「千歳様、ありがとうございました」
「ううん。アートの事は私がやるから安心して。それで東さん達が必要になったら呼ぶからそれまではアートを見守ってあげてね」
「済まないね千歳」
「いいって。ウチこそお父さんがワガママ言って迷惑かけたよね。ごめんね」
「いやいや、お爺ちゃんの平和な悩みさ」
「お爺ちゃん?千聖になんかあったの?」
「いいえ、千聖様も常泰様も何の問題もありませんよ」
「お爺ちゃんは長生きして千歳の子供とも遊びたいそうだよ」
「何だそれ。お酒やめれば長生きなのにね」
私は呆れて笑ってしまう。
千聖はツネノリとメリシアさんの娘で私達にあやかって千の字と聖の字でチヒロと名付けられた。
ルルお母さんは名付けに反対せずに賛成までしてくれていた。
私としてはガーデンの命なんだから千聖にしなくてもと思ったのだが皆賛成だった。
メリシアさんの本来の身体を持って生まれた千聖はメリシアさんによく似たクリクリした目が印象的な美少女だ。
常泰はコピーガーデンのツネノリとメリアさんの息子で千聖とほぼ同時期に生まれてきた。
皆を集めてお祝いをしてしまった時は楽しかった。
「千歳様、ありがとうございます!男の子も欲しくなりました!」
「私は女の子が欲しいです!」
産後でヘトヘトのはずなのにメリシアさんとメリアさんが鼻息荒く言っていて母って凄いなと思った。
「じゃあ明日神の世界に行くね。報告するまで覗いちゃダメだよ」
話を戻してジョマと東さんを見るとジョマが凄い顔をする。
「え?ダメですか?」
「ジョマは相手を半殺しで済まないでしょ?」
「はい!全殺しします!」
「ジョマ…、アートが可愛くてもお母さんとしての行動だよ」
「はい…。京太郎は平気なの?」
しょんぼりしたジョマが東さんに聞く。
「平気じゃないさ…。まだ6歳になったばかりのアートに絡んだ狼藉者は許せないさ。だから千歳にお願いをしたんだよ」
その顔は正直怖い。
東さんは優しい面持ちと物腰で周りが勘違いするが怒ると誰よりも強いし怖い。
「うわ、神様怖っ」
「ビリンはいいから飲み足りないから付き合えって。千歳ー!千明ー!つまみー!」
トイレから戻ってきたお父さんがビリンさんに絡みながらテーブルに着席する。
「あー、酔っ払いうっさい」
そう言うとジョマ達が笑う。
アートは東さんが神の力で私の部屋から呼び寄せる。
「じゃあ千歳、本当に今日はありがとう」
「千歳様、ありがとうございました」
そう言ってジョマと東さんはアートを抱っこすると帰って行った。
「お父さん、長生きが目標ならお酒控えなよね」
「無理だって。ビリンが居る日は飲んでも許される日だろ?」
「え?そうなんですか?」
「そうなんだよ。千明!酒とつまみ!」
バカみたいなやり取りは日付を跨ぐまで続いてビリンさんはウチで泊まることになった。
朝ごはんはハヤシライスのルーを使ったホットサンドにした。
ビリンさんは美味いと喜んでくれた。
食後にビリンさんはお城に帰ってもらって私は神の世界に行く。
「チトセ、終わったらウチ来るだろ?」
「うん。そうするよ。でも何で?」
「顔、行く前から戦闘モードになってる。終わったらウチでのんびりと過ごそうぜ?」
「おっと、ありがとう」
「いいって事よ」
ビリンさんはそう言うと私にキスをしてからお城に帰る。
私は合わせるように神の世界に移動をした。
とりあえずお魚さんだな。
神の世界に着いた私はトキタマ君を読んだが反応が無い。
多分ゼロガーデンかコピーガーデンに遊びに行ったんだ…。
仕方ないので広場を見回すと戦神が居た。
「戦神!」
「来たか千歳」
「へ?」
「アートの事であろう?」
戦神は私が来た理由をわかっていた。
「ジョマが乗り込んでこなかったから千歳が来ると思っておった」
「あ、確かにそうなるね。それで、戦神に聞けば全部わかるの?」
「いや、私はアートを助けに乗り込んだだけで何がどうしてそうなったかは友情神の方が詳しいだろう。奴も千歳を待っていたぞ」
そう言われて私は戦神に連れられてお魚さんの家まで行く。
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