ファイル14 夢なら意味不明でもいいかな事件

 ・・・■■・・・


 辺りはお花畑だった。


「はぁい、鈴先輩のおっぱい」


 トラック運転席■■■■ピエロなアイリが現れて言うが、私は下品なアイリを無視して口を開く。


「……これ、夢でしょう?」


「夢だったとして、あなたが眠っているという証拠はありますか?」


 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。


「私、そこそこ巨乳だけど?」


「ならば結構!」


 けっこうなんだ。


 ■■■■。


 その日は夏休み中盤のはずだったが、妙な夢だ。


 ■■■■。


 ■■■■■■■■。


 気づけばアイリは、やたら露出の多い、西洋風衣装で、■■■■■■■■■■■■■■■■■■。


 ■■■■■■■■■■■■。


「この夢を終了させるには、犯人を逮捕しなければなりません。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■! つまり今日の鈴先輩は名探偵なのです!」


 ■■■■■■■。


「また、犯人逮捕すれば、この川を渡ることができます!」


「……■■■■」


 ■■■■■■■おっぱい■■■■■■■■■。


「じゃあ逆に■■■、私が犯人を逮捕できなかったら?」


「■■■■■、私と恋人関係になります」


 なに、その条件。


 ■■■■■■■■■■■■。


「鈴先輩、ゲームをしよう」


 Xファイルと書かれた■■■■■■■■■■■■、説明を始める。


「被害者は森井鈴さん、■■歳。女子高生のかたわら■■■で生計を■■■■■」


 被害者、私じゃん!


「■■■■■■、密室の湯けむりプールで殺され■■■■」


 ■■■■■は■■死、■は頭から血を流し、ビキニの水着を着て、プールにぷかぷか浮いている。


「お金が欲しい。彼女が欲しい」


 死体は言う。


 ■■■■。確かにこの死体は私だ。


「このプール唯一の出入り口である脱衣所には、■■■■■死■■■■■モリアーティ■■■■■■■■■■■■、不可能です」


 ■■■■■■■■■■ブラジャーとパンツ■■■■死■。


 ■■■■■■■■。


「そして、■■■■四十度という真夏日■■■■■■■■■■■■■死です。■■■■■■」


 ■■■■■■■■■■■■。


「ふむ……■■■■」


 私は唸る。


「これで、一通りの状況説明は終了■■。では、次は容疑者説明と事情聴取■■■」


 私は言われて、■■■■■■■■


 容疑者は総勢五十人以上いるらしい。


 ■■■■■■■溺死■■■■■■■


 最初に話を聞いたのは、被害者のひいおばあちゃん。


 そうアイリは紹介して、■■■■■。


 被害者の祖母ということは私の祖母だが、会ったことない。


「私は巨乳■■」


「……」


 次に話を聞いたのは、被害者のひいひいおばあちゃん。


「……私は、スレンダー■■」


「……」


 そして次に話を聞いたのは、被害者のひいひいひい■■■■■ひいおばあちゃん。


「私の胸は■■■■■■■■。腰は■■■■■■。尻は■■■■■■■■■■■■」


 どのババアも役に立たない■■■■■。


 次は■■■■■■■■■■■溺死■■■■■■■■■■■■死■■■■■■■■■■■■。


 私はため息をつくが、これで一通り■■■。


 だが、理解でき■■■■■。


 溺死? ■■■死?


 だが、ふと気づけば■■■■■■■■■■■■


 死神だ。


 川向うのトラック運転席に、死神がいる。


 いや、死■■■■■死■■■■■。


 あれは被害者をお迎えに来ているだけだ。


 だが、そんなことを■■死■■■いたら、閃いた。


 ■■死■■■■■■■事故■■■■。


 事故!


 ■■死は■■■事故■■が死■■■死。


 そういうことだったのか!


 ■■はいつも一つ!


 ■■■■■の名にかけて!


 まるっとすりっと■■■■!


 ■■■■■をご案内します。


 ■■■死■■■■死■■■死!


 私は慌てて■■■■死!


 ■死■■死■■■■■■■■死死■■■■■■■死■■■■■死死死■■■■■!


「犯人はパプリカを使った■■死!」


 私は犯人に向けて指を■■。


 ■■死■■死■死!。


 ■■■■!


 死死!


 ■死■■死■死■■死■■■死■■死■■死■死!


「■■死■■死■死!」


「■死死死!」


「死死! ■■死死死死!」


 死死死死死■■死死死死死死死死死■■■死死死死死死死死死死死死死■■■■■■。


 死死死死死死死死死死死死■■死!


「死死死■死死!」


「死死死!」


「死死死死死!?」


「死死死死死死死死死死死死死!!」


「死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死!」


 死死死死死死。


 死死――


 死死死死!


「死死死死死死死死死死死死!」


 死死死死死死!


 死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死!


 死死!


「        !」





 ・・・本編・・・



 目が覚めた。


 うっすらとした光を浴びた天井が目に入る。


 だが、自宅や学校などではない。


 また、変なことに私を囲むようにしてカーテンレールがある。


 そして、私が寝ていたのはちゃんとしたベッドである。


 まあこんな条件が揃えば、ここがどこかは明らかだ。


 ――病院である。


 妙な夢を見たからちょっと頭が働きにくいが、ちゃんと思い出せる。


 私はトラックに轢かれたのだ。


 アイリや果南たちとプールに行った帰り道で。


 正直、その時の痛みは覚えておらず、すぐに気絶して今に至るがが、今は身体の節々が痛かった。


 さて、今は何時だろうか。


 窓から指す光からして、真っ昼間ではないだろう。


 朝か、夕方か。


 私は身体をゆっくり起こそうとする――と、布団に重しがあり、起き上がれないことに気づく。


 重しがあったのだ。


 重し――私のベッドに突っ伏す少女――凛がいたのだ。


 寝てしまっているようだが、その寝顔は心地よさそうには見えない。


 目元も赤く腫れ上がり、髪はぐしゃぐしゃになっている。


 私は、なんとか腕を布団から引っ張り出し、その手を凛の頬に当てた。


 すると、夏だというのに、その頬はちょっとひんやりしていた。


 だが、その冷たさを感じて、私は安堵する。


 私は事故時の痛みは覚えていないが、私がふっとんだ直後のアイリと果南の顔は覚えている。


 ……事故に遭ったのは自分だが、あの顔はあまり見たいものじゃない。


 ただ、私がこうして凛の頬の冷たさを感じられるということは、私が生きている証拠だ。


 私が幽霊になって、もう一度あの顔を見るなんて展開はない。


 私は本当に安堵し、深い深い溜め息をついた。


 そしてついでに、凛を起こしてやろうかと思ったが、ふと改めて今の時間が気になった。


 今が夕方なら起こしても構わないだろうが、朝だったらもう少し寝かせてあげたい。


 ただ、見渡す限りでは時計なんてなく……。


「……スマホ」


 私は凛の手元を見て呟いた。


 凛はスマホを握りしめて寝ていたのだ。


 まさかこの顔でゲームをしていたとも思えないし(思いたくない)、きっと家族や果南たちと連絡を取り合っていたのだろう。


 ただスマホと言えば、以前何度かアイリにスマホを見せろと迫ったものだった。


 スマホに詰まった個人情報を見れば、アイリ=凛という疑いが明らかになると思い、そう迫った。


 まあ、それはアイリの必死の抵抗で阻まれたが。


 ……そういえば、凛のスマホは見たことがなかった。


 それに、ここ最近は凛も私を警戒しているのか、私の前でスマホをいじっているのを見ていなかった。


 そのせいか、いつの間にか凛のスマホは最新機種になっていたことにも気づかないでいた。


 贅沢な妹だ。


「そういえば、スマホには時計がついていたな……」


 私はわざとらしく呟き、凛の手元へ手を伸ばす。


 身体の節々が痛むが、ちょっと酷い筋肉痛と思えばなんとかなった。


 凛もスマホを強く握りしめていたわけではないし、スマホは難なく私の手の中に入った。


 そして、スマホの電源をつける。


 と、やはり家族らと連絡していたのか、LINEの画面が最初にでてきたのだが――


 私はスマホを操作する指を止めた。


 というのも、LINEのトーク中にある一枚の写真が目に入ったからだ。


 それは、どこにでもありそうな家族写真だった。


 白い家の前で撮られた、楽しそうな両親と娘の写真。


 ただ、その娘は、どこからどう見ても幼少期の凛。


 だが、両親と思しき人物は、私の両親ではなかった。


 また、こんな白い家を、私は知らなかった。


「……夢……か?」


 私は呟くが、身体の痛みは現実だと訴えていた。

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