毎日、赤いお屋根のスクールバスに乗って

通った学校も


いつか、思い出になっちゃうなんて


そんな事、思いもしないめぐたったけど


その事を、ルーフィと未来の自分に

会ったことで、気にしてしまっためぐは



ちょっとだけ、おとなになったのかな?



「おはよ」って


スクールバスで毎朝会う、クラスメート。


何気ない事が、しあわせなんだって

ちょっぴり、思ったり。



「おはよ、めぐ」って



いつもなかよしのクラスメートは

きょうは、ちょっと聞きたくないニュースを

教えてくれたりする。


「もうすぐ、プール開きね。」



スクールバスが、石畳の道を


ゆっくり、ゆらゆら。


長いお鼻を持ち上げて


坂道を昇りながら。



めぐは、ちょっと水泳がニガテだった。


なーんとなく、水着になるのが

恥ずかしいから。


女子校だから大丈夫、と言う事でもなくて

ちょっと、子供っぽい体型が気になってる、

そんな感じだった。




それで今年は、Megに会って

3年後、自分がそのくらいに成長するのかしら、なんて

面白い想像をしたりした。




物理的な寸法に大差ないのだが(笑)


気持ちってそんなものだ。



「もう始まっちゃうの、やだなー」と

めぐは、クラスメートには

ちょっと乱暴な言葉を使ったりもして(笑)



「そう、わたしは好き、泳ぐの」と

クラスメートはにこにこしながら

髪を後ろで束ねて、Chou Chouで止め直した。



もう、夏なのだろう。



見上げた青い空は、みづいろ。


白い雲はもくもく。


なにか、楽しい事が起こりそうな夏休みも、もうすぐ。




学校はすぐそばなので、ポプラのそばに

バスは停まる。


にぎやかに学生たちは降りて。



めいめいに校舎に散っていく。



1時間目は物理。


なぜか、理科系を一科目取る事になっている

面白い学校なので、いろいろ悩んで

物理を選んだめぐ。


失敗したかなと思ったけれど

いまでは、ルーフィとの会話に

物理の話が出てきたりするので


物理を選択してよかった、と思っている。


それに物理は、生物よりも覚える事が少なくて

楽だった。



化学よりも単純な感じがした。



図書館司書になるつもりのめぐは

仕事がそんなにないので


就職先が見つかるまで、小学校の先生に

なるのもいいかな、なんて

夢もあったりもして。



その時、理科が分かると

就職にも有利、とか


そんな事も、一応考える

賢い子(笑)だったりして。




今日の授業は、物体と運動式、のおさらい。


S=vit+1/2at2 v2=v1+at v22-v12=2as



なんていう式で、未来が予測できたりするのは

不思議だったけど、理論を教えてもらうと


なるほど、その通りと


納得できたりするのは、ルーフィにあった事で

未来、に興味を持ったせいもあったり。



きっかけは、なんでもいいのだけど。



それで、運動方程式概論を述べてみせると


のんびりした感じの理科教師、おじいちゃんで

ヨークシャーテリアみたいな感じの

かわいらしい先生が

「はい、よろしい、よく理解してるね」と

にこにこ、ほめてくれると


なんとなく、うれしかったりもして(笑)



きょうは、いい子のめぐだった。





-----------------

sent from W-ZERO3




近代の魔法



その頃、ルーフィはと言うと



薬をどこからか持ってくるよりも、大統領など

要人数名なら、神経回路を遮断すれば


可能かもしれないと考えていた。



再吸収阻害、つまり

人の神経回路は、ケミカルでつながっているので


一旦、回路をつないだケミカルは

すぐに、吸収されて次の機会に備えるように

できている。



例えば、さわやかな気持ちの風に吹かれて

丘を歩いていても

さわやかな風が止まれば、さわやか、と言う気持ちも

なくなる。



そんな時、この再吸収が起こっている。


つまり、ルーフィは


やさしい気持ちが起こる時のケミカル、

オキシトシンの再吸収を阻害するように

神経回路に働きかけよう、と

考えた。



直接、脳神経回路につながる部分を

止めてしまえばいいので


ナトリウム・チャンネルを変えてしまうように

魔法で働きかけた。


電気的なものなので、強い磁場をそこにつければ良い。



携帯電話で長く会話していると、腫瘍ができやすく

なるのと似たような仕組みだ。




後は、政府要人の居場所、3次元的座標を調べて

なるべく動かない、夜間などに

磁場を転送すれば良いのだ。





その調査は、かなり困難である。




「どうしよっかなー」と、こんな時も

ルーフィは軽快だ。




「国会中継してる時なら、そこにいるわね」と、わたし。


磁場は見えないから、それもいいかもしれない。



「ついでに、携帯電話に磁場を転送しよう」と、ルーフィ。


電話かけるたびに、優しさを思い出すなら

そんないいアプリ(笑?)売れるかも。




国会が開催される時間、首相はじめ

政府要人の座席を調べ、磁場を掛ける魔法を作成した。



割と、簡単なものだけれど

座標を絞って実行するのが、難しい。



「自動追尾させるのがね」と


近代の魔法は、まるで科学技術みたいだ。





-----------------

sent from W-ZERO3






それなので、標的になる座標を

位置ではなく、物質で指定して


小さな金属のようなものを、そこに転送した。



磁場は、それを目指して

自動追尾する。




設定はできたので、テレビの国会中継を見ながら


ルーフィは魔方陣を書き、その方向に


ひとつづつ、目標を転送した。



「これで、うまく行くといいけど....」









国会が始まり、法律の審議が進む。


提案されていた、消費税引き上げについて

大統領が「一旦見送り、検討をする」との

発言をして、国会はどよめいた。



「あれ、利いてるのかなぁ」と、わたしが言うと


「かもね」と、ルーフィは言う。


見たところ、テレビに映る政府関係者の顔は

みな、穏やかだ。



悪魔くんたちは、欲が少なくなった彼らの

攻撃エネルギーを食べているのだろう。



かなり食べごたえがあるらしく、満腹そうだ。


悪魔とて満腹だと、争う気持ちには

ならないらしい(笑)。



次々と、政治家たちの悪意を食べ続ける

悪魔くんの数は増え、国会じゅうに

ひしめいているようだった。



「あんなところに悪意が固まっているとはね」と

ルーフィは笑う。



「あの人たちも、死んだら地獄に落ちる筈だったのかしら」

と、わたしは思った。



「魔王も大変だなぁ」と、ルーフィ。



その、魔界の住宅事情(笑)改善に

手伝ったのだけど。






その代わりに、動物界には異変が起きていた。

魔界から転生した悪魔くんの生まれ変わりは


動物に憑依したりしている。


元々、人間界から

例えば、自ら命を絶ったりして

悪い人でも無かったり、そういう場合


転生して、動物になったり、などと

アジアで伝承されているように



魔界と人間界は、まったく断裂しているわけ

ではなく、その間に

動物界がある。



例えば、穏やかで、人の言葉が分かるような

犬は、転生して人間になったり


反対に、人間界を嫌って命を絶って


孤独を好む猫になったりする。


それに、悪魔くんが乗り移ると

よく言われる、化け猫(笑)になったり


奇妙に賢い猫になったり。



そんな事もあると

アジアでは信じられている。



その、奇妙に知的な動物が

増えているのは、そんな理由もある。












2時間目が終わって、中庭の花壇のあたりを

歩いていためぐ、は


花キャベツの畑に隠れていた猫を見つけた



白っぽいシルバー・グレー。

気位の高そうな、アレイ・キャット。


めぐは「かわいい...」なんて。


にこにこしながら、撫でようとした。




けれども、その猫は


めぐに宿っている天使の存在を感じ取っていた。



猫に憑依していた悪魔くんが、であるが。




それで、猫の体を借りて、少し

いたずらをした。



めぐの手、に猫パンチ(笑)の真似。




めぐは、手をひっこめたけど


「....ひとに、さわられたくないのかな。」


そんな風に思った。




ふつう、猫には好かれるめぐ、だけど


そうでない事は、はじめてで

ちょっとびっくり。



でも、それは化け猫(笑)だったから。




猫に憑依して、化け猫にしちゃってる悪魔くんは


めぐ、に宿っている天使さんの、柔らかな雰囲気に和んで「....こういうのも、いいものだな」と、思ったりもした。




魔界に居た頃から、戦いばかりで

思いられたり、優しさに触れた事などなく


今、はじめてそんな気持ちになった、悪魔くんは

生まれてからの行動を、少し思い返してみたり、した。








-----------------

sent from W-ZERO3


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る