並列時空間


spark☆



瞬間、わたしは飛ばされた。異空間へ。


こんどはルーフィの存在がしっかり感じられ、不安じゃなかった。




次の瞬間、わたしは絶海の孤島、切り立った崖の上の

草原で潮風に吹かれていた。


「どこ...ここ?」




傍らのルーフィは、ふつうの男の子の感じ。


「やっぱ、その方がいいねルーフィ。かっこいい」



と言うと、ルーフィははにかみ気味にうなづいた。



そういうところもイギリスっぽいなぁ、と思う。



東洋人ならそういうとき、否定っぽく首を横に降ったりするけど


イギリスの人はたいてい、うなづく。


表情に含羞を込めて、ありがとう、の意味で頷くの。



旅してると、いろんなとこで異文化を感じるけど

ルーフィもフォーリナーなんだなぁ、なんて(笑)「すごいとこに住んでるのね...お買い物とかどうしてるの?」


思わずつぶやいたら、ルーフィは、とっても可笑しそうに笑いながら

「君って、可愛いなぁ、ほんと」


って、そういわれると

悪い気はしないけど、でもそんなに可笑しいかしら。


午後の草原、でも不思議な光景。


平らな無人島に、草がいっぱい。


周りは崖。


端っこに、岩山みたいなお城がそびえてる。



こんなところに住んでいて、淋しくないのかしら。

あ、そうだ。テレビ映るのかな...



ルーフィに聞いてみようかな、と思ったけど


気づいた。ここはどこか遠くの時空間。


ひょっとしたら200年前かもしれない。



そう思うと、古城がとても威厳を構えているように見えちゃって。



足を踏み入れるのが少し怖い。でも、


「さあ、行こうね」


と、るーふぃはすたすたと歩いて行く。


後ろ姿もとっても素敵ね、なんて思いながら

でも、魔法の絨毯で行く訳じゃなくて

歩いてる魔法使いって、ちょっと可笑しいな、なんて思ったりもした。



その、お城の中はひんやりとしていて。


どことなく、人のいる気配が感じられない空間だった。


大きな、とてもおおきな

エントランスを歩くと、靴音が響いて、帰ってくる。

跳ね返る音にまた、残響が響く。でも、岩肌をくり抜いたような階段と、壁の雰囲気は

どこか、見覚えがあるような気がする。



どこだったかな...


あ、そうだ。編集部の入り口。


「ねえルーフィ、ここって編集部に似てない?」


と、なんとなく尋ねてみる。


彼は、振り向いて


「うん、そういう事ってあるんだ。全く違う時間、空間に似たような所があったりする。

つながっていたりするんだよ。」



...まさか。あの編集部がお城?


愉快な想像に、わたしは笑顔になった。



じゃあ、編集長は魔法使いさんかしら。


なんとなく、ほんわかしてるところは

魔法使いさん、って言うよりは中華の仙人みたいだけどな。



にこにこしながら、わたしは階段を昇ってゆく。


ごつごつした岩肌は、長い年月に触れて風化している。


階段の途中、大きな扉はくすんでいたけれど

スムーズに開き、その扉の向こうには

スクリーンで見たのと同じ光景。でも、岩肌をくり抜いたような階段と、壁の雰囲気は

どこか、見覚えがあるような気がする。



どこだったかな...


あ、そうだ。編集部の入り口。


「ねえルーフィ、ここって編集部に似てない?」


と、なんとなく尋ねてみる。


彼は、振り向いて


「うん、そういう事ってあるんだ。全く違う時間、空間に似たような所があったりする。

つながっていたりするんだよ。」



...まさか。あの編集部がお城?


愉快な想像に、わたしは笑顔になった。



じゃあ、編集長は魔法使いさんかしら。


なんとなく、ほんわかしてるところは

魔法使いさん、って言うよりは中華の仙人みたいだけどな。



にこにこしながら、わたしは階段を昇ってゆく。


ごつごつした岩肌は、長い年月に触れて風化している。


階段の途中、大きな扉はくすんでいたけれど

スムーズに開き、その扉の向こうには

スクリーンで見たのと同じ光景。そのお部屋は、スクリーンで見たのとそっくり。


「そっくりだわ」と思わずつぶやくと


ルーフィは楽しげに「そうさ、だってそのままだもの」と。

にっこりと笑った。


部屋は、サッパリ、なんにもない。


映像で見たベッドと、ライティングデスクのようなテーブル、書架。


魔術書、呪術書、歴史書、予言書、占星術書。

物理学書。


「いろんな本があるのね」何気なく、読みかけの本を見ると

それは、歴史民族に関わる予言書だった。


時間操作の方法論、かしら。

フランス語で書かれてるから、よく解らない。


「これを読んで、眠りに入ったのかしら」とわたしはひとりごとみたいに言う、彼は「そうかもしれないね。現実に流れている時間から退いた、とすると」




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