第四十二話 一持院胤光と鬼宿星――ワールド・トラベラーズ 5


 テートソーマ第一研究所――浜松町の一角にそびえる十三階建ての高層ビル。

 品川で下車し、辿り着いたころにはとっぷりと日も暮れていた。

 救国の英雄、その本社は宵闇の中でも煌々と照明で照らされ続けている。なのに人の気配は皆無で、どこかハリボテを連想させた。


 長いようで短い旅路。

 透き通るような肌に、誇張したかのようなメイクのキラリがビルを見上げた。結局、手には入らなかったイチゴミルク飴。代わりにはちょっとイマイチな笛ラムネをピーと吹きつつ、紅の引かれた瞳をわずかに細める。

 和洋折衷。黒地の振袖にミニスカートを掛け合わせたような姿は変わらずで。袋帯の帯締めや、振袖を彩る牡丹の赤には染みひとつない。神のご加護なのか何なのか、鬼の角を連想させる髪飾りで留めた黒髪ツインテールもキューティクル抜群のままで維持されている。

 片や胤光はといえば、白い長ティーとデニムのパンツから袈裟懸けに巻いた黒地の大布に至るまで、激戦でボロボロだった。乞食のようなありさまで、足元のビーサンと合わせてみすぼらしさは否めない。とはいえ修行僧の身なりなぞ大なり小なりこんなものかも――、なんて自分を慰めてみたりして。プリン状態の茶髪に巻いたタオルからは相も変わらず血が染み出ていた。


「それでは、行くとするか」


 キラリが言って、胤光も後に続いた。

 ビル内の電力は滞りなく供給され、エレベーターの使用も問題ない。だがそれより何より「探索の基本は足で稼ぐ、じゃ。しらみつぶしでゆくぞ」というキラリの持論の下、地下から最上階までを胤光は上る羽目になる。


 地階では何者にもなれず、だけど何者かとして生きたかった男を見届け、上階を目指す。

 二階へと至った瞬間、胤光の鼻腔をついたのは部屋一面に広がるコーヒーの香り。乱雑に書類の散らばる室内で一人の男がデスクに腰かけていた。


「おお、あなたちとはハチアワセ。でもワタシは別の客人とマチアワセでース」

 

 片言な日本語で話す男は、この騒動中にも関わらず綺麗に撫でつけた髭をしていて。


「想定していたのは歓迎のハグか尻尾を巻いてのトンズラ。時計クロックピジョン。ここで真っ先に出会ったのが、そのどちらでもない第三者とはちょっと意外でしたネ」


 あからさまに怪しい男ではあったが、キラリはといえば、「麻薬商ナルコの出番はまだ先じゃ」と意味深な言葉を告げただけだった。そして二人は男をスルーする。

 以降も、キラリの言ったとおりのしらみつぶしだった。今まで胤光のことを愚図な連れ合いだの何のとのたまっていたくせに、


「見落としがあるとまた戻ってくる羽目になるやもしれぬからのう。胤光よ、フロアの探索は慎重に行うのじゃぞ」


 建物内に入ってからのキラリといえば、ずっとそんな調子だった。どこか気の入っていない、というか、結論を急いでいない、というか。

 探索、と言ったって心念不空の索をもって秘められし真理へと至る不空羂索観音の力を使えば訳もないはずだった。なのにキラリはわざわざしらみつぶしで行くと言った。神仏の顕現たる、存在の高い所からの理屈を超越された屁理屈はいつもの調子、でもどこかわざとらしくもあって――。


(だから俺は……)


 非常階段を上って上階へ。

 フロアを見回っては無駄にキーボードを叩いたり。

 空のカプセルが山になっている。

 腐った培養液と苔むした水槽が並んでいる。

 床に散らばった書類で足を滑らす。

 重要性もなさそうな実験ノートを流し見てみたり。

 空のカプセルを踏み潰す。

 作業途中で錠剤用圧縮プレス機は止まったまま。

 床に散らばった書類に足跡を残す。

 そしてまた非常階段に戻っては上階を目指した。じっくりと時間をかけた探索は続いた。十二階へと辿り着いたのは、研究所へと侵入してから二時間も経ったころだった。


「キラリさん、おかしくないですか? 確かここって十三階建てでしたよね?」


 非常階段は十二階で途切れていた。


「おそらく社長室のある十三階だけ動線を別にしてあるのじゃろうよ。慎重、というより臆病な性質タチなのじゃろうな。きっと独自に社長室から緊急避難できる経路も用意されとることじゃろうて」


「のんびりしてる場合じゃなかったんじゃないですか? もう逃げ出した後かもしれないですよ」


 慌てる胤光へと、キラリは意地悪そうに笑う。


「逃げだせるものなら、とうの昔に逃げ出しとるじゃろうがの」


 十二階の扉を開いた。

 開け放った瞬間、鼻孔をついたのは生々しい血の臭い。フロアの壁はあちこちに穴が穿たれ、頑丈そうなデスクが幾つも切り刻まれていた。床に転がったパソコンは今しがた落ちたばかりのようにショートしている。そして血の色で赤く染まる書類。

 倒れて動かない黒いスーツ姿の三人が映る。うつ伏せた男の握る拳銃からは薄く硝煙が立ち上ったままだった。その隣で壁にもたれ掛るのは、死に化粧には程遠い表情をした女性。マスカラとルージュと血の色が混じり合った顔は、使い古されたパレットを想起させる。そして最後の一人、中央で大の字に転がる男には首から上が無かった。

 短い頭髪から顎へと繋がるラウンド髭の精悍な顔。それは宙に浮いていた。ハイエナの佇まいに白濁した双眸で、千切れた首の筋を咥える。むくりと立ち上がった大柄な男が――ゾンビが――胤光たちの方へと振り返る。

 胤光が呟いた。 


「ビル内にはまだゾンビがいるってことなのか?」


 抗ウィルス剤やワクチンの生成に成功した研究所内で、抗ウィルス剤の効果がないなんてあまりに皮肉が効いてやしないだろうか。

 緊張が走り、胤光は生唾を呑む。


 しかし。


「この建物独自の空調システムゆえじゃろうよ。ロメロ・ウィルスが活性しているのはのう」


 キラリは何事もなかったように話す。


「ゾンビを飼育するには密閉区間と特別な空調システムが必要じゃ。王子の実験棟は潰したからのう。正真正銘、これが現在・・最後のゾンビじゃ」


 その大柄なゾンビは全身を改造されていて、体中がツギハギで構成されていた。フランケンシュタインの怪物を連想させるソイツの首には薄汚れた――『高遠タカトオ』――と記されたネームプレートがぶら下がっている。

 もぎ取られた両腕代わりのドリルと鎖のついた鉄球。よくよく見ればただの改造というより痕跡じみたその奇形と、階を守るかのように徘徊していた姿に、胤光は何かの罰を連想する――つまりは死ねない処理を施された上で、なお死よりも惨い拷問を。


「さあ救世ぐぜの時間じゃ、胤光。憐れな魂を開放してやれい」


 キラリは言った。

 飛び出す胤光は金剛夜叉明王印を選択。それがせめての情けのような気がして。

 一対一で対峙する。

 ドリルを突き出しながら迫った改造ゾンビ。だが金剛石の硬度となった胤光の体に命中するや、ドリルは潰れて歪な花びらが咲くようにひしゃげる。


「不動明王印――hāmカン


 印の切り替えと同時に頭上へと迫ったトゲだらけの鉄球を躱す。胤光の両拳に燐光が灯っていく。鉄球の二投目にはどうしたって時間差タイムラグが発生する――分かっていればこそ、その間に胤光は浄化の拳を叩き込むつもりだった。大日如来の光の帯ほどの広範囲への効果が得られない代わりに、不動明王の力はピンポイントで浄化の一撃を繰り出せる。コントロールしやすい反面、一撃必殺的な効果は薄い。そのため相手の悪心をこそぎ落す――削り――の概念が発生する。

 胤光の狙いはここからの両拳でのラッシュ。

 が、改造ゾンビは胤光の想定外に動く。砕かれた右ドリルを横殴りに振るった。

 両の拳は防御に回さざるを得ない。だとして胤光には焦りひとつない。ことここにきてあまねく加護の力、そのすべてを完璧にコントロールしていた。

 両手でドリルを掴むや、勢いを殺し損ねた胤光の体は宙に浮く。

 胤光が態勢を立て直すより、改造ゾンビの鉄球の二投目の方が早い。それを察した上で天地のひっくり返った宙で胤光は右足を振り下ろす。

 改造ゾンビの左の肩口で、胤光の右足に灯った燐光が炸裂した。衝撃で改造ゾンビは大きく態勢を崩す。


「せめて最後は人としての死を」


 キラリの見守る中、慈しみをもって胤光の言葉は発せられた。

 改造ゾンビの体中で、燐光が花火のように弾けた。

 

「うむ。上出来、じゃの」


 キラリが頷く。だが言葉とは裏腹に、そこに喜びは感じられない。むしろ虚しさのようなものすら感じられて。


(だから俺は……)


「う、うぅ……」


 思考は呻き声で断ち切られる。

 振り返った胤光とキラリ。声の出所は先刻改造ゾンビが屍肉を貪っていた場所から。

 黒いスーツの二人組。首を千切られた方とは別の男はすでにこと切れていたが、もうひとりの女の方は微かに息がある。きれいにまとめ上げたハーフアップの髪は乱れに乱れきっていた。

「薬師――」傷をたちどころに癒す薬師如来の加護を発動させようとした胤光を、「無駄じゃ」 キラリが制す。


 女の腹部にはドリルのものと思わしき大穴がぽっかりと空いていた。辺りにはバケツをひっくり返したような夥しい量の出血。腹の穴からはもはや搾りかすほどの血が垂れるばかりだった。


「残念じゃが、もう手遅れじゃ」


焦点も合わない瞳。土気色の肌。カサカサになった唇で、女は息も絶え絶えに呟く。

最後の言葉を聞き逃すまいと、胤光は力なく横たわる女を抱き上げる。


「……故郷に帰ったら両親に伝えて……『愛してる』って……」


 急速に失われていく生気。左の瞳から零れ落ちた最後の一滴が、そばから塩へと変わっていく。命の灯が消えていく。その中で。双眸が完全に色を失う間際、女がかっと目を見開く。そして不敵に笑って、


「待って! 私と組まない? そしたら世界の半分をあげるわ」


 言いおえると同時に絶命した。


「キラリさん、このひと……」

 

 やるせななかった。

「うむ」重々しくキラリが頷く。もうそれ以上は言ってやるな――、というふうに。

 だが、胤光は言えずにはおけなかった。言葉を詰まらせながら、


「……死亡フラグ立てまくりながら、死んでいった」


 合掌。黒スーツの男女三人と改造ゾンビ。しばしの別れを惜しんだ後で、二人はそこを後にする。


 十二階の中央には止まったままのエスカレーターがあった。上部は薄暗くショッピングモール内にある映画館を連想させる。

 エスカレーターには赤い枠が五つ設置されており、上る際にはそれをくぐっていく形となる。鳥居にも似たそれは、神聖な場所へと続くような錯覚を覚えさせる。まるでこの建物の所有者に会うためには、拝謁するための儀式が必要なのだと意図的に思わせるような。

 自然と胤光の足取りは重くなる。それはキラリも同じような気がして。


(だから俺は……)


 上り切った先には受付と、LEDが煌々と刺すアイボリーの廊下が伸びている。両の壁には高級な絵画が並んで飾られていた。

 途中の会議室の扉を素通りして、さらにその奥へ。そこに社長室が存在していた。たかが研究所というより、会社の中枢とでも呼べそうなほどに設備は充実していた。


「さてここが真の最上階、そしてどうやらここが社長室らしいのう」


 思考はキラリの言葉で断ち切られる。

 地階から漏れなく歩き通しでやってきた最後の間。胤光たちの目的地ゴールというなら、もうここで。ここ以外には残されていない。

 広がるのは白銀の光沢を伴う壁。無機質な一面と同化するようなドアに、プレジデントオフィスと記されたプレートが貼り付けてある。

 壁に突き出た頑丈ドアは二重のロック。指紋と声帯の認証装置。一筋縄ではいかないらしい。


 とはいえ……。


「ふむ、これは厄介じゃ。なんとしたことかのう」

 

 キラリはそう言って頬を膨らませるが。

 胤光は気もなく、


「とはいえ、こんなドア。金剛石の硬度と無双の怪力を秘めし金剛夜叉明王の加護ならどってことないですよね」


 キラリはふふんと鼻を鳴らす。


「うむ。解――、じゃな。不肖の弟子にしてはなかなか鋭いのう」


 珍しくお褒めの言葉。でもどこかやるせなさそうで。


(だから俺は……)

 

 思考はそのままに金剛夜叉明王印を組んだ。武術のいろはも知らないへなちょこパンチに、千割は増しな金剛力。純粋な破壊力で三層式の分厚い扉が弾け飛ぶ。

 

 薄暗い照明に照らされた室内は無駄に広い。シンプルな作り。しかし高級品と一目で分かる重厚なデスクの上に一際明るいブルーライトを発するパソコン。いくつかの調度品はあっても、敢えてと呼んでも差し支えないほど無機質さに覆われた空間。人の気配はない。

 時すら止まったような部屋の中、床に並んだ永久機関を思わせる玩具とワイヤーで自作されたと思われる巨大なオブジェ――転がしたビー玉のルート上に様々な仕掛けが施されたコースター型のキネティックアート――ローリングボールスカルプチャーだけが動き続けている。

 だだ広い部屋を進み、パソコンの前へ。ディスプレイには――転送完了コンプリートの文字。ふと見るとUSBメモリが挿しっぱなしてある。一瞬伸ばしかけた手を引っ込める。


 そして――


(だから俺は……)


「しらみ潰し、ですね」


 どこか力ない笑みを返して、キラリが小さく頷いた。


 実際、不空羂索観音の探索能力を発揮するまでもなく、しらみつぶしという暇を感じるまでもなく、隠し扉の入り口は見つかった。

 壁に設置された無駄に立派な本棚をスライドさせる。そこにも認証式のドア。しかして金剛夜叉明王の加護の前にはあってないようなもの。分厚いドアを力任せに引き剥がす。

 薄暗く狭い隠し部屋で、ハーバリウムを巨大にしたような、縦長の水槽が淡い光を発していた。小さな気泡を発するその液体の中で、無数のチューブを体中に貼りつけた裸の男が浮かんでいる。長い黒髪がクラゲのように揺れていた。


 と。


「――私の眠りを妨げるな」


 低い声が響く。同時に薄暗かった部屋全体が目も眩む程に発光する。水槽の上部に設置されたモニターが灯ると、そこに男の顔が映し出される。

 後ろに撫でつけた頭髪に少し白いものがまじってはいたが、精悍な容貌をしていた。彫りの深い目鼻だちに、少しだけこけた頬。瞳には年相応の落ち着き以上にギラギラとした輝きが見て取れる。その顔は、水槽の男と同じ顔をしていた。


「何者だ? 貴様ら。この部屋を探し当てたことは褒めてやるが、ここにコソ泥を喜ばせるようなものはない。さっさと出て行くが良い」


 淡々と吐かれる傲岸不遜。録画でないことの証明みたく、しゃべるたびモニターの顔は歪み、ノイズが走り、即座に補正が施される。


「そうか……おまえがそうか。おまえが、おまえが始めたことなのか」


 胤光は全てを理解する。いや、本当は理解していた。途中から。全て。そんなことに神の加護なんて必要はなかった。


「ここには金目の物などないと言っているのが――」


 男の言葉を半ば無視して、


「こいつが、帝釈たいしゃくアレン――〝交通整理人ザ・ロードキーパー〟。そして最初から旅の終着点はここだった。そうですよね、キラリさん」


 胤光は振り返りもせずに言った。

 分かっているからこそ、胤光はアレンが浮かぶ水槽を見据えたままで続けた。


「だから、そんなもの向けなくても大丈夫ですよ、キラリさん」


 水槽越しに映るキラリは二丁の拳銃――羅喉ラーフ計都ケートゥ――の銃口を確かに胤光へと向けていた。

 ガラスに映る寂しそうな瞳を胤光は見つめる。


「言うなればここが天竺ですか? なら俺たちが求めるべきありがたい経典の正体なんてたかが知れてる。それはつまり、〝交通整理人ザ・ロードキーパー〟の作り出したロメロ・ウィルスのデータですよね」


 キラリは何も言わなかった。相変わらず胤光に向けられたままのふたつの銃口。殺傷力抜群の、だけど微塵も感じられない殺意。

 代わりになおさら勢いづいて声を上げたのはアレンだった。


「知的素養が微塵も感じられない貴様らが、まさかデータ泥棒とは。ふん、なら、持ち出しに間に合わなかったデータは貴様らにくれてやろう。まだ残っていればの話だが、USBが隣の部屋にあったはずだ。勝手に持っていくが良い。コソ泥の相手など私の趣味でははない。誰にも邪魔されず眠っていたい、私の望みはただそれだけなのだ」


 胤光はCG処理の施された画面など見向きもせずに、瞼を閉じたまま浮かぶ生体のアレンの顔を見上げる。


「そんなブラフに引っかかるわけないだろ? どうせデータは全部お前の頭ん中だろ」


 一瞬の絶句。明らかにアレンは動揺していた。モニターにいくつものノイズが走る。処理の追いつかないモニターで歪んだ顔がまくしたてた。


「それが分かったとしてなんだ? 良いか、教えてやる。もし無理やりこの水槽を破壊しようものなら、私の生命維持装置は止まる仕組みになっている。そして同時に世界中のあちこちに不完全なウィルスのデータが転送される仕組みだ。悪用する連中は後を絶たないだろう。世界中が生ける屍リビングデッドで溢れかえるのだ。それも現状のワクチンでは救えぬ出来損ないどもでな。世界は今以上の惨状で満ち満ちるだろうな」


 アレンは声を上げて笑った。それは自らが作り上げた鉄壁な防護措置からの傲慢。

 アレンは狂ったように笑った。それは退路も断たれ、自らが作り上げた檻に閉じこもることしか出来ない恐れ。

 全部ないまぜにして、〝交通整理人ザ・ロードキーパー〟はたがが外れたように笑った。


 道を見失った男の自己顕示になんて付き合うつもりもなかった――迷子の叫びなど今の胤光には興味もなかった。ゆっくりと振り返る。逡巡のようにふたつの銃口が僅かに揺れた。

 真っ直ぐに見据えたとき、そこに悲しげなキラリがいた。胤光はほんの少しであっても悲しみが紛れるように――ほんの少しだけでも彼女の呪縛が解けることを願いながら――言った。


「今この時の為に、だったんですね」

 

 キラリの双眸が見開かれる。


「気づいておったのか――」


 二丁の銃口は力なく下を向く。

 そしてキラリは言った。


「――瞭太郎りょうたろう

 

 それは、とても優しい声だった。

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