享楽主義者と理想主義者と哲学者と悲観主義者と内人格

 夢の記述をすると手が震えていたものだが今は見る影もない。もう夢に見飽きてしまったのだ。しかし生涯唯一の他者が残した二〇〇〇年の記録よりも世界の秩序を僅かに超越した夢に飽きてしまった今、何に快楽を見出せばよいのか。享楽主義者に聞いてみると自分の感情に従い生きればよいのだと、理想主義者に聞いてみると誰かの為に祈り続ければよいと、哲学者に聞けば本を読めと言う。悲観主義者の友人に聞くと一冊の詩を渡された。一度目を通しただけでその魅力に取りつかれ、いつも胸元に忍ばせて、人を嬲るときも、人を救うときも、いつもそばにいた。享楽主義者と理想主義者とは幾夜も性行為し、哲学者は殺した。そうしてその詩を読み飽きると悲観主義者の気持ちがよくわかり首を括って死んだ。

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