あの歌を聞いたことはあるか?
あの歌を聞いたことはあるか?歌蒐集家として名をはせる私でさえ天啓がなければ見つける事は出来なかった小さく目障りなあの歌を。
それは電車の中で得たものである。ある客人が扉を潜った時に皆の傲慢の超然的な態度に変わったことに気がついた。鼻孔に糞尿の塗れた最低限の身の気遣いも出来なくなった享楽的ともいえる酔客、その者に近づいただけで匂いと意味のない気味の悪い独り言を世界に浸透させている。しかしその人類の性悪論とも言える怠惰と自己本位の姿に目を背けては良いがその口を塞いではいけない。電車の揺れすら騒音と化す程神経遠研ぎ澄ますと私に馴染みのある古き流行歌を歌っているのだ。その歌は美しさや純粋な気概だけではない絶望と諦念の歌。それを手に入れたときに心躍った。
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