睡眠薬

 今夜飲む睡眠薬はどれだろうか。ドレッサーの中の手書きで書いたラベルを手先で撫でながら探る。A1は幼少時に飲んだ初めての薬で気付け薬の味がする。無条件に閉じ込められた地下室を思い出すので母親からの約束を破った時に服用する。今日は別のものにする。PUはどうだろうか。これは二十四番目の自傷の時の痛み止めと逃避に使ったもので起きたときに酷い鈍痛がする。白い男の秘書をやっている今となっては禁止したもので、私は塵箱の中に瓶ごと捨てた。QQQを手に取り、蓋を開けた。これは白い男から受け取ったもので彼が愛した白の様に漠然で超越的で比較できない無の様な味わい、間違って飲みすぎない様に気を付けなければならない。

 漸く睡眠薬を服用して私は寝具に横たわる。グッド・バイ。

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