金魚

 きょう君は解剖が大好きで明日は金魚の番と言っていた。僕は赤い尾ひれをなびかせて水草の中に潜りこむ金魚が大好きできょう君に解剖されたくなかった。だから解剖されない様に金魚を何処かに隠そうと思ったがきょう君は僕よりも頭が良いので普通の場所ではすぐに見つけしまう。僕は寝る前にうーんと考え金魚をおなかの中に隠すのを思いつき、短い間だけど金魚とお別れしました。だけどきょう君はそんな僕の考えをお見通しなのか僕を解剖しようと言うのです。僕は嫌だと言いましたきょう君にはそんな事関係なく、縄跳びで手足を縛られてお腹を開かれました。するときょう君は声を上げました。

「生きている」

「何のこと」

「金魚さ」

 そう言って僕のお腹の中から真っ赤な血の様な色を持つ金魚をビーカーに入れました。

「それに孕んでる」

「はらむ」

「水槽には雌しかいなかったんだぜ」

 きょう君は腕を組んで考えました。

「まぁ良い、今度からお前がこいつの世話をやるんだ」

 そんなわけで僕がこの金魚の餌を上げたり、水槽を洗ったりすることになりました。前までは触ることを禁止されていたのに。それにきょう君はあんなに大好きだった解剖を止めました。僕がなぜかと問うとこれほど面白いことはないというのです。僕達人間には考えつかない何かとてもすごい考えがあっての事でしょう。そんなわけで僕たちは仲良しで、今も理科室で実験を続けています。

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