白い写真

 私の友人が白い服にコーヒーをかけてしまい大慌てで染みを取りに行った。私は彼の白い鞄を一瞥しそして何も書かれていないノートを捲る。他のページも白紙だった。試験の時には筆記されたノートを持ってきているのでどこかでメモを取っているだろうがここで持ってきているものとは違うのだろう。

 彼が白い服以外のものを身に着けているところを見たことが無くそして髪も白い以外の色であったこともなかった。友人が戻ってきてそのシャツが僅かに切り取られていることに気づいたが声には出さなかった。彼は話を戻し、一枚の写真を出した。一面真っ白で何の色も付いておらず、変化もしていない。抑揚もない平たい白。合成により作り出したのか一見思われるが彼は写真を撮ったと言ったので白いデジタルで描いた絵を写真にしたわけではなく、限りになく白と思われるところを取って機械で白くしたわけではないだろう。それではどうやって白い写真を撮ったのだろうか。部屋全体を白くしても日の光で必ず黒や黄色が出来る筈だ。地下室を白くしたところで照明を強く当てもここまで均一に写真を白くできやしない。それではどうやってこの写真を作り出したのか。私は彼に写真を渡しその方法を問うたが教えてはくれなかった。彼は白いペンを取りだし、別のノートを取り出し詩を書いた。

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