禁止された言葉
「この言葉も駄目ですね」
彼はそう言って語り手の名前を示した。
「この名前でこの性格だと昔出たアニメのパクリだと言い出すかもしれないので」
考えすぎではないかと言い返すとでもそれがこの業界の暗黙のルールですからと言うのでその暗黙のルールが許されるのなら何でもありではないかとは礼儀上口にしなかった。それでは他には何がいけないのかと改めて聞くと彼はすぐ隣の行の言葉をさす。
「果実もいけないです、先日出たアイドルの曲と同じ題名です」
「名詞ではないか」
「はい、でも禁止です、曲を出すアイドルのプロデューサーがこの会社と縁がある人で」
「タイトルで使っているわけではなく、果物を果実としているだけだ」
「はい、だからここの果実は果物にしましょう」
そうして彼は端末に何かを打ち込むとすぐに苦笑いした。
「果物も駄目でした」
「何が駄目なのかね」
「今出ている映画のキーワードとして果物が出てくるんです」
「果物とはフルーツの事だろう、そこら辺の食べ物は誰の許可なく映しても良いのであれば詩の中に登場しても問題ないと思うがね」
「いえ、フルーツのメーカーから許可を取らないと映せません、そしてこの中でそのブランドを明記しないと映画の果物と混合してしまうので」
「分かった、それではフルーツでは良いのかね」
そう聞くと彼は端末を操作するとまたもや苦笑いをした。
「フルーツは駄目だと」
「ええ」
私は溜息を吐いた。
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