死闘

 煉王暦三五三年 十二月二十八日

 アトラス王国、首都サルヴォ 王国軍本部


「──伝令ッ!」

 全身に汗を滴らせ、一目では軍属とは判らぬ格好の黒装束の男が、脇を2名の正規兵に付き添われながら、作戦司令室のドアを開け放つと同時に、叫ぶ。

 男は今にも倒れそうなほど、見るからに疲労困憊だ。

「魔具の信号は届いている。落ち着いて話せ」

 部下を急かすでもなく報告を促すのは、諜報部隊副隊長であるマーティスだ。

 彼の言葉の通り、十五分前に発報された緊急事態信号により、将軍並びに各部隊長クラスの軍属は、司令部に既に集まっていた。

「オルディウムの大群が突如、ルスティクスに出現!その数、五千!サルヴォに向かって、侵攻中です……!」

「な……!」

 ルスティクスは王都サルヴォの南に隣接する、広大な農地が占める一帯の名称だ。

 農地とは言えど無論、アトラス領内だ。

 それだけの大軍勢が、国境を抜け、ルスティクスに至るまで誰も気付かなかった筈はない。

「馬鹿な!それだけの数が領内にいきなり沸いて出るなど!」

「見張りの兵は何を……!」

「サルヴォの防壁もひとたまりもないぞ!」


 騒めく司令部──

「粛に」

 その一言に、水を打ったように静まり返る司令部。

 声の主は、アトラス王国軍総司令官、J・スペンサー・ベアヘッド・エクスクリーブ。

「──我々は軍人だ……わかるな?我々の存在意義が、今試されようとしているぞ。我々は一体何のために此処にいる?我々の繁栄の為、我々は剣を取ってきた。それはあちら側も同じこと。何も難しいことじゃあない。負けた方がこの場から永遠に去る、ただそれだけだ。溜め込んだ武器兵糧、すべて使い切って構わん。日頃の訓練を思い出せ。我々がやらねば、この国の人々は皆死ぬ。我々の命は、すべてこの日のためにあったのだと、そう心得ろ!」


「──そうは言ったものの」

「お考えの通りですね……」

 各員の大部分が慌ただしく出払った司令部に残った総司令官とマーティスの二人は、意味ありげに言う。

「間違いなく祟り神。それも、相当な大物だろうな」

「奴らがオルディウムを配下に置くとはいえ些か数が多過ぎるし、それが突然領内に沸いて出るなんて。ハッ、卑怯にもほどがありますな」

「祟り神の中でも一騎当千の大将首が出向いて来ていると見るべきだな。クソ、生きて来て一番の正念場だ」


 ──二十分前




「ゼル!」

「遂に……来たか……!」

 轟くような、強大な神力の気配。

 ジェイルは急速に高まる鼓動を抑えつけるかのように、下唇を血が滲むほど噛み締める。

 ジェイルとアリアは同時に能力を解放し、神力の気配の元へ駆け出す。

 セラの狙いは──

「アトラス城か!」

 戦闘に備え体力を温存しながらであるにも関わらず、騎馬の襲歩に迫るほどの速度で駆けながら、ジェイルは忌々しげにそう吐き捨てた。



「ローザ、やはりここまでか?」

「……すまないな。王の御機嫌を損ねたくはない」

 馬型のオルディウムに跨ったまま、ローザはセラに告げる。

 セラが隠匿術式を解除すると、二人の祟り神の背後の広大な農地に、様々な種のオルディウムの大軍勢が現れる。

 鎧竜、大槌牛、爪犬、忌蜥蜴、獄翼、七伏、跳百足、黒太子──

 どれもこれもが余りにも禍々しい。

 と同時に、どの個体も不自然なほど、その場で一切動く気配がない。

 まるでそれは、本来の勝手気ままなオルディウムとは違う、人間の軍隊のような、秩序立てられた雰囲気を感じさせた。

「──どうだかな。まあいい、我はあの御方にお会い出来るのなら、最早何でもいいのだ。王の叱責を受けるのは、我だけで充分……否、それでさえ、我が身ひとつで賜れるのならば、これ程至上の慶びがあろうか」

 先の大戦時には、下等生物である人間相手に隠れるなど出来るかと、隠匿術式の使用を頑なに拒否し続けたセラが、今回それを躊躇なく使用するのを目の当たりにしたローザは、セラの深い決意を心底思い知らされたようだった、

「お前が決めたことだ、もう何も言わないさ。供犠どもはお前の合図で王都に向かうようにしておいた」

 第二荒御霊、ローザ=インペリウム。

 司るのは供犠こと、オルディウムを自在に統率する力である。また、人間以外の生物の身体構造の変異を誘発し、新たなオルディウムを創造することも可能だ。

 かつての厄災においては、オルディウムの軍勢を率いて、他の祟り神が討ち漏らした者を虱潰しに殲滅し、その際に溜め込んだ負のエネルギーを各員に供給する役割を担った。

 現在の弱体化された状態で、五千という軍勢を配下に入れるには相当な労力が必要だっただろう。


「ローザ!もしまた会えたなら、しばらくゆるりとしようではないか」

 セラに背を向け、その場から去ろうとしているローザは、そう呼び掛ける彼女を振り向かず、馬上から無言で右手を上げ、別れの挨拶とする。

「……セラ、すまない」

 そしてローザは俯き、小さな声で独り呟いた。



『──緊急警報、緊急警報。アトラス全国民に告げます。現在オルディウムの大群が首都目指し侵攻中。軍隊の指示に従い、すぐに避難して下さい。繰り返します──』

 街中に設置された魔具の拡声機から絶え間なく女性の声が響く。

 多くの人が表面的には冷静さを保ったまま兵士に誘導されているが、心中の緊張感の高まりはかつてないほどだ。

 この状況に、誰の胸中にも浮かぶ言葉はただ一つ。

『戦争』という単語だ。


 王都サルヴォの南端。

 所狭しと集められたのは、正規軍、傭兵問わず、この国内に留まっているアトラス軍のほぼ全ての兵力だ。

 その総数、実に二万人近く。

 一帯を支配するのは、凄まじい緊張感。

 今からオルディウムの大群と、よりにもよって合戦をやらかそうとしているのだ。

 その経験のある、否。伝え聞いたことのある者すら、皆無だろう。

 しかも、相手には撤退という概念自体がないのだ。

 文字通りの消耗戦──

 戦術など、あってないようなものだ。間違いなく、多くの死傷者が出る。

 その確かな予感だけが、ここにいる全員の胸中を支配していた。


「だが、やるしかねえな」

 その一角で、身の丈ほどのグレートソードを軽々と抜刀しつつ、隻眼の男が言う。

「大金貰っても国がなくなったら意味ないからねえ」

 まるで身体の一部であるかのように、自在に十文字槍を操る男がそう応える。

 そこに慌ただしく合流する二人の女性。

「遅れてごめんね」

「……すまない」

 サーシャと、申し訳なさそうにしたルチル。

 戦闘用装具と、化合弓、そして杖。戦いの装備はしっかりと整っているようだ。

「ルチル。来てくれたか!」

「ラーズ、本当にすまななかった。私は……」

 ルチルの弁明を遮り、ラーズが言う。

「いいって。俺等は俺等のやれることをやる。それでいいじゃねえか」

「そうそう。アリアとジェイルに胸を張れるようにさ。ま、生き延びられたらの話だけどね」


「全員、傾聴ッ!」

 ビリビリと気迫に満ちた大声でそう叫んだのは、歩兵大隊隊長、ルーニーズ。

「私から言いたいことはたった二つ!一匹を大多数で叩いて数を確実に減らせ!後は、生き延びて、ここに戻ってくるだけだ!クソ化け物どもに、アトラスの魂を見せてやれ!」


 おおおおおおおお!!


 流石は全世界屈指の正規軍だ。

 まるでスイッチで切り替えたかのように、場を支配する緊張感が、研ぎ澄まされた闘争心へと一変する。例え討死したとしても、後悔など欠片もないとでも言うように。


「防壁開け!」

 ぎぃと鈍い音を建てて巨大な南門が開かれていく。

 数百メートル先に見えるのは、砂埃を巻き上げながらこちらに突進してくる、無数の悪意の槍。

「術式、放て!」


 キュバッ!


 合図と同時に、防壁のすぐ隣に設置されている見張り台の上から、甲高い破裂音と閃光が走ったと見るや、最前線の大型オルディウム数体が、高く空に舞い上がる。その四肢はバラバラに千切れ飛び、青い原色の土煙が咲く。

 さらに断続的に、閃光がオルディウムの群れに吸い込まれ、爆音と共にその頭数を減らしていく。

 アトラスが擁する最高位魔術師達による、電磁投射術式だ。

 この術式は、必ず二人ないし三人掛かりによる、電撃術式と具現化術式と呼ばれる術式の組み合わせで構成される。

 特に具現化術式は、適性があるだけでどの国でも終身食うに困らずに生きていけるほど稀有な術式で、様々な性質を持つ物質を顕現させることが可能だ。

 この電磁投射術式では、まずは具現化術士が高強度、なお且つ通電性のある砲身を含めた複雑な機構を発現させ、電撃術士がそこに大出力の術式を展開させると、加速された弾丸が音速の八倍もの速度で発射されるというプロセスとなる。

 なお、具現化術式で構成された物質は、術士の手を離れた瞬間に霧散してしまうので、弾丸だけは王立軍謹製のものを使用する必要があるが。


 おおおおおお!!


 開戦の狼煙となる強烈な先制打に、兵士たちの士気はさらに張り詰め、この上ないほどの盛り上がりを見せる。

「──全軍、突撃!」

 こうして、世界史上例を見ない泥沼の大合戦の火蓋が、ここに切って落とされたのだった。



 同時刻

 アトラス城


「…お、王…!」

 息も絶え絶えで床に転がされた男は、異常を察し駆けつけたマーティスだ。

 彼を始めとして、近衛兵や大臣もみな重傷を負いそこここに倒れ込んでいる──

 今、王宮の中でまともに立っている者はただ二人だけだ。


「実に加減が難しいが、まだ殺すには早い。雑魚の始末は供犠どもの仕事だからな」

 国王以外を単騎で瞬く間に無力化した光の祟り神は、悠然と王の前に立っていた。


「何が目的だ、光の祟り神よ。国庫の中身に用があるなどとは天地が反転しても言わぬだろうが……」

 王は額に脂汗を滲ませながらも薙刀を抜き、セラに向かって構えている。

「ここに寄ったのもただの気紛れよ。初めはアリアらを戮すればそれだけでいいと思っていたが──我の特別な日を盛り上げる余興として、国ごと蹴り散らすのも悪くないと考え直してな」

 悪意すら感じさせず、セラは宣う。

 抜身の光の剣を手にしてはいるが、今すぐにそれを使う気はないようだった。


「さあて、お前はどうする?お前の選択で、国民全体の生死が決まるとすれば」

 王はセラの言葉に意を決した王は、全力でセラの首元に斬り掛かるが、その刃が触れる直前、セラは素手で薙刀の刃を止める。

 王が渾身の力を入れても、万力で締め付けられたかのようにビクともしない。

「ハッ、自らが民より先んじて特攻で果てるか。王としては間違いなく失格───しっかりしろ……我の余興としては役者不足もいいところだ」

 失望を隠さず、凍てついた眼で言うセラに、王は覚悟を決めた様子で言う。

「光の祟り神セラよ。お前の力が余りに圧倒的で、人類の敗北が運命だとしたら、我々アトラス国民が総てお前に殺されてしまうなら、最初に殺されるのはこの私でなければならんのだ!」

 タイタニウス四世は薙刀を捨て、自衛用の短刀を引き抜き、なおもセラの首筋に向かって切り掛かる。

「遅い、人間はどれも……いや、一人おったな。我に白兵戦で光盾を出させた奴が──」


 ギィィイン!


 いつの間にかセラの背後に迫っていた影が放った斬撃と、迎撃したセラの光の剣がぶつかり、激しく火花が散る。

「待っておったぞ、死に損ないが」

 斬撃の主、ジェイルは何も言わず、ただセラを見据える。

 助かった安堵で思わずその場にへたり込みそうになるアトラス国王を、アリアが背後から優しく支える。

「わたしは、失格とは思わない……よく頑張ったな」


「ふ、役者は揃った、という訳か」

 セラは満足気に剣先を下げつつ、続ける。

「余興はもうよいわ。あとは供犠ども任せることとしよう。さあ、死出の旅ぞ。こんな狭い場所のみみっちい戦いでは我は到底満足出来ん。全身全霊の貴様らを戮せねば意味がない──ついて参れ」


 そこから、異変に気付いた部隊が多数突入する大混乱のアトラス城を尻目に、三人は、否。二柱の人外と、一人の男が死地への道を往く。

 ここに至るまで、どれほどの後悔と嘆きを積み重ねただろうか。それが今、ようやく終わる。


 やがて一行は、郊外のアトラスの軍事演習場に辿り着く。

 ロストアームズの複製品のテストや、弓兵や高位術師の訓練地として切り拓かれた広大な土地。

 無論、この緊急時に軍属は、誰一人として駐留してはいない。

 人ならざるもの達の死闘の場としては、正にお誂え向きと言えた。

 演習場の中心辺りで、二柱の祟り神が最後の言葉を交わす───

 ジェイルは、少し離れた場所で、天を仰ぎその時を待ち望んでいる。

「セラ、神子がいないということは……王の言い付けを反故にするつもりか」

「理解るまい。貴様だけには、理解るまい。王に一目お会いするだけで、それだけで我は救われるのだ」

 アリアに返答するセラからは、かつてアリアを壊し、ジェイルの人生を踏み潰した際の狂気は感じられない。

「ともかく、ゼルにはお前の首級を挙げてもらう。いつも通りな」

「やってみろ。失うものがないのはそちらだけとは思うな」


 冷静を装い、ジェイルのもとへ戻るアリアだが、その表情は焦燥を隠せてはいない。

「マズいかも知れない。元々勝てるか怪しい戦いだが……今のヤツには一切の油断、奢りがない。ただ王に会うため、そのためだけに命を賭してわたし達を殺そうとしている──」

「確かに──あの時とは様子が違うな。だが」

「……」

「アリア。ここまで辿り着けたこと、心より礼を言う。その感謝は、ヤツの首で示そう」

 ジェイルもまた、不倶戴天の敵を目前にして、いつもとは様子が違うように見えた。

 それは、あまりにも酷く儚げな──

 その様子に、アリアもその心情を吐露する。

「ゼル、これが今生の別れになるかも知れん……」

「そんな事はない……過剰な心配など、お前らしくないぞ、アリア」

 ジェイルの励ましにも、アリアの不安げな表情は変わらない。


「ゼル……わたしがどうして片時も離れず、いつも傍にいるかわかるか……?」

「それは……祟り神をこの世から消すためだろう」

 ジェイルが今更の質問に、戸惑いながらも返答すると、アリアは出会ってからの十五年間、一度も見せたことのない、弱々しい表情で呟く。

「そう……そうでなくては、だめだったんだがなぁ……」

「……」


「──さあ、茶番は終わりぞ。お前達が積み重ねた十五年の重み、我に見せてみろ…」

 セラは光の剣フェルムを構える。

 ジェイルの脳裏に、あの日の絶望がフラッシュバックする。

 アリアは迷いを振り切るように、詠唱を始める──

 そして術式の発動とともに、蠱鎧が顕現され、双刀は黒く鈍く輝く。

 いつもと同じ──同じように戦うのが、最良のはずなのに。

 ジェイルの心中の怨嗟の炎が、それを許さない。

 手が、脚が震える──

 武者震いだと自分に言い聞かせるも、現実は違うと、自分が一番よく理解している。

 それでも、いかねば。

 あの日から自分の命は、今日この日のためだけに在ったのだ。


 前傾姿勢からの脱力、質量操作、疾走───身体の上下動が極端に少ない独特な走法だ。

 今なお震える四肢を意志の力だけで抑え込み、ジェイルは宿敵に刃を放つ。

 右手横薙ぎで、外から斬りつけた斬撃は、あろうことか神剣フェルムの柄頭の一点で、セラに易々と受け止められる。

 そのまま体幹を崩されたジェイルにセラもまた、鋭い踏み込みでジェイルの右首筋を狙った横薙ぎの一閃を見舞う。


 ギャリッ!


 紙一重のところで左逆手に構えた小太刀の刃で受け流すも、ジェイルにとって、このたった一合の斬り合いが、胸中に重くのし掛かる。

 ──強い。途方もなく……

 思わずジェイルは、セラから距離を取り、剣を構え直す。

 駄目だ。何かが足りない……身体が、上手く噛み合わない。

 このままでは……

 目の前の宿敵の首を取るために、自分に足りないものは……


「ふむ、十五年前と比べて幾分筋が良くなったとはいえ──我への怨み、まだまだ足りないと見える。どうだ、あのブラウンエルフの娘……ルチルと言ったか。あれの首も落とせば、これ以上退屈せずに済むか?」

「……」


 死ぬのが恐ろしいのではない。

 仇を討てずに果てるのがなによりも恐怖なのだ。

 ラピス……自分は、どうすれば君に顔向け出来るだろうか?


「すぐ殺さずとも、あの娘は非常に使い勝手が良い。そうだ、我の神子としてお前と仕合わせるのも面白いな。魔力だけは高かったお前のつまらん情婦とはモノが違う──ああ、最後は雑草の肥料として役に立ったか」



「──セラ」

 ジェイルは不自然なまでに穏やかな声で宿敵の名を呼ぶと、その場から掻き消える。


 バギャッ!


 機を制されたセラが不用意に受けたジェイルの剣は、神劔フェルムをその根本から破壊する。

 先ほどとは余りにも違う、速く、鋭く、重い一撃───

「ハッ!そうでなくては!」


 肉体の質量を極限まで減少、なおかつ自らに働く重力加速度を増大させることで、今やジェイルの体捌きは人の、否。

 生きとし生けるものの理を完全に越えた。

 一秒間に十を越える斬撃。

 なお且つ、放たれる小太刀の質量は、瞬間的に一トンを軽く上回っている。

 それは直撃すれば、セラにとっても間違いなく致死の一撃だ。

 ジェイルの鬼気迫る攻めを、目まぐるしく顕現させる光盾で受けつつセラが吼える。

「面白いぞ人間!すぐには壊れるなよ!」


 広範囲をカバーするような防御では流石の光盾も耐えられないと見たセラは、形代の限界に迫る動体視力でジェイルの斬撃を正確に捉え、局所的、なお且つ瞬間的にだけ高出力の光盾を展開させる事で、その全てを受け止めていた。

 斬撃が衝突する度に、光る雪のような破片が飛散し辺り一面に舞う。



「がああああああ!!!!」

 意図的に呼吸を制限、極限まで引き上げた血圧の影響で、外骨格の表皮を赤鬼の如く染めたジェイルは更に斬撃の回転数を上げ、光の神に肉薄する。


「殺す!絶対に!お前を殺す!」

 羅刹の殺意をそのまま具現化したような致死の刃は、信じ難い事だが、光の神の反応速度を上回りつつあった。

 僅か、ほんの僅かずつではあるが、セラの身体に傷が刻まれ始める。

「ぐっ!」

 ──馬鹿な、防壁展開が間に合わない!

 最強の祟り神に焦りが生まれる。

 神子とは言え、ただの人間に、ここまでしてやられるとは……しかしここが胸突き八丁、これさえ凌げば…!

 事実、ジェイルの身体は、極限まで高められた血圧と、アリアの神力と過剰に同調した負荷で脳神経全体に限界が迫りつつあった。

 しかしセラの全身を染める青い血の量もまた、軽傷と呼ぶには程遠い。


 死闘の中、セラはかつての屈辱を思い返していた。

 かつて王レックスから最も寵愛を受けていたのは、自分ではなくアリアだったこと──

 果ての神殿内で、騙し討ちにて半壊にしてやったことで溜飲は下げられたと思っていた。

 しかし、この現状はなんだ?

 我は、証明せねばならない。

 我こそが王にとって一等の存在であることを。

 それが、なぜ神である私が人間などに押されているのだ──どうして

 王よ、我らを統べる孤高の王よ!今一度、矮小な人類全て無に帰す程の力を……

 あの忌々しい道化師の所為で失った力を今一度取り戻し、我に授け給え……!


 セラの初めての、自分以外の他者に対する心よりの懇願。その答えは、思いがけずセラの意識の底から、直接届いた。


 ──今の今まで眠っていたけど……ここは、セラの中かな。

 それは、声変わり前の少年のような、澄んだ声だった。


 あなたは!まさか……ああ、我らが王!そんなところにいらっしゃったのですか!

 歓喜の感情を溢れ出しながら、セラは自らの内面に語り掛け続ける。


 ──僕の傷、未だに治りきってないけど……アリア。まさか、人間なんかを神子にしていたとはね……失望した、本当に失望したよ。残念だけど仕方ない。

 そこの哀れな人形は一度解体して、また僕が新しく拵えることとしよう。

 セラ、それに引き換えお前は未だに僕に深い忠誠を誓ってくれてるね。出来た子だ。

 スクーラに奪われた能力、僕がまた咲かせてみせるよ──


 人間同士の戦いでは知覚さえ不能な瞬刻。

 その僅かな時間、セラの集中が完全に途切れた事を察知したジェイルが、セラの白い首筋へ、数々の祟り神を滅ぼしてきた、必殺の斬撃を繰り出そうとしたその時。


 ジェイルの眼前が、白に染まった。

 強化外骨格に包まれている左目から左後頭部までを、焼けるように熱い風が吹き抜ける。


「──がはっ…!」

 

 ……?

 意識、意識が飛んだのか?

 自分は倒れているのか?なんだこれは……

 まずい、体勢を立て直さなければ。

 気を失っていた?感覚がおかしい。

 何が起きた?視界の左側が……見えない?

 ──気が付けば、アリアが縋り付いて何か叫んでいる。

 何故戦闘中に回復の術式を?

 お前らしくもない。いつもの穏やかな笑顔はどうした。

 アリアを撫でて落ち着かせようと左腕を上げれば、肘から先が、ない。

 ならばと右手を出せば指が全てあらぬ方向を向いている。

 何だこれは……

 剣は、何処へ……


 そうか……左半面を、何かで撃ち抜かれたのか……

 あの忌まわしい女の首級を獲る寸前で何が?

 立ち上がれない

 前もこんなことがあったような?

「そうだ、殺す!」

 身体に渾身の力を込める


「ゼルやめろ!動くな!ああ…!ああぁ!」

 姿勢を保てない

 脚に力が入らない

 顔の左側から、何か液体が溢れている…


 そうか。これは、致命傷か…

 そういえば、脳の負傷は治せないと、いつかアリアは言っていたな

 それにしても、出会ってから変わらず、お前の瞳はさながら紅玉のように美しいな

 流れ落ちる涙さえも、本当に

 しかしそれを踏み躙るような

 下品な高笑いが聞こえる……


 どうやら自分は、またもひどい目にあったらしい

 殺せばいいのか、自分はそいつを?

 そうだ。仇を取らなくては……

 自分の命は、そもそもあのが繋いでくれたのだ

 本来なら、あの時に死ぬはずだった

 将来を、未来を誓い合った

 心を通い合わせた──

 そんな人を守れなかった……


 添い遂げると誓ったはずが、何故だか自分だけが生き延びてしまった

 あの時、何故一緒に行けなかったのだろう?

 血の通った日々は、自分一人を置いて何処か遠くへ行ったのだ

 自分も、もう行かなければ。


 しかし、この命尽きる迄に

 最期に何かひとつ、自分がこの世に生きた証を

 せめて、この娘が、アリアが幸せに暮らせるように……

 駄目だ…意識が…消える

 どうかこの祈りを……神でも悪魔でもなんでもいい

 すべて、自分は自分に残されたすべてを捧げる。

 だから──

 どうか、この可哀想な子を、人として笑って暮らせるようにしてくれないだろうか


 ふと気が付けば、セラの下卑た高笑いも、アリアの嗚咽も掻き消えていた。

 ……違う、ここは先程の戦場ではない。

 この場所は……?

 自分は、陽の光に眩しいほどに照らされた、だだっ広い空間に居る。

 宗教施設の教会のようなイメージの建造物の大広間のようだ。

 セラとの戦闘で負った傷もない。

 やはり自分は死んで、ここは黄泉の国か、それもただ、夢を見ているのか。


「残念。どちらも不正解だ」

 ふと響いた声の方を見れば、相当に変わった格好をした少年が立っている。

 いや、本質的に変わっているのは格好ではない。

 なにか、こいつはもっと異質な──


 いや…そんなことはどうでもいい。誰だお前は?

 ピエロの格好なんかして、どういうつもりなんだ?

 自分はこれでも真剣に祈ったのに、馬鹿にしているのか?


「王に勝てるのは道化師だけだって、相場が決まってるらしいぜ」

 頭の芯に、ボーイソプラノの声が響く。


 いや、それよりアリアは…一体どうなったんだ?


「あの娘な、今も泣いてるよ。お前に死んで欲しくないんだってさ」


 まだ……

 まだ終わってないのか?


「今はまだ。この空間では時間が流れる感覚が数万倍に早まるから、こうして俺と話が出来るって訳だ。だが、あまり悠長にしてはいられんぜ」


 ──お前は、一体……


「俺の素性も些細なことで、どうでもいいことさ。まあかつて人は、俺をスクーラとか、道化師とか呼んだ。俺を造った奴も、友達も、もう、みんないなくなった。いい奴もいたし、死んだ方がいい奴もいた。その中でジェイル、お前は人間にしては、まあ頑張った方だと思うよ。当然俺にも、今までヤツを見つけられなかった責任がある」


 道化師……


「かつてこの星に厄災があった。四百年前、レックスが人類を滅ぼすと決めたあの時から、もう気の遠くなるほど、ヤツと不毛な戦いを続けて来た。俺は、かつて大好きな友達がいたんだ。そいつのおかげで魂というものに触れることが出来た。俺と王の勝敗を分けた差なんて、ただそれだけのもんさ。いずれにせよ、もう遅すぎたんだがな」


 スクーラと名乗った少年は、諦観の表情を浮かべて続ける。


「さて、本題に戻ろう。数秒後には何も成せず、呆気なく果てるお前の命だ。しかし、俺の助けがあれば、お前の最期の輝きで以って、あの娘の道を照らすことも能うだろう。ジェイル、あの娘の唯一無二の神子よ。お前はこの俺に、一体何を望む?」


 人ならざる道化師が、魂の奥底まで見透かすような眼で、こちらを真っ直ぐ見据え言う。


 ──自分の望みは、あの娘が命を繋いでくれた日から、実は一つしかなかったのかも知れない。

 確かに復讐は、生きる為の火を灯してはくれたが……その火を保つ為に、自分はこの魂を薪として焚べ続けるしかなかった。こんな自分に差し出せるものがまだあるのなら、すべて差し出そう。

 どうか、どうかあの娘に一筋の救いの道を。


「承った。俺は道化師、王に唯一仇なす者。持たざる者よ、足掻いてみせよ。その命の燃える様を、この星の記憶に刻み、果てよ」



 黒い光。

 今まさに、二人の命を終わらせようと悠々と近付いていたセラには、そう見えた。

 アリアが身を呈して守ろうとしている瀕死のジェイルの全身を、突如として現れた黒い光が包み込んでいる。しぶとい奴らだ。まだ何かやらかそうというのか?しかし──


「今更お前らが何をしたところで我に敵うものか。今や我は偉大な王と同一の存在……

 唯一無二の光の神だ。今や我の機能は完全に復活した。ありがたく思うがいい──我の最大出力の光で、まとめて蒸発させてやろう」


 セラが間合いを取り、恍惚の表情で高らかに宣言するも、アリアにとってはそれすらも、最早どうでもよいことだった。

 ジェイルの身体に、精神に、とんでもないことが起きている。

 彼の身体を包んでいた黒い光は、ジェイルの欠損部位を瞬時に覆い体組織と融合、その機能を強制的に復元させる。

 そして、頭部と欠損した筈の腕を、黒いタールで覆われたような異様な姿で、ジェイルはゆっくりと立ち上がった。


「ゼル……」


「消し飛べ」

 にやりと口角を吊り上げたセラの胸部が俄かに輝く。

 先程ジェイルの蟲鎧を易々と貫き、致命傷を負わせたレーザー兵器だ。

 かつてスクーラにより封印された筈の、文字通りの殲滅兵器。

 圧倒的な暴力で、幾つもの国を、幾人もの生命を灼き払ってきた光。


 しかし、その致死の光は、二人をすり抜けたかのように、二人の遥か後方数キロ先の山の中腹で炸裂した。遅れて、爆発音が辺り一面に轟く。

 直撃した山肌はその凄まじい熱量で融解し、眩いオレンジ色に輝いている。


「……な、何故だ!」

 当たった筈だ──この距離なら、当たらない筈がない!

 狼狽したセラが問い掛けても、ジェイルは黙って右掌をセラに向け、悠然と立っているだけだ。


「……まさか」

 あの神子は、アリアの本来の能力を!?そんな、そんな莫迦なことが──

 動揺しているのはセラだけではない。

「ゼル、わたしの、神玉……」

 アリアの視線の先、ジェイルの左頭部のタール状の物質の奥、丁度ジェイルの左眼球と入れ替わったような形で、アリアの胸部にあった筈の赤い宝玉が輝いている。

 アリアの胸部は、まるで、初めから何もなかったかのようだ。

 ジェイルの黒い輝きは、見る間にその領域を増していく。


 ──そうか。これが、アリアが見ていた世界か……


 ジェイルの眼に映るもの全てが異様に鮮明で、セラの服の細部までがハッキリと視認出来た。

 また、単純な視力だけではなく、こちらにとっての脅威も、手に取るように分かる。

 そして、その無力化の方法も。


 ジェイルはアリアに被害が及ばぬよう、瞬時に巨大な球状の防御領域を展開する。

 神降ろしの決闘の際に、神自身を守る光の檻とよく似ているが、その規模は段違いだ。

 不壊の巨大な檻の中に人智を超えた存在が二つ。

 ここから出られるのは片方のみ。否、あるいは……


 脳が、意識が、高速で駆け巡る。

 ジェイルは、自身が、人ならざるものへと変貌した事を悟る。


「人間の分際で……痴れ者めが!」

 セラは必殺の兵器が役に立たないと知り、滑るように地上を駆け出す。近接戦闘に持ち込む魂胆だ。

 瞬きよりも速く距離を詰めるセラの手に、先程ジェイルが破壊したフェルムよりも大振り、且つ大出力の光の剣が一瞬で顕現される。

 先程までのジェイルなら、対応すら出来ずに瞬時に殺されていただろう。

 その勢いのまま、大上段の真っ向唐竹割り。

 それに斬れぬ物など、最早この世にはない───


 がぎっ!!


 が、ジェイルはそれを、掌に発生させた斥力で、易々と受け止める。

 セラが動揺で目を丸くしているのが見える。

 相対するジェイルの瞳は、むしろ穏やかだった。


 時間の流れが、ひどくゆっくりに感じる───

 そう言えば十五年前のあの日、同じように必殺の兜割りを止められたんだったか……

 凶刃に晒されていることも、生涯の仇が目前にいることにすら執着せず、ジェイルはただ自然体で、過ぎた日々に思いを馳せていた。


「意趣返しか!莫迦にし腐りおっ……」


 セラがそう言い終わる前に、ジェイルは深く腰を落とし、渾身の左掌底をセラの右脇腹に見舞う。

 それは、またもあの日と同じだった。

 違ったのは、その破壊力。

 足裏との接地面を神力で強化した上で、極限まで肉体の質量を増して放ったそれは、セラの身体を装甲ごと、くの字に折り曲げ、瞬時に八十メートル以上も吹き飛ばす。

 セラは弾丸のごとく地表を削りつつ、血反吐を吐きながら転がり続け、反対側の光の檻に激しく衝突し、ようやく止まった。


 致命傷にはまだ遠いが、セラに大きな隙が生まれる。

 立ち上がろうとするが、身体が言うことを聞かない様子だ。

 このまま、あの座標に過重力を叩き込めば…

 遂にあの娘の、無念が晴らせる──

 そう、ジェイルが思い至ったその時。


 ぶちっ!


 ジェイルの左眼辺り、今はアリアの神玉が光り輝く辺りで、とても嫌な音がした。

 神玉と頭蓋の隙間から、またも溢れ出るは、真紅の鮮血──


「ゼル!セラ、もうやめてくれ!私がゼルの代わりに死ぬから!頼む!頼むから……!」

 事態を察したアリアの悲痛な叫びが聞こえる。


 ジェイルの視界に、緊急事態を報せる古代文字が浮かび上がると、到底理解出来る筈もないそのメッセージを、ジェイルは須らく理解する。

 ──肉体の不適合により、本機能は致命的損傷の治癒を完了出来ず。間もなく生命活動は停止される──と。


 ぐらりと、身体がふらつく。

 左脚に力を入れ身体を支えると、血圧が上昇したその分だけ、左眼窩からの出血は更に勢いを増す──


 もってあと、十数秒……


 ジェイルの異変に気付いた仇敵は、青い血に塗れながらもゆっくりと立ち上がり、これ程ない憎悪に満ちた眼でこちらを睨め付ける。


 次だ。

 次の一撃で、この戦い、否。十五年の永き因縁が決着する。


「ジェイル!」

「セラァァァ!」


 二人の咆哮から実に、瞬き一回分の、極僅かな時間の後。

 黒い光と白い光が一点に収縮する。


 ──不思議だ。

 あれほど殺したくて殺したくて仕方なかった筈なのに。

 今では全身から湧き上がるような怨嗟の衝動は鳴りを潜め、ただ、夕凪のように穏やかな感情が心を満たす。

 思えば、獅子が獲物を喰うが如く、ヒトが家畜を食らうが如く……こいつは初めからそういう存在だったんだろう。

 無論、到底許す事など出来ない。

 しかし、もう、終わりなのだから。

 囚われることはない。

 今は、ただただ……泥のように眠り、二度と目覚めたくない。

 思えば、心落ち着ける場所も、愛する人も……ただひたすらに、失い続ける人生だった……

 しかし、もういい。

 自分が生きて来た足跡すらも、もう、間もなく消えるのだから。



 セラの大剣が、自分の鳩尾辺りから深々と突き刺さり、背中へと抜けている。

 アリアから見れば、自分の背中から剣が生えているように見えるだろう。

 しかし熱い。何という熱量だろうか。

 刀身の周囲の自分の身体の組織は、すぐさま炭化されたようで、出血はそれほど酷くはない。

 痛覚が人のままであったなら、その痛みだけで即死していただろう。


 ──視界の赤い古代文字は激しく明滅し、間もなくその時が来ることを告げている。


 展開した檻の外側で、縋り付きながら、アリアが泣き叫んでいる。


 自分は、崩壊しかけている左手でセラの手首を掴み、光の剣ごと、セラの身体を更にこちらへ引き寄せる。身体の中から、新たに肉が焼け焦げる音がする。


 ──警告は激しさを増している。


 自分は右手をセラの細い頸に掛ける。

 セラはそうするまで動揺した様子だったが、すぐに表情を諦観のものへと変えた。

 自分が今からすることを理解しているらしい。


 ──視界が激しく乱れる。

 まるで砂嵐の中にいるような……

 まだだ…まだ止まるな。


 ──最期に、アリアを…一目見たい…



 首を捻って後方を見ると、泣き叫び続けているアリアと目が合う。

 今、この瞬間、伝えねば…


 なんて顔をしている。いつもの笑顔を見せてくれ

 お前のおかげで自分は、こんなに晴れやかに、さようならを───


 そこから、意識が途切れるまでのほんの僅かな時間。

 ジェイルの今までの人生の場面が、切り取られた絵のように次々と脳裏に浮かんでは、かき消える。


 冷たくなった父の掌

 箍の外れた母の微笑

 夕焼けに響く、縄の軋む音

 山刀から滴り落ちる、赤い血

 冷たい鉄仮面越しの、異国の景色

 愛しい人に出会った瞬間の、高鳴る鼓動

 喪失、喪失に次ぐ喪失、喪失───

 やがて、生前のラピスがプロポーズの際に見せた笑顔を、ジェイルが鮮明に、まるで、彼女が本当に彼の前に現れたかのように、はっきりと思い出した時───

 ジェイルが展開した防御壁の内側で、赤い光と爆風が炸裂した。

 音さえ遮断されたその外側では、ただただアリアの慟哭が響く。


 崩壊星。

 そう名付けられたこの現象は、重力を司る祟り神の最大出力にして、命と引き換えに発動可能の大業だ。

 術者の肉体の質量は瞬間的に、太陽の三十倍まで膨れ上がり、結果、周囲の全てを巻き込み重力崩壊を引き起こす──

 光さえも逃れられぬ、必殺、必滅の特攻絶技。

 ジェイルが事前に展開した防御壁がなければ、文字通り、この星ごと跡形もなく消し飛んだであろう問答無用の破壊力。


 数十秒後、その現象が収束した後に残されたのは、巨大なすり鉢状に抉り取られた大地と、泣き崩れるアリアだけだった。

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