第3話 星空観測会
「あの星綺麗ですね」
「この望遠鏡で見るともっと綺麗よ」
「そうなんですか? それではちょっと失礼して……おぉっ! すっごい細かいところまで見える! すげぇ!」
今日は週に一回の星空観測会の日。
大学の屋上に望遠鏡やテントを出して、各々楽しく星を観察している。
「雫さん! 望遠鏡っていいですね! これ、何円ぐらいするんですか?」
「万がいっぱい必要よ」
「……まじっすか?」
「おおマジよ」
「……俺、部品の望遠鏡で充分っす! 部品の望遠鏡最高!」
万がいっぱいだなんて、俺には手が出せないよ。
だって俺貧乏大学生だし。
「ふふっ。 なら、こういうサークルの時間でしっかり星を見て楽しまないとね」
「うっす!」
俺は望遠鏡を覗きながら上下左右に動かす。
すると、一際輝く星達を見つけた。
「雫さん! あれって多分有名なやつですよね?」
「どれのこと?」
「ほら、あの辺ですっごく輝いている星達ですよ!」
「どれどれ??」
スッと雫さんの顔が俺のすぐ近くにくる。
艶のある髪が俺の頬を撫で、シャンプーの良い香りがしてきた。
「あぁ、シリウスのことね。 知ってた? シリアスって星々の中では1番明るくて、古代には神として崇められていたのよ?」
「へ、へぇ〜そうなんっすねぇ〜」
雫さんがご丁寧な説明してくれるけど、俺はそれどころではない。
良い匂いするし顔が近い。 少し首を動かすと胸元が見えそう! 見たい!
でも、チキンだから見れない!
「?? どうかした?」
「いや、なんでもないっす! あれがよく聞くシリウスかーって感動してただけっす!」
「そう? あ、あれはね——————————————」
雫さんの説明が頭に入ってこない。
俺は頭が沸騰するぐらい暑くなっていると、いつの間にかこの日の星空観測会はおしまいになっていたのだった。
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