ボーン・イン・ボーン2

◎これまでのあらすじ◎

とある時代。ヴィジャヤ氷河にてタイムスリップ・コツヒコは部下を率いて強力なファントム、ヴィジャヤを勧誘しようと努力していた。部下に多大な犠牲が出る中ついにヴィジャヤの勧誘が成功せんとした時、邪魔者が現れたのだ。

  


タイムスリップ・ゲルヒコを倒し少し休んだのも束の間、その情報がタイムスリップ教団に知れ渡る前に孤立しているタイムスリップ・コツヒコを倒す。そのためにこの時代にタイムスリップしてきた。あの赤いアームヘッドは噂のヴィジャヤであろうか。礼三郎は考察する。

『来たぜ、タイムスリップ教団!』

  


『礼三郎くん、ようこそ。だが少し待ってくれたまえ』

リーダー格とおぼしき骨アームヘッドが部下に指示を出す。

『コツヒコ様!ですがVが!』

『安心しなさい』

コツヒコがキムチを諭す。骨アームヘッドが巨大ファントムを指差す。蒸気が巨大ファントムから溢れ出ている。

『彼は脱皮しようとしている』

  


骨アームヘッド、ゴルゴタの交戦で経験を積み巨大ファントム、ヴィジャヤは更なる進化を遂げようと言うのか!?

『ちょうどいいタイミングだ』

『そうです!Vにトドメを!』

『キムチ』

『はい、コツヒコ様』

『我らの新しい友人に挨拶せねばなるまい』

『は?』

タイムスリップ・キムチは困惑した。

  


『我が名はタイムスリップ教団、タイムスリップ・ラウンズが一人、タイムスリップ・コツヒコである。礼三郎くん。私は君を評価している。共にこの悪鬼を倒し、タイムスリップ理想を実現してはくれんかね』

コツヒコは微笑んだ。

『おじいちゃんの言うことはきけないぜ』

  


『モツニ、フジヤマ、レバニラ、チチデカマル、ナキドコロ、バーベキュー、バニラ、キムチ、キタダケ、メタルヒコ、スカルヒコ、モツニ、ナメロウ、サンチュ、マッコリ、イチゴジャム、サラダバー、シュールストレミング、チョコミント、ホルモン、ハツ、タン、ナットウ、クサヤ、ヒモノ』

  


『な、なんだぜ?』

『私の部下の名前だ。彼らは誰もが歴史に名を残した英雄達だった』

『すごいぜ』

『ボンザレス・ハムレットを知っておるか?』

『……有名な人なのかな』

『彼ら英雄達に比べれば歴史の片隅にも乗らない無名者よ。だが今、葬列を従えている!君もだ!礼三郎!君は資格があるのだ』

  


礼三郎は打ち震えた。

『礼三郎くん、私は英雄のタイムスリップ堕落を見続けた。だがサダヒコ様は違う。私に道を示してくれたのだ。だから私も君に道を見せたい。私と共に来てくれんかね』

『……この拳が答えがダメか?』

『良かろう、あなたが指し示した未来の力味合うが良い!』

ゴルゴタが構えた!

  


それと呼応するかのようにヴィジャヤが脱皮を終え、その赤い巨躯を震わせた。

『私、礼三郎くん、ヴィジャヤ。混戦になって来たな……』

『ヴィジャヤは私めにお任せください!』

太ったフラガラッハが躍り出た。

『キタダケか』

『フジヤマ流を継いだ私めのマッチョ脂肪の防御力は無敵です!』

  


『まあ、礼三郎くん見ているが良い』

コツヒコはヴィジャヤとキタダケの方を見るように促す。太ったフラガラッハは打撃吸収の構えを取った。圧縮タイムスリップ脂肪の力でヴィジャヤの打撃を吸収しようと言うのだ!ヴィジャヤは脱皮により姿形は変わらないものの少し小さくなったように見える。

  


フラガラッハにヴィジャヤの手刀が振り下ろされる!キタダケは勝利を確信していた!いかにヴィジャヤといえどこのタイムスリップ脂肪を貫くことは不可能!実際脱皮前のヴィジャヤはキタダケの脂肪を貫くこと能わず!そして小さくなったからにはパワーも小さくなっているに違いない!違った!

  


フラガラッハの足元の氷河が割れる。そしてフラガラッハの全細胞がヴィジャヤのパワーに耐え切れず爆散する。

『あのパワーとスピード、まるでセイントメシアじゃな』

キタダケを爆散させたヴィジャヤはキムチフラガラッハを砕きながらエーデルワイスとゴルゴタの元に迫る!

『コッコッコ、来たぞ!』

  


ゴルゴタはエーデルワイスを軽くタイムスリップ拳で足止めしながらヴィジャヤを後ろ脚蹴りし離脱!

『……?仲間を見捨てたのか?』

ヴィジャヤは困惑しつつも骨アームヘッドに見捨てられた白いアームヘッドを次の狙いに決めた。

『悪いが消えてもらうぞ』

礼三郎にヴィジャヤのプレッシャーが掛かる!

  


これはかつてアブソリュートオメガと決死の闘いを挑んだ時にも似た感覚。アブソリュートオメガ、秋那……。俺はここで終わってしまうのか。礼三郎は一瞬覚悟を決めた。

『諦めないで!』

己の内側から声がした。

  


『君はまだ戦えるよ』

声はゲルヒコのモノだった。

『秋那ちゃんじゃなくてゴメンね。でも僕も君の力になりたい』

それは礼三郎の身体に残された残留ゲルヒコの見せた幻覚だったのだろうか。だがこの奇跡は現実だ!

  


エーデルワイスの拳はヴィジャヤの拳を止めた!コツヒコは目を見開いた!

『あれはゲルヒコくんのタイムフリーズ!』

ゲルヒコが礼三郎を鍛えるために飲ませたゲルヒコ液が礼三郎に新しい技をもたらしたのだ!

『面白く……なって来た!』

ヴィジャヤが笑った。

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