ボーン・イン・ボーン
◎これまでのあらすじ◎
礼三郎・サライ・アームストロングは時間を最終改変しようとする邪教タイムスリップ教団と戦っている!彼らの野望を打ち砕くため最高幹部ラウンズとの戦いを始め、ゲルヒコをなんとか倒した!だがまだ戦いは始まったばかりだ!冒険は続く!
───我ら英雄、時と共に化石とならん
我ら英雄、我らは化石にならず
我ら英雄、タイムスリップが我らを導く
我ら英雄、歴史の葬列を越え時の形を定めん
タイムスリップ賛歌
『ボーン・イン・ボーン』
マッスルマスプロダクト計画、筋肉量産計画とは肥大化していくタイムスリップ教団のメンバーの質の低下を懸念したサダヒコがラウンズに依頼したものである。ラウンズのように優秀な筋肉を一般団員にも持たせる鍛錬計画でありヤマビコ、ヒコボシ、メカヒコ、コツヒコの主導の元行われた。
同計画はメンバーのトレーニング意欲の低さ、計画の具体性の無さにより、失敗。ヤマビコはゲルヒコと共により有用性の高いワイズコア計画に傾倒していく。そしてヤマビコ、ヒコボシの脱落によって計画は完全に頓挫したかに見えた。しかしメカヒコとコツヒコは諦めていなかったのだ。
磔にされた赤い巨躯のアームヘッドを二対の腕を持つ8機のアームヘッドが囲んでいる。ヴィジャヤ氷河にこの招かざる訪問者達が来たのは数刻前である。20機近くいたフラガラッハはこの巨躯のファントムによって骨粉と化した。その犠牲により骨十字架は巨躯のファントム、ヴィジャヤを拘束した!
『かのVもこうなっては形無しだよなあ』
他のフラガラッハは未だ警戒を解かずジリジリと近づきながら様子を見ているのに軽率にもヴィジャヤに接近したのはタイムスリップ・バニラである!
『俺様はバニラ!貴様に骨粉にされたレバニラ兄貴の弟分よ!コツヒコ様には悪いがトドメを刺させていただきやす』
『待つホネ!』
あまりの軽率な行動に骨十字架が喋った!そう、ヴィジャヤを拘束しているのはコツヒコのアームヘッドゴルゴタそのもの!
『待たないですよ!俺もラウンズに!』
それ以降バニラが軽率な行動に出ることはなかった。ヴィジャヤの拳がバニラのフラガラッハを骨粉へと変えたからだ。
コツヒコがバニラに驚いて一瞬力みが取れた隙をヴィジャヤは見逃さず、ゴルゴタの右腕を力任せに粉砕、自由になった腕でバニラを骨粉へと変えたのだ!
『全く、すごいパワーホネね』
ヴィジャヤは更に骨十字架を破壊しようともがく!
『コツヒコ様!』
タイムスリップ・キムチが叫んだ!
『メカヒコちゃん!』
コツヒコがこの時間にいないものの名前を呼んだ!
『コツヒコサンワカリマシタ』
壊れたゴルゴタの右腕がタイムスリップ消失する!ヴィジャヤは目を見張った。先程からこの骨アームヘッドは何かがおかしいのだ!ゴルゴタはヴィジャヤを拘束出来るほど大きくなかったはず!?
これぞタイムスリップ殺法が1つ、骨折りゾーンのくたばり儲けである。メカヒコが時間外に待機し、後方支援に徹する。コツヒコは予備ボーンをメカヒコに任せ、破損ボーンをメカヒコのアンティキティラ・メカニズムの待つ時間にタイムスリップさせる。そしてそれらを破損時に交換するのだ!
ゲートから真新しいボーンがタイムスリップ出現、ゴルゴタにドッキングする!2機の骨フラガラッハが暴れるヴィジャヤの右腕を押さえ込み、ボーン拘束する!『コッコッコ、私の力はわかったかね。大人しく我がタイムスリップ教団の軍門に降りたまえ。そうすればバーベキューも草葉の陰で喜ぶホネ』
タイムスリップ・バーベキューは非タイムスリップ者の時にヴィジャヤに選別試練を与え奇跡的に生き残ったヴィジャヤがいる世界がここなのだ。
『今更、やつの話などするな』
『おや、口がきけたのかね。良いホネ。我らの仲間に君のお仲間も加えても良いホネよ?』
『なに?』
ヴィジャヤの声色が変わった。
『コッコッコ、興味があるかな。我らの中にはメカニックもおる。バーベキューは無駄と断じたが私は君への報酬として君のお友達の再生を約束してもいい』
『……』
『どうかね?悪い話では無いと思うがね』
コツヒコはヴィジャヤの首筋から囁く。
『…わかった』
『コッコッコ、おうそれでは!』
『もちろんお断りだ!』
氷河を裂き金の槍がゴルゴタの後背に出現!ピンクの十字架めいた賢者の石を貫くべく迫る!ゴルゴタは賢者の石を守るために骨を集中!ヴィジャヤは緩くなった拘束を脱出!
『俺は騙されんぞ。ヴィジャナ達を返すなら最初から言え』
『コッコッコ、それは失礼したホネ』
ゴルゴタとヴィジャヤが白い骨のような色の氷河で対峙し、7機のフラガラッハが見守る。その闘気に吹雪は晴れ、赤いヴィジャヤの巨躯だけが氷河に映える。それを付け狙うは邪悪な白いアームヘッド達だ。
『コツヒコ様』
コツヒコの副官スカルヒコがコツヒコに耳打ちする。
『悪いニュースです』
見よ、スカルヒコのおぞましいアームヘッドを。骨。骨である。フラガラッハの骨だけが動いている。そしてそのパイロットも骨しかない!スカルヒコはかつては海賊のタイムスリップ者でありタイムスリップ・クロヒゲと呼ばれていた。コツヒコと骨好きで意気投合、ボーンイズムを共有する!
クロヒゲとは聞き間違えでありクロスホネと言う。骨好きでドクロマークをシンボルにした彼は二人目の骨格覚醒者となった。そして聞くもおぞましい事実!隣にはいるメタルヒコである!スカルヒコがもう一人!それはメカヒコが作り上げたスカルヒコのコピータイムスリップ者なのだ!
これぞ骨格量産計画「ボーン・イン・ボーン」である!良質な骨タイムスリップ者を量産し画一的で優秀なタイムスリップ軍団を作り上げる!骨フラガラッハはゴルゴタをサポートすると同時に予備パーツとしても機能しコツヒコをサポートする!恐るべき次世代型タイムスリップ者!そのプロトタイプだ!
コツヒコは二人のスカルヒコ以外は正直今回の作戦で使い潰す気でいた。伝説の英雄達がタイムスリップ者と化したあと堕落する様子に耐えれなかった。今回連れてきた連中も歴史の中では素晴らしい英雄だった。だがもはや彼らは化石に過ぎない。タイムスリップはゴールでないと言うのに。
『なにかね、悪いニュースとは』
『ゲルヒコ様が敗れました』
『ホネ!?』
コツヒコは自分の老化がまた始まったのかと錯覚した。
『では礼三郎くんがゲルヒコちゃんを倒せたというのか…』
コツヒコは予想外の事態に困惑した。ゲルヒコが礼三郎と遊んで終わると予測していたからだ。
『彼が、来ます!』
白いアームヘッドがもう1機、ヴィジャヤ氷河に参戦した。
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