メルト・ハート・アンド・ソウル3

これまでのあらすじ

時間最終改変を企む悪の秘密結社タイムスリップ教団に致命的な打撃を与えるため礼三郎は最高幹部タイムスリップラウンズ連続撃破を試みる。その初戦の相手タイムスリップ・ゲルヒコは恐ろしくそのアームヘッド、アムリタが割れ…。

  


『デイ・オブ・カタストロフ』

  


『メルト・ハート・アンド・ソウル』

  


ごめんね。結局ボクは君を壊しちゃうことになりそうだ。アムリタの疲労は思っていた以上に深刻だったようだ。敵対組織を何十も潰しているうちにアムリタは肉離れを起こし始めている。そうでなければ現時点のサダヒコくんがボクをここまで追い詰めることなどできない。

『これがアムリタだよ』

  


チェレンコフ光めいた光を放つ流動的な液体こそがアムリタの正体でありボクだ。器ならばある程度のアームヘッドならば砕くことが出来よう。それが致命的なことになる。

『もう手加減はできないよ』

『へっ雑魚敵みたいで弱そうだぜ』

彼が強がっているのがわかる。ああ楽しい時間は終わってしまうんだね。

  


教団の意向に沿うことは出来なかった。サダヒコ様にどうお詫びすれば…。へへでも良いや何もかも溶かしちゃおう。

『ココロもカラダも溶かしてあげる』

アムリタの液状ボディーから残骸が飛び出す!

『さあ遊ぼうよ!』

『オピョ!』

”コノコトオ”と書かれたタイムスリップ残骸がエーデルワイスを襲う!

  


かわすかかわさないかのうちに2撃!たょしと書かれた幟!胡乱な文章が超光速で飛び交う!

『ピョポ!』

エーデルワイスが直接拳撃をアムリタに叩き込む!モホと書かれた旗を蹴りアムリタに近づいている!アムリタは”るぬるぬ”と言う箱を取り出し防御!壊れる箱!

『もっとだ!もっと見せてよ!』

  


『オッピョッポ!』

エーデルワイスはアムリタを抱え込んだ!ダメだよ!そんなことをしたら…ボクは君を溶かしちゃう…。ふふ…キミはボクと一つになりたいんだね…いいよ。この肉離れしたカラダでよければ…。エーデルワイスが溶けていく。『くっ』エーデルワイスが離脱!逃げないで!キミが欲しい!


アムリタはエーデルワイスに忍び寄る。

『ボクは巫女だ』

『?』

ボクのことを教えてあげる。

『名前を喪った巫女、身体を失った巫女、記憶をうしなった巫女。ボクはゲルヒコ、永遠の苦痛の果てにタイムスリップし肉離れしたボクに与えられた名前。そしてキミもボクになるんだよ』

アムリタが飛びかかった。


エーデルワイスは溶けゆく装甲を見て観念したかのように手を広げた。アムリタがエーデルワイスに覆い被さった。ああ…またやっちゃった。ボクは壊れると制御が効かないんだ。サダヒコくん、ボクの中で一緒に生きよう。…うん?あれ…なんか?

  


『オッピョッポ‼︎』

  



『何をする!』

『あなたを供養する!』

これは…巻き込み型タイムスリップ!いったいどういうつもり!エーデルワイスのタイムスリップにアムリタが巻き込まれ…。

  


『ぜ?』

『レーラビくん!ヒリングデーモンの新手かな?』

『油断するなぜ、ゲルっぽいのと妙にムキムキの白い弥生。どう考えても怪しいぜ』

ツヴァイヘンダーツヴァイとグリントぜランサー。タイムスリップに成功した。

『!?』

ゲルヒコは混乱している!

『お前を倒せる相手の所に来たぜ!』

  


『ゲルは凍らせて倒せ、俺は賢いんだぜ』

『アッ…アッ…』

ゲルヒコは新手の二機のアームヘッドに夢中で礼三郎の話を聞いていない。『アームストロングさん!それレイザーブロウなのぜ?』

『話が長くなるぜ、キミの彼女に早く洗って冷凍保存を頼むぜ』

『えっ彼女って』

『惚気は後にしてほしい』


『アッ…アッ…あああああああ!』

アムリタが変形を始めた!溶けていた十三本のアームホーンが牙めいて出現!それが組み合わさって槍を形成する!

『ああああああ!』

『怖いぜ!』

『レーラビくん!下がっていて!コイツは僕の相手らしい!』

ツヴァイヘンダーツヴァイがアムリタに立ちはだかる!

  


ゲルの魔槍と化したアムリタがツヴァイヘンダーツヴァイを貫くべくタイムスリップ挙動を開始する!…出来ない!ボディーが凍っていく!

『アアッ!?アッ!ああああああ!』

それでもなお執念でツヴァイヘンダーツヴァイを貫こうとアムリタがもがく。

『どうして…』

ゲルヒコが泣いている…。

  


『アルカ、もういいのぜ』

それはどちらに対して言った言葉だったのだろうか。二人は止まった。

  


ボクはゲルヒコ…。いやボクは…。ふふ、キミが誰かはわからない。きっとボクの大切な人なんだね。ボクも見つけれるんだ。きっと…。それを伝えたかったんだろサダヒコくん。いや礼三郎くん。

  


ありがとう礼三郎くん。ボクのココロとタマシイは溶けた。巫女の呪いはもう無いんだ。

  


アムリタは停止していた。

『ゲルヒコ、いやあなたは…。安らかに眠って欲しいぜ』

ゲルヒコの呪いは溶けた。だが礼三郎の戦いはまだ始まったばかり!

  


『メルト・ハート・アンド・ソウル』終わり

『ボーン・イン・ボーン』に続く

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