ファニー・バレンタイン3

タイムスリップの円から砂漠色のアームヘッドが現れる。

『終わってしまったかな?』

もう1機、赤いアームヘッドだ。異様に巨大な脚?否、腕だ。

『いやまだお客さんは居るようだぜ、ハルヒコ』

『先輩も居るな』

ハルヒコと呼ばれた男が答えた。

『あんたらがラウンズね?』

『そうだ、女』

  


『我が名はタイムスリップ教団副司祭長、サダヒコに次ぐタイムスリップ・ハルヒコなり。我がアームヘッド、ウコンバサラでお相手しよう』

『我はタイムスリップ教団聴罪司祭、タイムスリップ・ナツヒコだ。このガラティーンに押し潰されるのはお好みかな?』

『私がでかいのをやるわ』

  


『チェスト!』

リアルメシアが跳躍しガラティーンの顔面に蹴りを浴びせる!

『無礼者が!』

『こっちは娘の将来が掛かっているのよ!』

『?』

雪那の言葉にガラティーンが一瞬止まる。リアルメシアは顔面を蹴った勢いで更に飛び二つのライフルでガラティーンの顔面を射ち続ける!

『ぶっ倒れろ!』

  


『鬱陶しいわ!』

ガラティーンが巨大な腕をハエを凪ぎ払うかのように振るう!リアルメシアは逆に腕に迫る!巨大な筋肉とリアルメシアの逆関節が衝突する!リアルメシアはバネめいたそれで力を抑え恐るべきガラティーンの馬鈴薯潰しを凌いだ。

『やはりライフルじゃダメね』

マッスリウムで防御される!

  


『さて我らも少し戯れようか。先輩』

ウコンバサラのヌードルめいた腕が不気味に浮き、一個の生活のように蠢く。

『君は確かサダヒコ先輩の折檻を受けて生き残ったスゴい子だね』

ハルヒコの声は優しげだ。

『…』

『フフ、ではこのウコンバサラではどうかな?』

『な?』

ウコンバサラの頭部が展開する!

  


ウコンバサラの頭部が芋虫めいて展開しクニヒトに絡み付いた!クニヒトに電流!ウコンバサラは全身から電撃を発生させることができる!

『デオチさん!』

『君に筋肉を使うのは可哀想だからねー』

ハルヒコの声にサディストめいた喜びが混じる!

『貴様!』

エーデルワイスがウコンバサラにチョップ!

  


ウコンバサラの四脚の本体と伸びた首の間にエーデルワイスが必殺のアイ・ノー・ユーを放った!

『待ってた!』

ハルヒコは笑った。電撃から解放されたデオチは目を見張った。クニヒトから離れた頭部、四脚の本体それを繋ぐ首。微動だにしない。

『先輩ィーッ、我慢ごっこ好きだよね?』

  


チョコヒコと同じカウンターか?

『私はね、時間が止められるんだ!自分の時間をね』

デオチはその意味を理解した。

『ハルヒコは時間を止めている間は無敵です!』

ウコンバサラはウコンバサラ自体の時間を止めること出来、ウコンバサラは攻撃を受けてもダメージを受けるという時間にたどり着かない。

  


『そして蓄積したダメージはー!』

ヌードルめいた腕が地面に突き刺さる!瞬間!たまっていたダメージが受け流される!地面が爆発する!

『おおこわいこわい。こんなの喰らったらヤバイよ!ちゃんと成長してるね!先輩!』

さながら愛を囁くようにハルヒコは言った。

『さあもっと魅せてくれよ』

  


『これがラウンズ』

忘れていたのか?デオチはアゾートやアダマンティンのことを思い出さずにはいられない。

『デオチさん』

『ええ』

『逃げるぞ』

『はい?』

エーデルワイスは死闘する赤い悪魔達を指す。

『まずは雪那さんとアイツをやる。あれはなんか気持ち悪い』

  


『ヘイヘイカモンカモン!』

ウコンバサラがヌードルで手招きする。

『あれ?』

ハルヒコは逃げ出した二機のアームヘッドを見て困惑するが直ぐに意図を察した。

『そっかー』

ウコンバサラが変形をはじめた…。

『ウィー・アー・サダヒコ・ウェポーン』

  

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