デイ・オブ・カタストロフ

サイレント・ナイト

礼三郎は舎弟のティガーを連れて違法クリスマス施設に潜入した。ここでタイムスリップ教団の悪者が人々をクリスマス拉致し違法クリスマス行為を強制しているらしい。「ティガー、ここが例の違法クリスマス施設だぜ」「レインディアーズの協力が得られないのが辛いところですね先輩」

「タイムパラドックスが起きてしまうからな」今年は2037年のクリスマスなのだ。違法クリスマスモミノキに隠れながら話を続けた。「タイムパトロールのお姉さんが言っていました」「レインディアーズはまだタイムスリップ教団を知ることが出来ないと言うわけだぜ」「難儀じゃのう」

タイムパトロールは代替特異点を討つケラウノスのマークをシンボルとしたタイムスリップ教団を打倒するために作られた組織だ。「タイムパラドックスが起きるとどうなるんだぜ？」「運命樹に復讐されるんです。タイムスリップ・ミツヒコは・・・彼女は悲惨な最後を迎えました」「気をつけるぜ・・・」

「クリスマス・・・クリスマス・・・」一方でクリスマス地獄が展開されていた。礼三郎とティガーのいる場所は放置された都市でそこに無理やりクリスマスを楽しまされている人々が強制クリスマスしているのだ。よく見るとクリスマスツリーは蠢いている。そう、これは筋肉なのだ。クリスマスの筋肉！

緑色のモミノキに擬態したクリスマスサダヒカントは侵入者を既に捉えていた！「クリスマス！」クリスマスサダヒカントがエーデルワイスに幹を震わせながら体当たり！エーデルワイスはマーニの手を持ち跳躍！クリスマス体当たりを回避する！「クリスマス・・・」新たなるクリスマス者！

おぞましい！それはトナカイめいたサダヒカントなのだ！悪趣味なタイムスリップ者の作であろう！あろうことかトナカイを筋肉している！角も筋肉で出来た筋肉集合体トナカイモドキたるサダヒカントは穴からクリスマス蒸気を噴出する！「クリスマス！」レインディアーズ者が見たら憤死するであろう！

「ふぉっふぉっプレゼントじゃよ」知性！服すらも筋肉！髭すらも筋肉！あろうことか袋も筋肉！サンタサダヒカント！「知性サダヒカントまで来やがったぜ！」「先輩、サダヒカントの配備が本格的過ぎませんか？」「軍備めいているぜ」「ふぉっふぉっ」サンタサダヒカントが袋を振り回す！

知性サダヒカントの知性は所詮知性を真似ているに過ぎない！「五月蝿いんじゃ！」あまりに珍妙な敵に業を煮やしたスウマがマーニの手から炎を噴出！筋肉ダルマサンタモドキを火だるまにした！「こやつらがゴレンの言っていた始源の賢者の手の者か？少年？」マーニに宿るスウマが礼三郎に問う。

「アイリーン先生は偉大なる者と教団の関係を否定しませんでした。ただ・・・」エーデルワイスがトナカイサダヒカントを正拳で砕く！「こいつらは違うと思います！」違法クリスマスが放火先輩の手に落ちていく。モミノキサダヒカントはマーニが次々と変質したたんぱく質に変えられていった。

「ぐぬぬ・・・クリスマス」タイムスリップ・キヨシコは苛立っていた。かつてのように自らの理想クリスマス社会が理不尽な暴力によって蹂躙されている。だが彼はその理不尽な暴力を手に入れた。そしてその上でクリスマスなのだ！「お前がクリスマスのタイムスリップ者か！」「いかにも」

「覚悟するんだぜ！俺達はラウンズのやつともやりあったことがあるぜ！」「ククク、ラウンズがなんだと言うのだ。未来のサダヒコよ」タイムスリップ・キヨシコは不遜にも主の名を呼びすてた！「タイムスリップ涅槃がなんだと言うのだ。聖夜こそ至高、我々はクリスマスタイムスリップ教団だ！」

教団も一枚岩では無いのか・・・？「クックック、私はかつてゴールデンバーサーカーによってエターナルクリスマスの野望を砕かれた」「聞いたことがあるぜ！最終反乱の少し前にクリスマスに野望した奴がいたが金髪の人物によって一人で粉砕された！」「そう、私の棄てた名は、聖夜先輩！」

タイムスリップ・キヨシコ、否、聖夜先輩のクリスマス玉座がコクピット変形しアームヘッドが現れた！「フラガラッハだぜ！」フラガラッハとはタイムスリップ教団の使用する量産型typeAという恐ろしいアームヘッドだ！「しかもクリスマスだ！」クリスマスフラガラッハが四本の腕を展開する！

電飾の施された腕は奇妙に後ろの虚空を薙いだ。タイムスリップ拳がそこに現れ虚しく衝撃が引き裂かれた。「私はタイムスリップ者だぞ。タイムスリップ攻撃なぞに翻弄されぬ」そう言いながらマーニの炎を回避する！マーニのライトスタッフ投擲とエーデルワイスの直接拳に四本腕で同時に対応！防御！

「クリスマス！」クリスマスフラガラッハはその場で上半身を回転させ衝撃でエーデルワイスとマーニを吹き飛ばす！更に飛ばされたマーニにタイムスリップの斬撃が飛ぶ！「ティガー！」「心配する余裕はクリスマスにはない！」クリスマスフラガラッハは四本の腕でバネめいて飛び蹴りを仕掛ける！

「何がクリスマスだ」エーデルワイスはクリスマスフラガラッハの足を挟みそのままクリスマスフラガラッハを投げ飛ばす！その場で拳をタイムスリップさせクリスマスフラガラッハのタイムスリップ斬撃に追い付かせマーニへの攻撃を反らす！「先輩！」ティガーの叫びは注意の呼び掛けだ！「クリスマス！」

飛ぶクリスマスフラガラッハは空飛ぶクリスマスツリーだ！上空からタイムスリップさせた斬撃を全方位に飛ばす！「ハハハハクリスマスをくらえい！・・・ん？」タイムスリップ・キヨシコはエーデルワイスが構えていることに気づいた。「それは・・・サイズ・オブ・アダマス！」

タイムスリップ・キヨシコにゴールデンバーサーカー、否、秋那・テーリッツによってクリスマス野望が粉砕された記憶が蘇る！「アイ・・・ノー・・・ユー！」恐ろしいチョップが歪なクリスマスツリーを両断した！「クリスマス！！！！！」クリスマスフラガラッハは爆発した。

「終わりましたね先輩」ティガーが胸を撫で下ろす。だが礼三郎はまだ構えを解いていない。「来る・・・」パチパチと拍手のようなおとが鳴り響いた。「・・・本来ならば俺がこれをされる側だったんだがな」違法クリスマスビルの上に緑色のアームヘッドが立っていた。巨大な時間改変が観測された。

続