代替ノ王タル資格

トキヒコの身体が震えて不気味に泡立つ!どんどんトキヒコだった物体は巨大化する!タイムスリップの時の概念空間に黒い巨人が姿を現した。


「変身しやがった!」


アキヒコが叫んだ。変身、アキヒコがそう表したようにそれはまさに変身であった。銀の鎧を纏った黒い巨人が俺たちのアームヘッドの前に浮かび、俺たちが向かうべき2周目の世界の前に立ちはだかっている。


「代替の神の意思は君たちの行為を許容しない」


黒い巨人は右手を掲げ、その手のひらから錫杖めいた武器が生成される。その様子を時の番人たる怪物、スリヴァーも見守っていた。


「それがおまえのアームヘッドか?トキヒコ?」


「マビノギオン、代替神器資格者審判機マビノギオン。これがこの姿の名だ。私は王を神の意思により選定する。そして君たちの行為を止めねばならぬ」


「なぜだ。代替の神とやらの意思か?」


「向こう側は行ってはならぬ世界だ。君たちが混ざればそれは我々の崩壊すら招きかねぬ」


「このような世界、滅んでも構わないな」

俺は俺自身の言葉に驚愕した。俺を俺たちを救わない世界なんてどうでも良かったのだ。俺は俺自身の救済の方法を見つけた。そのやり方が間違っていてそれが世界の崩壊を招いたとしても、惜しくはないのだ。こんな世界など。


「残念だ。君には期待していたのだが」


「期待以上の結果を見せてやるよ」


「ほざけ!ヤリヒコ!こいつをここまで唆したのはお前か!?お前も同罪だ!」


トキヒコの怒りはクルージーンに乗るヤリヒコにも及んだ。


「礼三郎、アドバイスだ。奴の王冠を狙え」


ヤリヒコはトキヒコを無視し、俺に通信を飛ばした。


「ひよこどもは俺に任せろ。奴程度倒せねば、お前の理想とやらも叶いはしない」


「かかってこい!」


俺が叫んだ時にはマビノギオンの姿はない!後ろ!マビノギオンが俺のアームヘッド、ブライトブロウを錫杖で叩きつけた!

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