第2話

あとは、ユーナが来てから成績が学年1位という

ポジションを奪われ、教育ママで有名な

ユーコのお母さんがユーコの塾通いの日数を

増やしたもんだから、イラついているのだ。



俺も林ユーコと同じ塾に

通っているが、何しろ集団授業中、

彼女がイライラしながら机に向かっているのが

否が応でも見て取れた。


ユーナを庇う女子はいない。

彼女は、頭が良いのと黒縁メガネで

ややガリ勉風の根暗っぽい雰囲気があって。

あんまり、会話が上手くなくて

ユーナのコミュ力不足感は否めなず、

女子の友達ができていなかったんだ。

多分、頭の良さを妬まれてのこと、

よそ者、ということもあるとは思うけど。



まあ、でも。


席が隣同士だからか、俺はユーナとは

結構仲良しで友達っぽかった。


そんなユーナがある日、

目に涙を溜めていたんだ。


教室で泣いていた。


「どーしたんだ?体育館行かないのか?」


「あ、あのね、ロッカーに入れておいたTシャツ、どっか行っちゃったの。それであちこち、探したの。

そしたらゴミ箱に入れられてて、墨汁かけられて、真っ黒にされてて」


「それ、ひっでぇな...」


「見学、とも思ったんだけど、

結構好きなバレーの授業だし。だから、

保健室に借りに行ったの、

そしたら予備がなくて...」


「今日の授業は見学するしかないなって」


「あー、えーっと...」


暫し俺は、躊躇ったが、

「俺のでよかったらあるんだよな。

学校指定のTシャツ。ま、サイズが合わねーけど」


「借りてもいい?」


「お、おう!」


ぶっちゃけた話をすると。

ユーナは昔、少女バレーをやっていた

と話してくれたことがあって、

かなりバレーが上手いんだが、

そのスパイクを打つ様が滅茶苦茶かっこよくて

俺は反対側のコートでその姿をたまに

目で追っていたんだ。


その姿はとにもかくにもカッコよくて

あの、有名な木村選手みたいだった。


かくして、俺は

ユーナにTシャツを貸した。



ユーナは体育館に遅れてやって来たのだが、

男子がやたらと騒いでいたんだ。

それもその筈。

ユーナときたら、スタイル良過ぎ!

身体のライン綺麗過ぎだった。


「ちょっと見ろよ!」

「おい、マジか...!!!」

「ヤバイ...!!!!!」

「グラビアアイドルの身体みてーだけどw」


俺も以下同文。他の男子と同じ意見だった。



ユーナときたら、いい意味でヤバすぎる

くびれで、

男子の視線を掻っ攫ってた。


更にそのTシャツ姿で

スパイクを打つもんだから、

やたらと俺はドキドキした。


てかもう、へその上、位まで見えてた。


この日以後、

学年一モテたのはユーコじゃなかった。


もっとも、俺はユーナに

こんなアドバイスをしていたせいもある。


「コンタクトにしてみ。

あとは髪の毛も少し軽くしてみたら?」


かくしてユーナは俺の

言葉に素直に従ったんだ。


くびれ事件から2ヶ月が経過したある日の

朝一。ユーナは

俺にこんな嬉しい報告をくれた。


「聞いてよ!凄いの!私、

街歩いてたらモデル事務所にスカウトされちゃったの!」


最早。ユーコはユーナに対して

恐れ慄いていた。


「小柄な方がモテんのよ!」


と豪語していたけど。

その言葉は一切ユーナの前でも、他の

女子の前でも言わなくなり。


大人しくなったんだ。


ユーナは気が付けば人気者になっていた。

男子からだけじゃなく女子からも。


モデルとしてデビューし、

自信が付いたのか、ハキハキと顔を上げて

背筋を伸ばして話をするよーになったんだ。



さて、こっから先は惚気の話。

実は、高身長なユーナの彼氏が、

ちっこい俺だったりするんだな。


「私が変わるキッカケをくれたのは

シンジだよ」


と言われてな。


彼女と付き合うことになっちまったんだな。


流石に、ユーナと俺は。

かなりの身長差があって

一緒に帰宅する道中は、

周りの目を気にしてしまい、

大変よそよそしいが。


今、高校一年生の俺は。

成長期の最中だと思うから

そのうち身長が伸びる事を期待している。


最後に。


結局、誰がユーナの体操着Tシャツを

ゴミ箱に捨てて墨汁までぶっかけたのかは

分からねーけど。

ユーナにとっては、

そんな嫌がらせも、変わるキッカケに

なった訳だから、結果オーライって

とこかな。



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低身長陰キャの俺がモデル級の高身長美少女に体操着を貸した結果w→「萌え衣装キターw」「くびれ、ヤバいじゃん!」  雲川はるさめ @yukibounokeitai

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