マガサシタンダヨ

最終

首を絞められるように駆血帯

記念に指を切り落とすためのネラトン、保存のためのホルマリン

ベッドに血をたらさないようにドレープ

ガーゼもいるかな

本来指には使わないが、キシロカインE0.5

２３G針と注射器

１１号のメスをごっそりつかむ

僕が今日無断で休んだから外来はどうなったのかな。

残ったメンバーで頑張っているのかな。

外来どころじゃないか、医療安全委員が外来に来てるのかな、それとも警察かな。

妻と息子はどうしてるかな。

実家に帰ったのかな。

妻は何にショックを受けているのかな。

僕が殺人を犯したこと？

それとも同性愛者だったこと？

確かめる方法もないのだけれど。

どんなに考え、シミュレーションしたところで、彼と別れる方法が思いつかなかった。

仕事にも、家庭にも不満はない。

ただ、彼と別れられない。

体に少しずつ軌跡を残していく。

生活にどんどん浸食してくる。

唯一の拠り所での行為の要求

僕の上で懸命に腰を振りながら僕に汗を落としてくる。

やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ

コロスシカナクナイ

魔が話しかけてくる

答えてはいけない

キリスト教の教えを乞うべきだった

メスで刺す

小さな刃なので、すぐに新しいものにかえる

2本までは数えたんだけどね

だれに請求するんだろうね

阿部定のようになれるかな

「しばらくは、病院も休診だね」

泌尿器科の看護師が皮膚科の看護師に伝える。

「私よく事件のこと知らないのだけれど、あの子、真はなにしたの？」

真が刺したんだよ。。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Fin