懺悔

 警察が部屋に到着した時、もはや手遅れだった。綾乃は既に息を引き取っていた。

 私は逮捕され、今は少年院に入所している。毎日、毎日、届く筈の無い懺悔の手紙を綾乃に向けて書き続けている。


 あの事件の後、私の両親は離婚し、それぞれの実家に帰った。センセーショナルに報道され、日本中で話題を呼んだ私の事件。私の両親は加害者の家族として、今でも白い目で見られているらしい。何てことをしてしまったんだ……。

 けれども、もっと悲惨なのは綾乃の一家だった。綾乃の父親は精神を壊し、鬱病になり職も失った。母親は愛する娘を亡くしたショックで首を吊った。その時、彼女は男児を妊娠中だった。私が殺したのは綾乃だけでは無かった。母親と、生まれる筈だった弟まで……。こうして生きている事が申し訳なくなる。いっそ、私を死刑にしてくれれば良いのに……。


 綾乃は私と仲良く遊んだ写真を中学三年生になっても尚、部屋に貼り続け、そしてずっと仲直りをする事を望み、私が仲直りの一言を入れてくれる日を待ち望んでいたらしい。それなのに私は嫉妬して、一方的に恨み続け、しまいには殺してしまった。どうしてこんな事になってしまったのだろう。嗚呼っ、嗚呼!


 時々、綾乃の夢を見る。私も綾乃も子供の姿。一緒に公園を駆け回ったり、ゲームで対戦したり、歌を歌ったり、時には一緒に怒られたり。子供らしく、無邪気な気持ちで楽しい時を過ごす。けれども、最後はいつも同じ結末。私が綾乃を殺す。何度見てもこの結末だけは変わらない。その度に、私は綾乃を殺した時の記憶がフラッシュバックし、後悔と罪悪感に苛まれる。


 綾乃……本当はずっと、君と親友でいたかったよ。ごめんね、嫉妬なんかしちゃって、逆恨みなんかしちゃって……。伝わらない想いを、今日も手紙に書き留める。

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心美と綾乃 加藤ともか @tomokato

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