第78話 殺し屋と決着をつける

 モグラの案内で盗賊が待ち構えている場所に行く。

 うわっすごい数がいるな。

 百人を超えている。

 だが、ライオン1000頭と鎧の戦士100体に敵うかな。


 何でばれたんだろう。

 まあいいや。


「掛かれ」


 ライオン達と鎧の戦士達が突撃していく。

 接敵した瞬間ライオン達が粉々になって光になった。


「ひゃっはー。ぜんぜん物足りない」

「俺達、明けの妖星の精鋭に、こんなしょぼい魔獣をけしかけるとはな。甘くみられたもんだ」


 こいつら精鋭か。

 全員がAランクぐらいの実力があると考えた方がいいのか。


 鎧の戦士達が倍化剣を見舞う。

 しかし、いなされた隙に剣を叩き込まれて、光になって散った。

 何人かは手傷を負ったようだが、致命傷の奴はいない。


 ライオンと鎧の戦士はまだ出せるが、どうにか出来るとは思えない。

 メテオ攻撃も通じるかどうか。

 これは撤退した方がいいのか。


 いや、逃げて帰ったら、必死の思いで送り出してくれたマリーに合わす顔がない。

 俺が出て行ってなんとかなるものだろうか。


「【毒手】溶解の手」


 お前は。

 ライオンが俺の盾になり消えていく。

 居たのは、マリーに怪我を負わせた殺し屋だった。


「【具現化】雌ライオン1000頭。盗賊をけん制して、無理に戦わなくていいから」


 これで盗賊はしばらくなんとかなるだろう。

 ここで殺し屋を始末しないと。


「【具現化】巨大ゴム輪。縮め」

「【毒手】溶解の手」


 こんな簡単な手でどうにかなるとは思えない。

 あっけなくゴム輪は溶かされた。


 魔法の矢は前に石化を食らったから、飛び道具全般は駄目だと思う。

 こいつのスキルは毒手だから、手しか攻撃力が無い筈だ。

 矢を四方から打ち込めばあるいは。


「【具現化】矢100本。飛べ」


 矢が乱れ舞う。

 これでどうだ。


「【毒手】石化」


 なんとこいつ自分に石化を打ち込みやがった。

 矢は全て体に刺さる事なく弾かれた。


「【毒手】軟化毒」


 手がまず自由になり、次に手が腕を突く。

 手首の柔らかい奴だ。

 おっと感心している暇はない、

 こいつが回復する前に。


「【具現化】毒モグラ」


 頼んだぞ、毒魔法を爪に貼ったモグラよ。

 殺し屋は上半身を柔らかくすると下半身も回復した。


 毒モグラが地下から殺し屋に近づく。


「おや、攻撃しないのですか。諦めたのですか。ぐっ。何をした」

「地中から攻撃したまでだ」


 攻撃が成功したみたいだが、致命傷ではないようだ。

 毒に耐性があるのだな。


「【具現化】大岩4個。四方から押しつぶせ」


 大岩が転がり殺し屋の四方から迫る。


「【毒手】溶解の手」


 大岩一つは溶かされたが、他の大岩が殺し屋を弾き飛ばした。


「まだまだぁ【毒手】溶解の手」


「【具現化】岩壁と大岩12個。ビリヤード攻撃」


 ガンガンと大岩同士と壁にぶつかり複雑な動きを見せる。

 殺し屋は何度も跳ね飛ばされるが、着実に大岩を消していく。


 全ての大岩が消された時には殺し屋はフラフラになっていた。

 しぶといな。

 決定打を与えないと。


「【具現化】サンダーアロー。飛べ」


 これを最初に撃たなかったのは、避けられるからだ。

 動きが鈍ったところでなければ当たらないと思った。


「【毒手】石化。ぐわっ」


 サンダーアローは石化されたが電撃を与えた。

 相打ちだな。

 痺れて動けないはずだ。


「イオ、止めを」


 イオが殺し屋の首筋に噛みつく。

 血しぶきが上がり、決着はついた。


 マリー、仇は討ったよ。

 盗賊の方は、ほとんどのライオンを壊している。

 どうしよう。

 魔法の矢は魔力が必要なので数を撃てない。

 大岩をぶち当ててみるか。


「【具現化】大岩10個。転がれ」


「おらおら、岩なんざ、怖くねぇ」


 岩に攻撃を叩き込む盗賊達。

 岩は壊され光になって消えて行く。

 やっぱりな。


 その時、子供に連れられた冒険者達の一団が現れた。


「お前らは、モンド、二コライ、レッド」

「援軍を連れて来たぜ」

「なんでこの場所が分かったんだ」

「足の裏を見てみなよ」


 足の裏に小石ほどのスライムが付いている。

 ジュエルスターが仕掛けていると言ったマイクロスライムか。

 これの痕跡を追ったのか。

 なんにせよ助かる。

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