第53話 クラッシャーとの対戦
「おう、ここから先は俺を倒して進んでもらおう」
「次の相手はクラッシャーさんか」
「妨害なんてみみっちい仕事は嫌だが、ダンジョンを制覇した実力が気になってな」
「教えてもらえませんかね。今までどんな妨害工作をしたか」
「いいぜ、俺がやったのはオーガグリフォンを巣から叩き出した事だな。後で聞いたぜ。坊主が仕留めたんだってな。やるじゃねぇか」
「実力を認めて貰ったのは嬉しいな。しかし、一人ずつなんだな」
「馬鹿野郎。格下相手にSランクが4人で当たれるか」
「そうだろな。では始めよう」
「おう」
「【具現化】岩神。押しつぶせ」
「ふん【打撃】激爆」
岩が大槌に砕かれ光となって消えた。
「これで仕舞いか」
「行くよ。【具現化】ライフル」
ライフルから弾が発射される。
弾はクラッシャーの体表に当たって弾かれた。
ですよねー。
防御も2000オーバーある可能性だもんな。
ライフルが消えなかっただけましか。
俺は何度もライフルから弾を発射した。
「むずがゆい攻撃だな。重さが伴ってない。攻撃とはこうやるんだ。【打撃】爆振」
大槌が地面に叩きつけられぐらぐらと地面が揺れた。
「【具現化】モグラ100匹。クラッシャーを地面に引き込んで」
顔だけ出してクラッシャーが埋まった。
「ふっ、ぬるい。【打撃】打打っ虎」
地面が吹き飛んだ。
なんだ、暴風より始末が悪いじゃねぇか。
魔法を撃ってもいいが駄目なような気がする。
「俺に拘束は効かない」
「【具現化】ファイヤアロー。飛べ」
「ふん、【打撃】空動」
大槌を大きく空振りすると風が起こりファイヤアローを吹き飛ばした。
ああ、そう来るのね。
くそう。
「【具現化】鎧の戦士と剣。
鎧の戦士がクラッシャーに
「とりゃあ【打撃】激爆」
クラッシャーの大槌と
大槌は弾かれ、戦士の剣は光になって消えた。
相打ちか。
「ぬるいぜ【打撃】
弾かれ状態から振りかぶられ鎧の戦士に上段からの打ち込みが決まった。
とうぜん、鎧の戦士は光になって消えた。
どうすりゃいいのよこれ。
強すぎるだろ。
しょうがない。
「ライオンさん、足止めして」
この間にどうするか考えないと。
クラッシャーはライオン数十頭の塊に飲み込まれた。
これを一瞬で弾き飛ばすんだろうな。
早く打開策を考えないと。
どうする。
どうする。
どうするよ俺。
うがぁ、考えつかん。
ありゃ、ライオンさんが吹き飛ばされない。
足止めが効いている。
いったいどうしてだ。
「ぐひゃ、ぐひゃひゃ。やめろ。やめてくれ」
あれ、何の攻撃が効いているんだ。
噛みつきか。
何だろう。
「ディザ、クラッシャーさんはくすぐられてる」
「ライオンさん、全力でくすぐれ」
「ぐひゃ、ひー、はー、うひゃひゃ、ぐふ。苦しい」
「どうだ。降参するか」
「わ、分かった。ひー、はー。こ、この勝負は、お、俺の負けだ」
「ライオンさん止めてあげて」
「ふー、はー、えげつない攻撃をしやがって。お前はやっぱりシェードと兄弟だよ」
「それは勘弁してほしいな。あれほど手段を選ばないつもりはない。シェードの悪だくみで知っている事はないか」
「ああ、人相の悪い男達と交渉してたな。護衛としてついて行った事がある」
盗賊と交渉でもしたんだろうか。
へたな盗賊団が来ても返り討ちだがな。
「シェードなら、負けた嫌味を言いそうだが、寝返らないか」
「寝返るのも何も、俺達はこの妨害工作でお役御免だ」
「そうか、てっきりSランクを暗殺に使うと思っていた」
「俺達がそんな仕事を受けるかよ。俺達は冒険者だぜ。殺し屋じゃあない。他のメンバーも法律に触れるような仕事は受けない」
「なるほどね」
冒険者のSランクに依頼するにしても制約があるんだな。
そうだよな。
違法な事をやっていたらクランの評判が悪くなる。
依頼の妨害は冒険者にとって日常茶飯事だから文句は言えない。
依頼がかち合うと勝負して腕っぷしで決着をつけるのが冒険者流だ。
とにかく後二人と盗賊団だ。
頑張りどころだな。
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