第38話 ラスボス
「だらしがねぇ。ラスボスを前にがん首揃えてよ」
「そりゃ、私が一番乗りだったけど、エシェントドラゴン相手では分が悪いわ。ダンジョンが崩れ落ちるほどの魔法を撃っていいなら別だけど」
「俺のキングインパクトでは大したダメージは与えられないだろう。協力して当たるのが正解だと思うぜ」
「あれは確かに手に余る」
「皆さん集まったんだから、仲良く行きましょう」
「坊主にはSランクのプライドがねぇからそう言える。だが、ここで喋っていてもらちが明かない。俺が一番槍をやってやろう」
そう言って剣聖がエシェントドラゴンの寝床に突撃を開始した。
「【斬撃強化】倍化剣いち、倍化剣に、倍化剣よん、倍化剣はち、倍化剣いちろく、倍化剣さんに、倍化剣ろくよん、倍化剣いちにっぱ、倍化剣にごろ、ふう、暖まったぜ。倍化剣ごいちに、倍化剣いちぜろにいよん、倍化剣にいぜろよんはち、倍化剣よんぜろくんろく、倍化剣はちいちきゅうにい。はぁはぁ、どうだ」
剣聖の攻撃が炸裂したが、ほとんどダメージはないようだ。
尻尾の一撃が疲れて動けない剣聖に迫る。
「【流動】キングインパクト。剣聖よ、油断だぜ。貸し一つだな」
尻尾攻撃が
「俺もやらないと。【具現化】ライオン100頭。けん制してくれ」
「私も。風の刃よ切り裂け、ウインドカッター【魔法巨化】」
「超強酸砲」
遠距離攻撃はどれも効いてない。
「おっと危ねぇな」
剣聖が慌てて飛び退いた。
爪の一撃が
「
ライオン数匹が
マリーがポーションを
くそう、ダメージを与えない事にはジリ貧だ。
そうだ。
「【具現化】パイルバンカー」
ドスンとパイルバンカーが落ちて土埃をあげる。
重さの設定を思いっきり重くして、爆発のテクスチャーを何重にも重ねた。
「誰かこれで一撃かましてよ」
「やったろうじゃない。後ろからチマチマ魔法を撃つなんて柄じゃないわ。フィジカルブースト、スピードアップ」
アンリミテッドがパイルバンカー拾い上げて、エシェントドラゴンに走り寄る。
「とおりゃー」
パイルバンカーを押し当てて、大爆発を起こし杭を射出した。
杭はウロコを砕いただけみたいだ。
「グギャー」
やばい、エシェントドラゴンは大きな口を開けブレスの体勢に入った。
「【具現化】大岩。口に挟まれ」
大岩が口を塞ぐ。
アンリミテッドがパイルバンカーを再び押し当てて杭を打ち込んだ。
効いてるぞ。
「【作成依頼】ドリルを頼む」
「作成料として金貨11枚を頂きます」
「分かった」
「作成完了」
「【具現化】ドリル」
「アンリミテッドさん、これ使って」
「ええ、行くわよ」
シュイーンという音を立ててドリルが回転。
パイルバンカーでウロコが砕けた場所にドリルを押し当て、ドリルは肉を裂いた。
ドラゴンは前足でアンリミテッドを切り裂こうとしたが。
「アンリミテッド後輩、危ない」
ジュエルスターが体を張って爪を防いだ。
「止めよ。爆発よ起これ、ボム」
食い込んだドリルを爆発の力で更に押し込んだ。
「ギョエエエェェェ」
口に詰めた大岩が外れ、ドラゴンの絶叫が寝床に木霊する。
どうやら死んだらしい。
ぐったりしたドラゴンを回復した
終わったのか。
接戦だったな。
「止めを刺したんだから、ダンジョンコアは私の物ね」
「ほら、受け取れ」
剣聖がドラゴンが守っていたダンジョンコアを取ってアンリミテッドに投げ渡した。
「ちょっと投げないでよ。マナポーションを作成。あれ、ダンジョンコアが言う事を聞かない」
「アンリミテッド後輩、ダンジョンコアに嫌われたな」
マリーにポーションを掛けられ復活したジュエルスターがそう言った。
「ええと意味が分からないんですが」
「ダンジョンコアはこの状態でも生きている。主人として認めた者の命令しか聞かない」
「たぶんだがよ。坊主の出した道具でダンジョンマスターを倒したから、坊主が主人だと思うぞ」
剣聖が顎を撫でながら言った。
「やってみてよ」
「マナポーションを作成」
ダンジョンコアからマナポーションが生まれた。
「討伐者おめでとさん」
「私だと思ったのに。お金は皆で分けなさいよ」
「ええ、ここにいるメンバー全員で分けます」
「まあ、なんだ。こんなに早くダンジョンを討伐できたのは、坊主の従魔がザコを片付けたからだ。坊主が独り占めしても文句は言わんがな」
「違いない。俺もその意見に賛成だ」
「皆さんがいたからです。分けましょう」
ギルドの探索隊が来るより早くダンジョン討伐が終わってしまった。
俺は問題ないんだが。
クラン・デスタスのメンバーが悔しがりそうだな。
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