第27話 リーナさんと出会う

「今日の依頼は定番のオーク狩り」

「オーク肉は大好き」

「よし、帰りに露店で串焼きを買って帰ろう」


 オークの出没情報がある森に車で乘りつけた。

 さあ、スマートにサクッと倒すぞ。


 持って来た匂いの強い果物をばら撒いて潰す。

 果物の甘い匂いがオークは大好きだ。


 程なくしてオークの一団がやってきた。


「【具現化】巨大ゴム輪【アニメーション】縮め」


 さてゴム輪の拘束はどうかな。


「ぷぎゃー」


 オークが気合を入れてゴム輪の拘束を解いた。

 流石にオークには敵わないか。


「マリー、撃っていいよ」

「ラジャー」

「フライングソードとカリストとイオは前衛だ」


 鞘から剣が抜けて、カリストとイオが駆け出して行く。


「【具現化】巨大ゴム輪【アニメーション】縮め」


 俺も巨大ゴム輪で援護する。

 拘束されている時は隙だらけだから、あっけなくフライングソードが首を切り裂いた。

 うん、巨大ゴム輪は魔獣にも使えるな。


 次は。


「【具現化】ミサイル【アニメーション】発射」


 3メートルはあるミサイルがオークに突き刺さる。

 ミサイルは光になったがオークは気絶したようだ。

 カリストが噛みついて止め刺した。


 ミサイルは使いどころが難しいな。

 案外要らない子なのかも。

 爆発すれば違うのだろうけど。

 爆発のアニメーションを組むのはめんどくさい。

 ミサイルに衝角をつけるのが手っ取り早いか。


 そうしよう。


「あら、ディザじゃない。マリーもいるわね」

「リーナさん」

「ほんとリーナさんだ」


「マリー、手早く片付けるよ」

「アイアイサー」


 ミサイルとゴム輪を撃ちまくってオークを片付けた。


「リーナさん、久しぶり」

「子供とオークが見えたから焦ったわ。でも、二人とも強くなったのね」

「まあそれなりには」

「えへへ」


「見ないうちに大きくなったかしら」

「成長期ですから」

「相変わらず上手くやってるみたいね」


「リーナさんはなぜここに」

「魔獣の湧き方がおかしいとの情報があったのさ」

「へぇ、大事になりそう」

「分からないわ。二人とも気をつけるのよ。また後で会いましょ」

「はい」

「うん」


 リーナさんは去って行き、俺達はオークをダンプに積んで街に帰った。

 魔獣の湧き方がおかしいのか。

 気になった俺はギルドの酒場に行った。


「ええと、来てみたはいいけれど、どうやって情報を得よう。一緒に酒を飲む訳にはいかないし」


 おごるのも子供がする行動とは思えない。


「ふふん、マリーにお任せ」


 マリーが酒場に入って行き、声を張り上げる。


「マッサージ1回で銅貨1枚」

「おう、ちょうどこってたところなんだ。頼むよ」


 俺もマリーと同じ様にマッサージをし始めた。


「魔獣の湧き方がおかしいって聞いたんだけど」

「ああ、そこそこ。そのつぼが気持ちいい。魔獣の数が増えているのは確かだ」

「予兆なのかな」

「分からん。スタンピードが起こるとしたらダンジョンが出来ているのかもな」


 マッサージを何人かにして、情報を得た。


「あのね、ゴブリンとかオークが増えるのはスタンピードの予兆なんだって」

「俺も聞いたよ」

「ダンジョンが出来るとコアを求めてそこら中から、冒険者が来るみたい。ひとつの千金だって」

「それを言うなら一攫千金だろう」

「ダンジョンコアのお値段はなんと金貨1万枚」

「それは危なくない範囲で狙わないと」

「うん、狙わないと」


 ギルドの依頼掲示板を見ると沢山の依頼が所狭しと貼られていた。

 昼過ぎなのにこの量は確かに異常だな。

 オークの村への被害の依頼が多い。

 稼ぎ時なのかもな。


 門の近くのギルドの買取所に行く。


「頼みがあるんだ。従魔がオークを狩ってくる。門の所で受け取ってくれないか」

「賢い従魔なんだね。いいよ頼まれた」


 門から外に出て。

 雌ライオンを6匹作った。


「イオとカリスト、雌ライオンを率いて門が閉まるまで、オークを狩ってこい。危なくない範囲でいいからな。一匹ではぐれている奴を狙うんだぞ。夜になったら家まで帰って来い」


 イオとカリストが頷くと駆け出していった。

 経験値をこれで稼ぎまくれるぞ。

 夜間に経験値稼ぎが出来ないのが、少しもどかしい。

 鎧をショップで買って冒険者をやらせてみようかな。

 駄目だな、喋れないんじゃ。

 それに夜、門は閉まっているのは仕方ない。

 肉が腐らないのだったら、街の外にある家の前に積んでおくのも良いのだけど。

 出来ない物は出来ないので後で要改善だ。

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