第8話 スキルレベル3

 1ヶ月が経ちスキルレベルが3になった。

 レベル2になって使えるポリゴン数も増えたから、経験値の取得も早まったのだろう。


 ついに俺の時代が来た。

 まあ見てくれ。


――――――――――――――

名前:ディザ LV1


魔力:15

筋力:11

防御:8

知力:47

器用:10

瞬発:12


スキル:ポリゴン LV3

――――――――――――――

――――――――――――――

ポリゴン LV3

 10000ポリゴンまでのモデリングをする事が出来る。


 サブスキル:

  モデリング

  具現化

  アニメーション

  ショップ

――――――――――――――


 なんとショップが解放されたのだ。

 ショップに売っているのはモデリングされた物とアニメーションとテクスチャー。

 嬉しい機能だ。


 まずは武装をという事でフライングソードにする剣をショップで売っている1000ポリゴンの物にした。

 刃紋もあるし、柄もちゃんとしてる。

 西洋の剣に普通は刃紋はない。

 誰がモデリングしたのか分からないが、恰好良いが分かっている。

 柄頭に宝石もはまっている。

 宝石なんて糞の役にも立たないが恰好良い。


 どこからどう見てもちゃんとした剣だ。

 ただね。

 ショップの商品の価格が高いのだよ。

 剣は金貨1枚もした。


「不味い貯金がない」

「貸してあげる」


 小学一年生ぐらいの女の子にお金を借りる。

 いや、ないな。

 そう言えばお金が必要ならいつでも言えよとマリーに言っておいた。

 服は買ってやったが、一度もお金ちょうだいとは言ってこない。


「マリーはどうやって稼いでる。毎日の収入が銅貨30枚だろ。宿代が銅貨25枚で、食事代は5枚以上食ってるな。赤字のはずだが」

「クランで肩もみをしてあげてるの。一回銅貨1枚よ。耳かきも一回銅貨1枚よ。それから爪切りも」

「掃除が終わってから、俺がポリゴンで遊んでいる間に、そんな事してたのか」

「これでも好評なんだから」


 そんなマリーの汗の結晶を貸してもらう訳にはいかない。

 じゃんじゃん稼がないと。

 低ポリゴンの商材を開発する必要があるな。


「じゃじゃーん、永久機関。摩擦とぶつかった衝撃が熱など他のエネルギーにならなければだけどね。【アニメーション】永久機関」


 まず作ったのは金属の玉が金属のひもにぶら下がってカチコチ動く奴。

 土産物に最適だったからだ。


「面白ーい。でも物足りない。なんでかな」

「実際にぶつかっていないから音がしないせいだ。アニメーションで動かすのを辞めてボーンのみして本物のように運動エネルギーにするべきか。でもそうしたら永久に動かない」


 アニメーションにサウンド機能を追加しろと言いたいが、それだとポリゴンスキルではないだろう。

 運動エネルギーにしてみたら、上手く動かない。

 玉がバラバラに動く。

 これは玉が球体に見えてでこぼこした物体だからだ。

 失敗だなこれは。


 それにポリゴン数が多い。

 単価を高くしないといけない。

 ということで交渉して一つ銀貨1枚にしてもらった。

 まあ珍しもの好きが買っていくかも知れない。

 一日に1個は売れないと思う。


「じゃじゃーん、テント。アニメーションさせると広がるんだ。【アニメーション】広がり」

「うわ、一瞬で出来上がった。路上生活の時に欲しかったね」


 次に作ったテントはモーフィングを使ってワンタッチで広がる。

 アニメーションの設定に念入力設定がある。

 他の人にもアニメーションさせられないかモデリングで念じたら出来た。


 念入力にするとポリゴンを持っている人が念じると広がる。

 畳むのも同様だ。


 テントの入口は本物の布を取り付けた。

 適材適所にやらないとな。


「さて、これはクランに置いてもらおう。倉庫に入れといてテントありますのポップを出しておけば良いな。売買はクランの事務してるお姉さんに頼むとして、価格は銀貨3枚はほしいな」

「売れるといいね」

「よし次に行こう。今度は傘だ。【アニメーション】広がり」


 ジャンプ傘だ。

 機構の部分はアニメーション任せ。


「これ威嚇にも使えそう」

「鋭いね。熊をこれで追い払ったという記事をどこかで読んだ記憶が。あれ猿だったっけ」

「変なディザ。でも、いつも通りね」

「傘は銀貨1枚だな。土産物屋に置かせてもらおう。今度は凄いぞ。なんと腕時計。まだバンドはついてないけどな。【アニメーション】時計」


 一定間隔で針が回るアニメーションなんてツールの使い方さえ覚えれば誰にでも出来る。

 腕時計のバンドは本物の皮の予定だ。

 ポリゴン数をこういう所で節約しないと。


「うわ、これ欲しいな」

「一つあげるよ。価格をどうしよう。永久に動く時計。金貨1枚はぼったくりか。銀貨10枚ってところだろうな。高すぎて土産物屋では売れないな。クランの人間もアクセサリーは買わないだろう」

「商人に売ったら」

「そうだね。時間を気にするのは商人ぐらいか。問屋辺りに流せないかな。いや駄目だ。伝手がないや」


 これは封印だな。

 伝手ができるようになったら、売り出そう。

 金策がある程度済んだら、冒険者やるぞ。

 護衛と武器はショップで手に入れればいいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る