第6話 スキルレベル2

 遂にスキルレベルが2になった。

 レベル2のステータスはこんな感じ。


――――――――――――――

名前:ディザ LV1


魔力:15

筋力:11

防御:8

知力:47

器用:10

瞬発:12


スキル:ポリゴン LV2

――――――――――――――


 相変わらず数値は上がらない。

 レベルが上がってないからだろう。

 やっぱり魔獣を倒さないといけないのか。


 スキルの詳細は。


――――――――――――――

ポリゴン LV2

 1000ポリゴンまでのモデリングをする事が出来る。


 サブスキル:

  モデリング

  具現化

  アニメーション

――――――――――――――


 ポリゴン数が10倍になった。

 それとアニメーション機能が使えるようになった。


 ここで問題発生だ。

 具現化でエラーを吐かれないようにモデリング出来る自信がない。

 剣ぐらいはなんとかモデリングできそうだが、それだけだ。

 だが、工夫が出来る。

 モデリングにはボーンと呼ばれる骨の機能があるのだが、これには実体がない。

 俺の背中からボーンをいくつも繋ぎ関節状にする。

 それを伸ばしてその先に剣をくっつける。

 なんちゃってフライングソードだ。

 縦横無尽に動くアニメーションを追加すれば、けん制ぐらいにはなるだろう。


 ウサギを肉屋に売って、マリーを抱き枕にその日は就寝した。

 ウサギの名前は鑑定ウサギというらしい。

 どうでも良い事だが、レベルが上がると逃げて行くからその名前がついたのだと。

 強敵ほど逃げ足が速くなるのだとか。


 次の日。


 土産物屋に売るオブジェがバージョンアップした。

 半透明の立方体の中にメタリックな八面体を浮かべる。

 回転するアニメーションをループさせる設定をすれば完成だ。


「こんにちは。今日の土産物は一味違うよ【具現化】【アニメーション】回転」

「見せて見な。なるほどね。動くのか」

「銅貨30枚」

「駄目だね。売値を考えたら銅貨20枚だ」

「一日に50個作れるんだけど」

「そんなには売れないよ。いいとこ15個だね」

「そう、分かった他を当たってみる」

「ちょっと待ちな。他の土産物屋に持って行くんじゃないだろうね」

「おばさんには世話になったから、よそでは売らないよ。石のタイルを売るんだ」

「なら、良いよ。土産物はやくざがやっている所もあるから、気をつけなよ」

「ああ、気をつける。でも、俺には飛ぶ剣が味方についているんだ【アニメーション】剣を抜く」


 剣が腰から抜けて、空中にぴたっと停止する。


「物騒な物は仕舞っとくれ」

「驚かして悪かった【アニメーション】初期化」

「土産物はそこに置いておくれ」


 土産物の棚にポリゴンで作った動く正八面体を置いた。


「あれ、売れないね」


 マリーがそう呟く。

 視線を辿ると棚の上の方にこの店に最初に売ったオーブがあるのに気づいた。


「銀貨3枚は高すぎでしょ。仕入れ値の10倍だよ」

「あれは何となく気に入ったんだよ。価値を分かってくれる奴にしか売らない」


 土産物屋のおばさんがそう言った。


「あれって何で消えないのかな。そういうスキルだって言うのは分かるけど」

「あれはね。空気中の魔力を吸い取って存在しているのさ」

「なんで? 証拠は? あてずっぽうじゃないよね」

「魔力の流れが見える覚醒者に教えてもらったのさ」


「そうなんだ。体に害とかないの」

「空気中の魔力は沢山あるから、心配はないそうだよ」

「へぇー」


 という事はポリゴンは壊さないか、または俺が消さない限り消えない。

 良い事を聞いた。

 これで心置きなく商売が出来る。


 土産物屋を後にして、石屋を尋ねた。


「石のタイルを持ってきた」

「おう、あの時の坊主だな。覚えているぞ」


 今日持ってきたのは大理石のテクスチャーを貼って、光沢を表現した石のタイルだ。

 よく見るとポリゴンなのが丸わかりだが、ぱっと見は高級そうに見える。


「どうよ。銅貨1枚って事はないでしょ」

「うーん、銅貨2枚だな」

「えー、よそに持って行くよ」

「銅貨3枚」

「じゃ、さよなら」

「銅貨5枚。これ以上は出せない」

「しょうがない。売った」


 今度はきちっと交渉して一枚を銅貨5枚で買ってもらった。

 これでもぼられている気がするが、まあ良いだろう。


 ポリゴン数に余裕が出来たので実験をする。


「じゃじゃーん、石のタイルバージョン2」

「ねえねえ、どこが違うの」

「それはな。でこぼこがあって本物に近い。ここで今までの石のタイルを出します」


 俺は二つの板を打ち付けた。

 光になって消えて行くおうとつのない石のタイル。


「わあー、バージョン2が勝った」

「じゃあ、もっと細かいおうとつのあるバージョン3」


 二つを打ち合わせる。


「バージョン3の勝ち」


 興味深い。

 ポリゴンが多くなると頑丈になるのだな。

 やはりモデリングというのは魔法の呪文の役割だな。

 イメージに沿ったものほど強い。


 イメージが本物に近づくほど性能が良くなる。

 そんなところだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る