第137話 聖なる衝撃
「“反射”――――」
僕の目の前に光の膜が広がっていく。
それは、今までのものとは明らかに違っていた。
明るく、輝き、強く、そして大きい。
それはまるで僕を包むかのように広がった。
来る―――――!!
今までのものは衝撃が来れば、一瞬で崩れてしまっていたが。
それは、メキメキと音を立てながらもなんとか持ちこたえる。
それどころか、
「いけぇっ!!!」
僕がそう叫んで更に魔力を込めると、それに答えるかのように強く光って、
「↫↡/¡§<›∆¤×‼¢°§§¥¢¿¡⁉――」
その衝撃そのものを反射してみせた。
跳ね返った衝撃は、目にも留まらぬ速さで進み、やがて発射点――――つまりは、”ソレ”の元へと向かっていく。
狼の躯体を保持できずにかろうじて四本脚で立っている”ソレ”は、跳ね返ってきた衝撃を避けようとするが、あと少しのところで間に合わず、左肩のあたりを撃ち抜かれる。
「"#$%&'()0)(')0=(~I`P――――!!」
”ソレ”は苦しぬように音もなく吠えた後顔を上げるが、撃ち抜かれた場所はその形を保てずにポッカリと穴が空いてしまっていた。
「#$%&'0)%#'`+**>――――」
”ソレ”は悶ながらも、追撃を打とうとする……が、そんなこと僕が許すはずもなく。
「精霊剣」
空中で右手を振って精霊剣を取り出し、力いっぱい”ソレ”に向かって振り抜き、同時に僕自身も”ソレ”に向けて突進していく。
必ず仕留める……!!
「#$%0)"%&#"+`{>*``{――――!!!!」
精霊剣によって生み出された氷の弾を、”ソレ”は咆哮によって相殺する。
「よし、行くぞっ!!」
その間に接近していた僕は、スピードをそのままに精霊剣を全力で“ソレ”に叩きつける。
「¤|¡¥›(¤↥Ⅷ▼∆<∆¤‼×<――――!!!!」
“ソレ”は声にならない悲鳴を上げながらも、体をよじって剣から逃れようとする。
ここだッ!!!!
僕は剣で切りつけながら左手を前に付き出し、そして叫ぶ。
「解き放て、
眼前で光が膨らんでいくのを見ながら、僕はすかさず転移魔法で“ソレ”から距離を取る。
生み出された光はみるみるうちに膨らんでいく。
それは温かく、そしてどこか悲しい色をしていた。
「§⁇§↫⑦0↬¢⁇:¢¢%▶⁇""_¢――――!!」
“ソレ”は最後まで音を伴わずに絶叫し、やがて光にのまれていった。
「はぁ、はぁ……はぁはぁ……」
僕は息を整えながら、男へ向く。
「く、クソ、お前は、なんなんだ!! 賢者様の御力がぁ……!! 許されない、こんなの許されない!!!!」
僕の魔法に捉えられた男は、絶望したような表情で絶叫していた。
「さっきから、賢者様とか我が主とか、何の話なんですか?」
僕は彼の拘束をより強く、より頑丈にしてから今までずっと気になっていたことを尋ねる。
「お前……賢者様を知らないのか……!!?」
「はい、貴方の言っている賢者様は知らないです。」
驚愕の表情で僕を見る男にそう答える。
「終わりましたか……?」
横を見ると、リリア様がこちらに向かって歩いていた。
「はい、なんとか。」
僕はそう答えて、彼女を守るように前へと立つ。
「そんな人類がいたとは……もういい、負けたんだ好きなだけ話してやるよ……。」
彼は驚き呆れたようにそうつぶやいて、一度大きく天を仰ぐと、ポツポツと話し始めた。
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