「ふふふ、あはは、ふはっはっはっ!!!!」


水の都を見下ろせる丘に、大きな笑い声が響き渡る。


「ようやく始まるよぉ!! ズゥーーーっと準備してきたかいがあった!!」


男はニッコニコの満面の笑みで、これから始まることを想像しながら叫ぶ。


「みんな、よろしくね!! じゃあ、始めようじゃないか!! 待っていてくださいね、王女殿下!!」


男がまるで、ずっと待っていてようやく親が遊んでくれた子供のように無邪気に笑う。


「さぁ、ゲームを始めよう」


パチン


と、指を擦って小気味のいい音を鳴らし、男は丘から飛び降りた。


男の姿が闇に紛れて見えなくなったその時――








――――街が、爆発した



少しずつ狂ってきた歯車が軋むように、世界もまた歪んでいた。


歪みが奇跡的に直るのか、はたまた歯車自体が壊れるのか。


男には、そんなことはどうでも良かったのかもしれない。


ただ、と再開することさえできれば。



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