第21話 質問もんもん
おっと、閑話休題。
肝心の僕の番号は………あった!
狙い通り真ん中のCクラスにJ-9999番があった。
「少年!あったか!」
「うん、有りました。ありがとうございました。」
僕はムキムキ君に頭を下げて礼を言う。
「俺はCだったぞ!少年はどうだ!」
「僕もです。」
「そうか!これもなにかの運命かもな!!ハハッ!」
ムキムキ君はそう笑って僕の背中を叩く。
「ああ。えー、受かった奴らは訓練場まで来い。」
そんな大きな声が、喧騒の場に響いた。
実技試験をしたところーーー訓練場というらしい。にムキムキ君と行く。
「これで全部かぁー?」
実技試験の時の眠そうなおじさんが台に立って叫ぶ。
確かニから始まる………ニートみたいな名前だった気がするな。
「じゃあちょっと早いが始めるか。えー、諸君合格おめでとう。これで君達もはれて魔法学園の生徒になったのだが、ここで私から色々説明をしておこう。」
心底やる気のなさそうな声でおじさんはいう。
「フン!フン!」
隣のムキムキ君は鼻息荒くおじさんを見つめていた。正直言ってうるさいが、我慢しよう。
「君たちはぁ、3日後の入学式からこの学校の正式な生徒になる。明日の朝、7時にここで制服の採寸とかがあるから来るように。入学金、在学金、教育金、制服の代金に至るまで何から何までただだぁ!有難く思え。希望者にはただで寮も用意してるからそれも明日言うように。別途で説明があぁる。」
ただなのは嬉しいが、それ学校にメリットあるのかな?僕たちからお金を取らないと回んないと思うケド……。
「なんか質問はあるか?」
おじさんがそう言うと、控えめに手が挙がる。
「はい、そこの昨日彼女に振られたけど今日可愛い子が居たからその子を落とそうとしてるような顔した男!」
「なっなんでわかるんすか!!!?」
すげーな。
ピンポイントで少年の心を当てた。これには少年もびっくりして目が丸になっている。
「それより質問をしろ。」
「はっはい!すべてタダなのは嬉しいですが、それ都合が良すぎませんか?」
おっ!少年、僕の思っていることを言ってくれた。
周りの生徒からも頷く声が聞こえてくる。
「それなぁ。ならお前に問おう、我が国と他国との関係は?」
おじさんは、真剣な顔になって言う。
「決して良好とは言えないです!」
「だろう。なら、戦争が起これば何が必要になる?」
少年もハキハキと答える。
「兵力です!」
「そうだよな。優秀な兵が国は欲しいよな?で、この学園に入ったお前たちは優秀だよな?国は優秀な兵が喉から手が出るほどほしい。そして、それは他の連中も一緒だ。教会に、商会。貴族に友好国。みんなこの世の中で優秀な人材がほしい。そんな連中は人材の卵を育てて、国内に留めてくれる学園に対して多くの金を出してでも、人が欲しいのだよ。ここまで言えばもうわかるよな?」
おじさんを見つめて、少年は言う。
「教会や商会からの補助金で学園は成り立ってるって事ですか?」
「まぁ、そんな感じだ。だから、気にするな!今の金よりこれからの貢献の為に励め。じゃあ他に質問は?」
それから数個質問を返して、寮に入りたい人以外は解散になった。
「少年はどうする!」
ムキムキ君が話しかけてくるので答える。
「寮の説明を受けようと思います。」
「そうか!じゃあな!!」
彼はそう言っていなくなってしまった。
「何だったんだ?」
『悪そうではないよね。』
「まあ、いい人そうだよな。」
僕も訓練場の真ん中に向けて歩き出した。
◇ ◇ ◇
「えー、寮は基本無料だが、飯はついてないので気をつけるように。台所と風呂は共有でいつでも使って良い。トイレは各部屋にある。基本一人一部屋だが、相部屋もできる。こんな感じだが、なにか質問はあるか?」
いきなり始まった説明だが、質問はなかった。
「じゃあ、この書類にサインしろ。」
と、渡された書類には【入寮規約書】と書かれてて、ざっと読んだ感じ、寮を壊したりしたときの対応とかなんとかが書いてあった。
えっと、レスト・ローズド・サタンヴィッチ・ルシファーっと。
僕はおじさんの脇の台に紙を置く。
「うん。後は………あっそうだ!入寮は明日の服の採寸の時にやるから。じゃあ解散。」
その声で、生徒たちはバラける。
数は全体の1/3位かな?
そんなに部屋があるのか疑問だが、そこは学園だし、あるのかな?
そう思いながら僕は、ギルドへ向かおうと外へ歩き出した。
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