2 ダンジョン攻略編
第8話 挑戦ダンジョン!!
ダンジョン、それは…………洞窟に魔物が住み着いたやつ。
僕にとってはその程度の理解だが、この世界だとダンジョンはとても貴重な資源らしい。
最下層まで行き、攻略できればお宝ゲットで勝ち組人生。
上層で若者たちが鍛える、訓練の場としても最適。
とまぁ、人が死ぬという最大にして唯一と言っていいほどのデメリットがあるがそれ以外はメリットたくさんらしい。
とまぁ、なんでこんな説明をしているかというと、僕は今そのダンジョンの前にいるのだ。
~これまでの僕~
なんか変な夢を見て、強くなろうと地獄の訓練を開始して一ヶ月、実戦をしようと見つけたダンジョンに挑む。
こんな感じで僕はダンジョンに潜ろうということになった。持ち物は全部魔法で収納してるので、身一つなのだが、僕は未だにダンジョンに入れないでいた。
いや、怖いとかじゃないけど中の様子を知らないし、初めてだからね……………。
「ふぅ……。」
僕は息をゆっくり吐き、スロを頭にのせてゆっくりとダンジョンの階段の一歩を踏み出した。
このダンジョンは山の岩肌に隠れるようにしてあったからレアスポットかもしれない。
ダンジョンの規模は階数で決まるらしいが、まぁせいぜい30あればいいかなと思っている。
「おっと、初めては君か!」
僕は現れたゴブリンに向かって剣を振るう。
その剣はゴブリンに止められる…………ことなくすんなりとゴブリンは斬られる。
まぁ、鍛え上げた僕の腕にかかればゴブリンくらいへっちゃらなのさ!
ゴブリンは倒されるとすぐに光になって消えていった。
残ったのは魔石のみ。
「これがダンジョンか。仕組みがわからん。」
僕は魔石を回収しつつなんなく進んでいった。
「今日はこの辺にしとくか。」
今日でダンジョンに潜って一週間…………とかはなく、普通に初日だ。
3階層へと続く階段を見つけたところで早めに終わりにした。
パチパチと焚き火がくすぶる音だけが聞こえる。
「おやすみ」
僕はそっと目を閉じた。
◇ ◇ ◇
「グゥオオオ!」
雄叫びを上げるゴリラと猿の混合種みたいな魔物に僕は一瞬で近づき剣を振るう。
「ふぅ、倒せた!」
今日はダンジョン2日目。
朝起きて持ち込んだ木の実を少し食べたらストレッチしてすぐに攻略を進めた。
現在8階層。
ここまでさして強い敵は出てないので、ボス部屋と思われる10階層に僕は期待していた。
「あっ、見つけた!」
僕は9回層への階段を見つけ、降る。
「おぉ、イメチェンした!!」
今までは石に苔が生えたみたいな壁だったが9回層は一転、ホラゲーのような血塗られたやつになっている。
「ゴオオオオオオ……」
出てくる魔物も幽霊系のゾンビとかだ。
「はっ!」
幽霊には物理は効果なしらしいので、光魔法を付与して戦っている。
ちゃんと効果はあったらしくゾンビが倒れる。
「魔石、魔石。」
僕は魔石を回収し、更にその奥に潜っていった。
◇ ◇ ◇
グギイイイイ
きしんだ音を建てる扉を僕は押す。
ここは10階層だ。予想通り10ずつ区切りがあるらしく、10階層に入ったら扉だけがあった。
「うわっマジか」
僕は扉の先にいた魔物に驚く。
仰々しく飾られた椅子に座っていたのは、異世界の定番、オークパイセンだった。
「オークって強いのか?」
僕は疑問に思うが、やってみないとわからない。
すぐさま剣を抜き、攻撃に備える。
「ブオォォゥ!」
オークが全力で拳を振ってくるが、40点といったところだ。
速さは遅いしスキも多いし、力もいまいちだ。
僕は攻撃をサッとかわし、一歩踏み込んで剣技を放つ。
「ブ、ブオ!」
オークは自らの右手がなくなったのを見て、巨体を怒りに震わせる。
「ブヒィィィ!!!!」
そんな掛け声とともに、大きく開いたオークの口に光が集まる。
僕はその間に切ることもできたが、面白そうなので待っていた。
「ブヒヒヒヒヒ!!」
気持ちの悪い笑みを浮かべて、オークは光の玉を飲み込み…………吐き出す。
燃え盛る炎の塊となったその魔力塊を僕は剣で通販番組の野菜らしく、粉々に切り裂く。
「もういいかな………。」
僕はそっとオークの間合いに入り、その胸に突きをはなち、オークを倒す。
「次の階層に期待かな。」
僕は大きめの魔石を拾いながら小さく呟いた。
◇ ◇ ◇
11階層からは9階層のようなホラー系で統一されていた。
出てくるのはゾンビや薄く体が透けた幽霊、変わり種でオークゾンビなんてのもいた。
僕は11.12.13....と順調にクリアして、ここ20階層のボス部屋へと辿り着いた。
「いくか。」
僕は扉を開き広場に出る。
剣はすでに抜いてあり、臨戦態勢だ。
シュン、僕の耳元の後ろの壁にナイフが刺さる。
「見え無い………か。」
僕は探索魔法を使ってみるが魔物の反応はこの部屋にない。
完全に気配を消しているか、そもそも体がないか。
僕は飛んでくる剣や魔法を切り裂きながら広場の中心へと進む。
「
光属性の王級魔法を部屋全体に巡らせる。
「グッ」
そんな音が聞こえたので効いているだろう。
このまま放ち続ければ勝てる………のだが、
「くっ……」
僕の魔力量にも限りがある。
外から魔力呼吸で供給しているが、それでも追いつかないほど王級魔法は魔力を使う。
普通は攻撃魔法なので、この魔力量を一瞬維持できればいいのだ。
「グアァァァ!!」
魔物の声が聞こえた。あと少し、もう少しだ!!
僕は自分を鼓舞し、魔法を維持し続ける。
「グハッ………」
僕の口から血が出てくる。体が悲鳴を上げているのがよくわかる。
あと10秒しか維持できない。
10......9.....8....7....6....5....4....3....2....1..
「グゥオオオオォアアアアア!!!!」
「や、やっと出てきたか………」
僕の魔力が尽きるギリギリのところで相手が先に音を上げた。
僕は震える手で剣を持ち、魔物を見る。
おっきなカーテンに目と口がついているようにしか見えないが、れっきとした魔物なのだろう。
「グアア!!」
魔物は声を上げた。
「第2ラウンドだ!!!!」
◇ ◇ ◇
シュン、シュン………
僕を正確に捉える魔法をかわす。
本来なら魔法で応戦したほうがいいのだろうが、僕にそんな魔力はなかった。
「ぐっ………!」
数の暴力に負け、たまに食らう魔法で僕はすでにぼろぼろだ。
ジリ貧なので、一か八かの大勝負に出る。
地面を大きく蹴り、天井に飛びつく………だが当然重力に負けてすぐに落下する。
魔物はそのすきを見逃さなかった。
「グァーーーー!」
大量の魔法矢を生み出し、僕を殺さんとする。
「ぐぁぁぁ…」
僕は矢を体中に受けながらも空中である型をとる。
「
空中で急加速した僕の体と剣がカーテンの魔物に迫る。
「グッアアァァああ!!!」
僕は勢いのままに地面に叩き落ちる。
「っ、いってぇ」
カーテンの魔物は、きれいに真っ二つになってその上側がヒラヒラと下に落ちている。
「勝ったぁ、良かった!」
僕は駆け寄ってくるスロを撫でる。
体は技の反動で歩くのが精一杯だ。
さっき使ったのは【
だが、その代わりに使ったあとは無防備になるのだ。
カーテンの魔物は倒しても魔石は出ない代わりに、その体が素材として使えるらしい。(賢者様談)
僕はその絹のような体を魔法で収納する。
最後は危ないかけだったが、僕はダンジョン20階層を突破した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
本来なら魔結晶というアイテムを使って強力な閃光を浴びせておびき出し、弱ったところを一撃で倒すのだが、唯一は知らないのだった。
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