第9話 時々、思いっきり泣こう
私はビールを何本も買って、敢えて夜中に飲み、寝ない程度に睡眠導入剤を少し飲み(よくないことなので決して真似しないでください)、元彼を思い出して時々思いっきり泣く。
次の日スッキリしているかと言うと、別にそうでもない(笑)
でも泣くことはストレス解消にとてもいいことだと科学的に証明されているようだし、「涙活(るいかつ)」と言う敢えて涙を流す活動グループみたいなのもあるようだ。
泣くことは恥ずかしいことじゃない。
私の場合は一人で泣いているし、大声出しているわけではないので、誰にも迷惑をかけずにストレス解消しているのだ。アルコール以外にお金もかからない。
そしてもう一つ必要なのは泣ける音楽だ。
もう最高だ。涙が溢れて溢れて凄いことになる。
私は目が腫れやすいので、次の日はお岩さんのようになってしまう。
なので働いていた時は金曜日や土曜に泣いていた。
元彼が美術関係の人だったので、よく手書きの自作イラストのはがきを送ってくれた。そして手紙もよく送ってくれた。
私は未だにそれらを捨てられずにいる。
もう恋愛をすることもないだろうから「自分がこんなにも愛されたことがある」という証を死ぬまでとっておきたいという心情からである。
本当は捨てなきゃいけないんだけどね。
そのはがきや手紙を何回も読み返して、泣くのである。
彼はもう既婚者。子供もいる。
別にやり直したいわけじゃない。今、彼が離婚して、私に交際を申し込んできたとしても私は断るであろう。
恐らく、いや恐らくではなく、確実に執着なのだ。
10年も付き合った私を捨てて、違う女を選んだ彼への執着なのだ。
結婚する約束もしていたし、お互いの両親にも会っているし、友人たちにも紹介していた。
そりゃ執着するでしょ。
ムカつくでしょ。
私は不幸のまんまで、元彼は幸せになっている。そりゃ大泣きしていいでしょ。
ぶん殴ってやりたい。それを我慢して、酒飲んで大泣きして、悲劇のヒロインしている私なんて、とっても可愛いものじゃないか。
刺されないだけ、有難いと思え。
みんなも辛いことがあったら、悲しい曲をかけて大声だして泣けばいいよ。
スッキリしなくてもいい。「泣く」ってとても自然で、人間らしい行動だもの。
全然恥ずかしいことじゃない。
私はこれから先も、ビール片手に何回も何回も泣くよ。
そして、いつか元彼から貰ったはがきや手紙を捨てられる日が来ますように。
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