第2話 異世界

 あーもうこれ完全に異世界的な奴じゃん。

 録画しといたアニメの中にも異世界物がいくつかあったよな。

 どうやらスライムでも剣でもなくてほっとしたぜ。

 ワンチャン、スライムは有りか?

 いやいや、あのスライムは生まれたときからチートですやん。

 俺みたいな蔦に殺されそうな凡人には無理だな。

 しかも無性は嫌だな、俺ってばプレーボーイだし人でよかった。


 俺のスキルは[メモリー]ってスキルみたいな。

 触れた相手のスキルをコピー切り取り貼り付け保存できるみたいだ。

 これってかなりいいスキルなんじゃね?

 何かデメリットはあるのかな。

 そのへんは落ち着いてから検証だな。


 とりあえず状況確認したいから洞窟に戻ろう。

 あの落ちてた装備もボロボロだけど無いよりましだろうから持っていこう。

 こいつにも分かったことを説明してやらないとな。


「どうやら異世界に来てしまったようですね。状況確認とかしたいので洞窟に戻りましょう」


「はぁ?異世界?なんやそれ」


「あー、とにかくここは危なさそうなので一旦洞窟に戻りましょう」


 俺がそう言うとしぶしぶ後について洞窟に入ってきた。


「とりあえず状況確認をしましょう。異世界ってワードの意味わかりますか?」


「なんかアニメとかのやつやろ?聞いたことくらいはあるわ」


「そうですね、私たちは元居た世界とは違う世界に飛ばされてしまったみたいです。変な蔦みたいな化け物がいたり、スキルが使えるようになったので。たぶん魔法とかもあるんじゃないですかね」


「なんやそれ、ゲームの話か?」


「ああ、そうですね。ゲームの中に入りこんだって感じですね。実際にはゲームの中ではないとは思いますけどその可能性も少しあるかもしれないですね」


「へー、なあとりあえず大阪に帰りたいんやけど、どっちに向かえばええんや? 大きい道路にでたらタクシーくらい拾えるやろ」


「いや、だからここはたぶん地球じゃないんです。いやまだ確信はないですけど。大阪どころか日本にすら帰れないですよ!!」


「はぁ?なにしてくれとんじゃぼけ。いいから早くかえらせろや」


 はぁー、なんだよコイツ、マジでめんどくせーよ。

 もうなんでもいいから早く大阪に帰ってくれ。

 この脳筋やろう。

 ああ、そうだ、こいつにスキルの説明してやると分かってくれるだろうか。

 俺のスキルは最初から持っていた[メモリー]ってスキルとこいつから奪った[強奪]と[吸収]だな。

 こいつの今のスキルは[強奪]と[吸収]のはずだ。

 ライフスティールは触れた相手のエネルギーを奪うんだっけ。

 実際に使ってみてわかってもらうしかないかな。 

 でもこいつにエネルギー奪われたくねー。

 それにコイツに俺のスキル[メモリー]がばれたらスキル目当てでいずれ殺されかねん。

 そうだ、俺も最初から[強奪]のスキルを持ってたって事にしてさっき俺も[吸収]ゲットしてたってことにしとこ。

 こいつには絶対[メモリー]のことは一生教えないでおこう。


「あの、さっきスキルがどうのって言ってましたよね。もしかして[吸収]のスキルをゲットしたんじゃないですか?」


「ああ、確かにさっき九州がスキルを監督しましたって聞こえた気がするわ」


 吸収のスキルを獲得しました、かな?

 

「ですよね。さっきあなたがスキルってなんやって言った後に私にも聞こえてきました。たぶん私もあなたも[強奪]ってスキルを持っていてあの蔦を倒したから蔦の持っていたスキル[吸収]を獲得したんだと思います。倒した魔物のスキルを奪えるみたいですから。じゃあ試しに[吸収]やってみますよ。[吸収]は相手のエネルギーを奪うスキルです。たぶん少し疲れた感じになると思いますよ。」


 俺は手を差し出してこいつの腕を掴んだ。

 掴んだ瞬間は何も起こらなかったが、頭の中でエネルギーを吸い取るイメージを浮かべるとヤンキーのエネルギーがじわじわとこちらに流れてくるのが分かった。


「な、なんや。急に力が……。おい、もうやめろっ」


「はい、これが[吸収]のスキルです」


 ヤンキーは徹夜明けのおじさんみたいな顔をして座り込んでしまった。

 ちょっと吸いすぎたかな。

 まあ怒ってないみたいだしいいか。

 そういえばまだ自己紹介もしてないんだっけ。

 おとなしくしてる今のうちに自己紹介してしまおう。


「大丈夫ですか?とりあえず楽にしてください。そういえばまだ自己紹介してませんでしたよね。私は中谷優志。31歳。会社員です」


「ああ、トーマ。27や」


 トーマ?

 とうま、斗真、透真、闘魔?

 いやいや、見た目に引っ張られすぎたな。

 たぶん普通に斗真だろう。

 年齢は年相応って感じだな。

 職業は?

 老人に片っ端から電話掛けるような仕事の人じゃないだろうな。

 建築関係だろうか。

 まあいいや、しばらくは一緒に行動することになるだろうし、仲良くやっていかないとな。


「とりあえず人を探しましょう。言葉が通じるかわかりませんが、異世界召喚や異世界転移なら言葉が通じるのが定番ですから大丈夫だとは思います」


「ああ、とりあえずなんでもええから任せたわ」


 明らかに元気がなくなったがこっちとしてはやりやすくていい。

 定期的に[吸収]してやろうかな。

 よし、とりあえず人を探さないと。

 おなかも減ってきたし水も確保しなくちゃいけない。

 この洞窟にはベットや武器、食器もあるし革の水筒も見つけたからこの世界にもたぶん人もいるはずだ。

 近くに食料や水辺もきっとあるはず。

 異世界にきて一週間で飢え死にしましたなんて嫌だな。

 死に戻りできたとしても飢え死にはいやだ。

 たぶんできないけど。

 洞窟に転がってる装備を拝借してまずは洞窟の周りを探索して近くに人がいなさそうならそれなりの準備をしてから人里を探さないと。

 冒険者ギルドはあるんだろうか。

 魔法とかも使えるようになるかな。

 

 あと出来ればエルフの彼女が欲しいです。 

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