第4話
「おはようございます。今日は何をすればいいですか?」
騎士団長様の執務室をノックし、中にいた補佐官様に声をかける。挨拶はきちんと。これ大事だよね。
「やあ、ユリウス。おはよう。今日は急ぎのものはないから、弓の稽古に行っておいで」
補佐官様の言葉にちょっと気持ちがウキウキしちゃった。だって稽古に行けるんだもの。ちょっとでも上達したいよね。
「はい!行ってきます!」
勢いよく返事したから補佐官様に笑われちゃった。いけない。いけない。
「元気なのはいいことだ。頑張って稽古しておいで。午後は一度こちらに来てくれるかな。もしかしたら頼みたい用事があるかもしれないからね」
「わかりました。では行ってきます」
補佐官様にお辞儀をしてから執務室を出る。
稽古できるのが嬉しくて思わず跳ねちゃいそうになったけど、ガマンガマン。ここは家じゃないし、僕は見習いに来てるんだからはしゃいじゃダメ。
そうはいっても嬉しい気持ちは顔に出ちゃったみたい。すれ違うメイドさんや執事さんにクスクス笑われちゃった。みんな、「稽古頑張って」って言ってくれるの。応援してくれるの嬉しいよね。
弓の稽古場につくと、矢を放つ時の音や的に弓があたる音が聞こえてくる。僕は矢を放つ時の音が好きなんだけど、まだまだ騎士様たちのようないい音にはならないんだよね。年齢的にも筋力をつけるよりも体が成長するような訓練をしているから、仕方ないんだけど。それに弓も子供用だしね。これも体の成長に合わせて弓のサイズは変えていくって言われてる。
僕の弓の師匠はライナルト様っていうの。ライナルト様は弓の達人なんだ。馬上からでも狙った獲物を射ることができるんだよ。すごいよね。
「ライナルト様、今日はよろしくお願いします」
稽古場にいたライナルト様を見つけて、挨拶をする。ちゃんと稽古場に入る前に僕が練習に使っている弓と練習用の矢は持ったよ。弓の弦もたるんでないか確認をする。僕は自分専用の稽古用の弓は持ってないから、同じ見習いの子と共用なんだ。時々使った子が手入れ忘れてたりすることもあるから、ちゃんと稽古前に確認しないとね。森に入るときは自分用のものを使うけど、稽古用は騎士団のものを使ってるの。僕、事務のお手伝いとかが多いから弓持って歩けないからね。
「お、ユリアン。今日は朝から稽古できるのか。じゃあ、まずは構えから順に見ていくか」
ライナルト様の言葉にしたがって、的へと向かい弓を構える。なかなか稽古出来なかったから、姿勢や以前言われたことを忘れていないか細かく確認される。
「ああ、右肘が下がってる。そのままの姿勢を保つ。……ほら体が揺れてきたぞ」
ライナルト様から注意される。この姿勢結構きついんだよね。でも基本の姿勢だし、きちんとできていないと狙った的に矢が飛んでいかないから、いつもここは時間をかけて修正されるんだ。僕、森に行くから体力はある方だと思うんだけど、体幹とか鍛えないとダメかも。
「ユリアン。体幹を鍛える訓練入れた方がやっぱりよさそうだな」
案の定、ライナルト様にも体幹のこと言われちゃった。今はまだ地上での矢を射る訓練だけだけど、そのうち馬上からとかも訓練に入ってくるだろうし、体幹は鍛えないとダメだよね。
その後もライナルト様からの細かい指導は昼まで続いたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます