第15話 図書館でばったり①
秋といえば何を思いつくだろうか。
食欲の秋。運動の秋。
いや、秋といえば読書の秋だ。
ということで正輝は午前中、地元の県立図書館にやってきていた。
正輝は読書家だったりする。
家にいる時間は勉強をするか、家事をするか、読書をするかのどれかだった。
この、県立図書館にもよく通うヘビーユーザーだ。
さて、今日はどんな本を借りようか。
正輝は小説のコーナーを歩く。本棚に並んだほんの背表紙を眺めながら、面白そうなタイトルを探す。そうやって、出会った本が意外と面白い本だったり運命の一冊になったりする。もちろん、面白くないときもあるけど。
指で背表紙をなぞりながら、本を選んでいく。
「あ……」
「あ……」
背表紙にばかり集中していて正輝は周りに人がいることに気が付かなかった。そして、たまたまその人と同じ本を取ろうとして手と手が触れた。
「すみません」
「いえ、こちらこそすみません」
あれ?
この声どこかで聞いた事かる気がする。そう思って正輝は横を向いた。
そこに立っていたのは絶世の美女のお隣さんだった。というのは、まあ、あながち間違ってはないんだけど。顔だけなら。真帆は上下白色のジャージ姿だった。
「真帆さん……」
「あれ、正輝君……」
手が触れた相手が正輝だと気が付いた真帆は満面の笑みを浮かべた。
どうやら、真帆も本を選ぶのに夢中になって正輝のことに気が付いてなかったらしい。
「どうして真帆さんがここにいるんですか?」
「どうしてって、もちろん本を借りるためだよ」
「真帆さん、本、読むんですね。意外です」
「え~。私のことなんだと思てるの。ひどい~」
そう言って頬をフグみたいに膨らます真帆。
「すみません。だって、意外だったんですもん」
「なんか、バカにされてる気がする……」
「そんな、バカになんてしてませんよ……」
戸惑う正輝。その目は泣きそうだった。
「ごめん、からかいすぎたね」
「……」
「泣かないで、何でもするから」
そんな、正輝を見て、真帆まで戸惑うことになった。
真帆はどうしていいか分からず、あたふたとしていた。
「何でもするって言いましたよね」
「……うん」
「じゃあ、真帆さんのオススメ本を教えてください」
「え、そんなことでいいの?」
「はい。教えてくれたらさっきのことは許してあげます」
「そんなの聞いてくれたらいつでも教えるのに」
「じゃあ、お願いします」
正輝は手で涙を拭うと真帆がオススメしてくれる本を楽しみに待っていた。
真帆の後ろについて正輝は今いる本棚の反対側に回った。
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