第39話 vs親衛隊

連鎖電撃チェーンライトニング!」


王宮の広間を、私の放った電撃が所狭しと暴れまわる。

魔法を受けて倒れた兵士達はピクリとも動かないが、もちろん殺してはいない。

本来なら丸焦げ物の魔法だが、殺生は禁止されているのでかなり威力は押さえてある。


「もう一発!連鎖電撃チェーンライトニング!」


再び電撃が走り兵士達を薙ぎ倒していく――が、突然電撃が弾けて消える。

そこには白銀の鎧を着た騎士が5人立っていた。


「好き放題やってくれる。だが我らレイゲン親衛隊が来たからには好きにはさせんぞ!」


親衛隊のお出ましだ。

彼らの身に纏う白銀の鎧はミスリル製だろう。


ミスリルは鋼を超える硬さに、魔法に対する高い耐性を誇る糞高い物質だ。

流石親衛隊だけあっていい装備をしている。

だがいくら魔法抵抗が高かろうとも、天才である私の莫大な魔力ならば消し飛ばす事は容易い。


容易いのだが……それをやると中の人間は魔法の威力に耐え切れず、確実に命を落としてしまうだろう。


それに周りの建物へも相当な被害が出てしまう。

折角魔法を解禁されたので魔法でごり押ししたかったが、此処は体術と合わせて対処するしかなさそそうだ。


あー、めんど。


噴霧フォッグ!」


素早く魔法を詠唱し、霧を発生させる。

毒の含んだ霧でないのは、私にも影響があるからだ。

まあ魔法で解毒しつつ戦うのも手だが、それはそれで面倒臭いのでパス。


濃い霧が宮殿内に発生し、完全にお互いの姿が見えなくなる。

視界は完全に0だ。


だが問題ない。

私は全身から魔力を放射し。

その魔力の反射や動きから、相手の位置や動きを特定する事が出来る。

つまり相手は私が何をするのか分からないのに対して、此方からは相手が丸見えという事だ。


私は視界の奪われた騎士へと突っ込んだ。


一方的にぼこぼこにしてや――


「うわっ!?あぶな!」


親衛隊が振り下ろした剣を、咄嗟の動きで躱す。

今のは出鱈目ではなく、明らかに私を狙ったものだ。


まさか見えてる?


取り敢えず横に大きく飛んでみる。

その動きに合わせて敵が動いた。

仕掛けは分からないが、どうやら冗談抜きで私の動きを正確に捉えている様だ。


流石は、王家を守る役割を担う親衛隊と言った所か。

どうやら、そう簡単にはいかせてくれないみたいね。


「となったら!魔包剣マシュマロソード!」


私は魔法を唱え、手元に魔法の剣を生み出した。

魔力で強化しているとはいえ、素手で親衛隊相手に5対一はきつい。

魔包剣を使わせて貰う。


魔包剣を手に、私は再び親衛隊の一人へと突っ込んだ。

その私の顔目掛けて、剣が振り下ろされる。


私はそれを――


「なんだこれは!?」


魔包剣で受けて包み込んだ。

自身の剣に起こった異変に親衛隊が声を上げる。


これぞ私のオリジナル魔法。

魔包剣マシュマロソードの効果だ。


この魔法は衝撃を少しでも受けると、衝撃を加えた対象をクッション状の魔力が包み込む魔法である。

一旦これに包まれれば、剣も只のスポンジの様な柔らかい棒に早変わりって寸法よ。


私の魔法は相手の剣だけではなく、それを持つ手も同時に包み込む。

その状態では武器が手放せない。

これで一人無力化だ。


魔法を受けた騎士が必死に私を叩く。

だが痛くもかゆくもない。

私はそれを無視して両手に魔包剣を生み出し、次々と騎士達を無力化していく。


「お、おのれ!面妖な魔法を使いおって!」


ザ・負け犬の遠吠えだ。

私はそいつの足を掴んでジャイアントスイングする。


「くらえい!」


その手を離し、別の騎士にぶつけると2人の騎士が動かなくなる。

ミスリルの唯一の欠点はその重さにある。

そんな糞重い重騎士同士が勢いよくぶつかったのだ、その衝撃は結構な物だ

二人は完全にのびている。


「ぎゃあああ」


次の相手の足を掴みぶん投げる。

これで4人。

残すは一人だ。


「王族はどこ?」


「誰が貴様などに!!」


「あ、そ」


一応聞いて見たが、答えてくれないのは分かっていた。

腐っても親衛隊なんだしね。

私はそいつの膝裏を蹴り、膝がついた所で顔面を蹴り飛ばす。


制圧完了。


私は広間の奥にある階段を昇り、2階を目指した。

偉い人間は高い所にいると言うのが相場だからだ。


決してこれは偏見では無い!


……はず。

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