第14話 競争

私達は今、城塞都市ガルザスを目指している。

冒険者の2級に上がったはいいが、前に居た街では大した依頼しごとが受けられない為、ガルザスに移動する事に成ったのだ。


冒険者の2級まではとにかく依頼の数をこなせば良かったが、1級はそうはいかない。それ相応の依頼をこなさなければ、数だけでは上がれない様になっている。

まったく冒険者ていへんの昇格だというのに、糞生意気で面倒臭い仕様だ。

腹が立つ。


因みに、この旅の間に普通は人が通らない様な場所で山賊崩れに2度襲われたが、両方とも私が瞬殺しておいた。魔力のコントロールは最早完璧と言っていいだろう。


この短期間で極めるとか、流石私としか言いようがない。

給料アップしないかな?


「しないわ」


心が読まれた様だ。

お嬢様は超能力者なのだろうか?


「口に出てるぞ?」


ペイルの一言で衝撃の事実が発覚する。

どうやらお嬢様が超能力者だった訳では無く、私がうっかり者だっただけという新事実が!?


「態とだと思っていたが、まさか気づいていなかったのか?呆れた奴だ」


黙れチビ。

女の独り言を愛嬌と笑って済ませられないとか、なんと器の小さな事か。

心筋梗塞か何かで死ねばいいのに。


「やれやれ」


ペイルが溜息を吐きながら首を横に振る。

ムカつく態度だ。

因みに今のは態と口に出して言っている。


これぞ独り言風悪口よ!

恐れおののくがいい!


「ガルザスが見えてきましたわね」


お嬢様の言葉に目を凝らす。

その際魔力を籠めて視力アップさせる。

すると微かに、壁に囲われた城塞都市の姿が見えた。


因みにお嬢様は、瞳に魔力を籠めての強化など一切していない。

幾らなんでも目が良すぎる。

この人の前世は鷹か何かだったのだろうか?


「取り敢えず、競争しましょうか?貴方が勝ったら、小遣いカットは解除してあげるわ」


「合点でい!」


私は言葉と同時に弾丸の様に走り出す。

フライングもフライング。

超フライングだ。


世の中勝てばよかろうなのだ!




あっさり負けました。

それも圧倒的大差で。

世の中理不尽だ。


でも頑張ったという事で、カット率が95%から30%に緩和されたので良しとしよう。

さー、頑張って稼ぐぞぉ!

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