第15話

あっという間に月日が流れた。


その間は、変わり映えの無い日だった。

それが、幸せなのかもしれない。


今では、香耶ちゃんがいるのが当たり前だが、もうすぐ・・・

いや、考えるのはよそう。


香耶ちゃんと食事中に話す会話が、何よりのご馳走だ。

しばらく、味わっていなかったな。


「お兄ちゃん」

「どうした?香耶ちゃん」

「真矢お姉ちゃんは元気?」


フランスにいる、憎たらしくて可愛げの全くない妹の真矢・・・


「生きているんじゃないか」

「どうしてわかるの?」

「死んだら、連絡くるだろう」


今、香耶ちゃんから訊かれるまで、真矢の事はすっかり忘れていた。


「香耶ちゃん、受験はいつだっけ?」

「入学試験?」

「ああ」

「来週の水曜日だよ」

「リモートで?」

「ううん。学校。リモートならカンニングし放題になるよ」

「確かに」


まあ、密はさけるだろう。


「戦闘準備は出来てるか?」

「任せて。絶対に合格するから」


とても、自信に満ちていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る