第10話

私は完全文系。

理系は理解不能。


小説を読んでいる時が何よりの至福。

読んでいる時は、登場人物になりきる。


文学部を希望したのも、そのため。


でも、登場人物の心理は作者のみぞ知る。


昔、どこかの大学で、「この登場人物の心情を述べよ」という、問題が出た。

それに対して、同じ回答をした多数の不合格者が出た。


でも、実はその答えが正しくて、作者からクレームが来て、合格になった。


・・・という話を聞いたことがある。

私の生まれる前なので、詳しくはわからないが・・・


とりあえずは、過去問題をやろう。

集中していたら、時間が早い。


あっという間にお昼になった。


「あっ、そうだ。お昼はどうしよう?

勝手に作ったら、お兄ちゃん怒るな」


でも、背に腹は代えられない。


私は台所に降りて行った。

すると、食卓の上に食事が用意してあった。

みるからに、ランチという感じだが、手紙があった。


「香耶ちゃんへ


簡単だけど、作っておいた。

迷惑だったら、ごめん。


でも、味は保証する。


これ食べて、受験がんば


お兄ちゃんより」


そのランチは、とてもしょっぱく感じた。

とても、美味しかった。









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