第6話

「時に香耶ちゃん」

「何?」

「受験はいつ?」

「うーんと、来月かな」

「そうなんだ・・・私学・・・だよね?」

「そうだよ」


お鍋は冷めた。

お鍋の意味がないが・・・


「じゃあ、明日は必要なものを買いに行こう」

「お兄ちゃん行ってきて。私は勉強」

「女の子の事は、わからん」

「じゃあ、お姉ちゃんのを使う」


さすがに、衣だけは、そうはいかないだろう・・・


「でも、いくつか持ってきてるから、くたびれたら買いにくよ」

「わかった」

「家の事は、私に任せて、お兄ちゃんはお仕事がんばってね」

「頼んだよ。奥さん」

「うん。旦那様」


こうして、共同生活が始まる。

始まる・・・


「お兄ちゃん」

「どうした?」

「これ、忘れてた」

「何?」

「お父さんからの、手紙」


おじさんからか・・・


開けてよんでみる。

ふむふむ・・・


えっ?

本当ですか?


ああ、そういう事ね。


えっ?

それは、さすがに・・・


あっ、いや

わかりました。


「お父さん、何だって?」

「煮るなり焼くなり好きにしてくれって」


身内とはいえ、大切な我が子、

しかも、年ごろの女の子を、独身の男性の家に預けていいのか疑問だが・・・


安心されているのか?

人畜無害と思われているのか?


「お兄ちゃん、何ぶつぶつ言ってるの?」

「黙ってたら、伝わらないだろうし、手抜きに思われるだろう・・・」

「誰に?」


大人の事情です。

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