第5話
「はい、出来たよ」
「何これ?」
「鍋」
そう、鍋は簡単だ。
鍋を不味く作るのは、逆に器用だ。
「私、お鍋苦手なのに」
「贅沢言うな」
「だって・・・」
「だって」
香耶ちゃんの鍋が嫌いな理由は・・・
「嫌いじゃないの。苦手なの」
「どっちでもいい。ある条件を満たせば、食べられる」
「その、条件とは?」
結論から言えば、彼女はネコ舌だ。
熱いのが、苦手らしい。
なので、条件とは冷めることだ。
「でも、せっかくお兄ちゃんが作ってくれたからいただくね」
「おう。たくさん食え」
「いただきます」
手を合わせる香耶ちゃん。
この辺りはしっかりしているみたいなんで、安心した。
「香耶ちゃん」
「何?」
「食事中に訊くのもなんだけど」
「うん」
「どこ受けるの?」
「Y大の文学部」
そういや、昔から読書が好きだったな。
インドア、アウトドア、両方OKだ。
「香耶ちゃんは、アレルギーとかあるの?」
「アレルギー?」
「うん」
「花粉症」
それは、辛い。
もうじき来るな・・・花粉さん
来なくていいのに・・・
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