ぶらついてて出会った少女の手伝い&冒険者をする

第17話 幼馴染との再会

　キシとレイは、アースィマからお遣いを頼まれ、材料を買っていた。

「にしても、ビダヤってほんと人多いな」

「まぁここら辺じゃ、一番大きな街だからね」

　キシは前世、北海道生まれであるが、国道が近かったため、人も多い地域だった。

しかし、大都会ビダヤの大通りは、まるで東京のアメ横のようだ。

　ここに来てからそれなりの時間が経っているが、やはり慣れないのであった。

「少し時間があるから、あそこの噴水のところで休もう？」

「おう」

　2人は噴水の所まで行くと、ベンチに腰を下ろす。

「ねぇキシ」

「ん？」

「あの、その……」

「どうした？顔赤いけど」

　レイは身を乗り出し、キシの顔にぐっと近づける。

「アースィマを何とかしてくれない？」

「―――は？」

「最近、アースィマがわたしにしつこく聞いてくるの！ キシとはどうなのって」

「ま、まじか……」

　キシは目下に青筋を浮かばせる。

最近アースィマはキシにしつこく尋問をする事は無くなった。

これで一安心、だと思っていたが、標的はレイに変わった。

　付き合いの長いレイなら、吐いてくれるだろうとアースィマは行動を移したのだ。

「ほんと懲りねぇな……」

「何か解決方法ない？」

「いやねぇよ」

「えっ！？」

「いや、えっ！？って言われてもなぁ。

あれはもはや病気じゃないか―――」

　キシは突然言葉を止めた。

「キシ？」

　キシはレイの問いかけに答えず、そのまま立ち上がり、走っていく。

「キシ！？待って！」

　レイはキシについて行く。

キシは前にいる2人組の名前を呼んだ。

「ヒカルー！、ラーン！」

　すると、2人組は後ろを振り向いた。

「「キシ！？」」

「久しぶりだな！」

「ほんとにキシ、なのか？」

「あぁ、そうだ」

「キシよ！本当にキシよ！」

　金髪の女性は、キシに抱きつく。

それに続いて、緑髪の男性もキシに抱きついた。

　その光景を見ていたレイは、何が何だか分からず、呆然としていた。

「会いたかったぜ、キシ」

「俺もだよ、ヒカル」

「キシ？後ろにいる小さい子は？」

「あぁ……」

　キシはレイの方を振り向くと、

「レイ、紹介しとくね。

俺の幼馴染のヒカルとランだ」

「「よろしくね」」

　2人はほぼ同時に言ったが、ランは手を振りながら挨拶をした。

「えっと、レイです。よろしくお願いします……」

「レイちゃんかー。可愛い子ね」

「そ、そんな……可愛いだなんて……」

「キシ、お前……」

「ん？」

「いつ間にそんな男になっていたのか……。

幼馴染として、俺は嬉しいぞ！」

「泣くほど！？

ってか、俺とレイはそんな関係じゃねぇよ」

「えっ」

「いや、えっ、て言われてもなぁ」

「ほらほらー、キシそんなこと言わないの。レイちゃん悲しんじゃうじゃない」

「そんなはずが―――なんかレイが悲しい顔してる！ なんで！？」

「「ふーん、やっぱりね」」

「ニヤニヤしながら言うなっての！」

◇◇◇

「さってと……」

　宿舎に戻って来たが、ヒカルとランがキシと共に行動したいと言うことで、キシの部屋にみんなが集まっている。

「改めてだけど、ほんとに久しぶりだな2人とも！」

「へぇー、結構いい部屋じゃん！」

「俺達もここにするか？」

「Good！」

「俺の話聞いてるか？」

　相変わらずヒカルとランは能天気である。

それは、前の世界にいた時から変わっていない。

「そういや、2人はどうしてこの世界に？」

「それはー……」

「2人で一緒に死んでしまったからであります！」

「いや、そこハイテンションで言うところじゃないから……」

「えへへー」

「ランは相変わらずだな……。

でも、このやり取りはあの頃を思い出すなぁ。

斎藤晃（さいとうひかる）、カネラ蘭、影山岐志の三銃士は……」

「あぁ……」