第14話 カップルは似た者同士……だと思う

 オーウェルと話をしながら、風呂から上がってきたキシ。


「お、レイ。ぐっすり眠れたか?」


「うん!気持ち良く起きれたから、お風呂に入ったんだ」


「そうか、よかったよかった」


 オーウェルはキシの顔を覗き込む。


「なんだ?」


「噂に聞いていたが、本当に2人は仲が良いんだな」


「ニヤニヤしながら言わないでくれよ……」


 キシは呆れていたが、レイは顔を紅くし、目を逸らす。


「あら、オーウェル。お疲れ様!」


「おう、アースィマ」


 オーウェルはそう言うと、アースィマの肩に手を回す。


「あ、そういえば言い忘れていたが……。

俺のガールフレンド、いい経営者だろ?」


「えっ、オーウェルに彼女いたのか!?

しかも相手はアースィマさんだと!?」


 キシは思わず仰け反った。

アースィマ、レイの方を見ると、こくりと頷く。


「まっまじか……でも、お似合いじゃないか」


 キシはそう言うと、オーウェルは親指を立てた。

 すると、アースィマはオーウェルの裾を優しくクイッと引っ張る。


「そうそうオーウェル。

この前レイちゃんがね、キシさんの部屋に来てたんだよ」


「えっ、ちょっ……」


「ほぅ……そうなのか?」


「アースィマさん!なんでオーウェルにそんな事すぐばらすんですか!」


「うふふ」


「いや、うふふじゃなくて!

ほ、ほらレイも何か反論してくれ……」


「……ぷい」


「なんでそっぽを向くんだ!

お願いだ、頼むって!俺殺されそうなんだけど……」


「つーん……」


「ほらほら、レイちゃんはそうでも無いみたいよ」


「さすがだな、キシ。そんな男だったのか」


「いやだから違うっての!

いつになったらこの地獄から抜け出せるんだー!?」


 2人による尋問は続いた。




◇◇◇




 キシはベットにうつ伏せになっていた。

結局、先ほどの尋問はかなり長引き、時刻は23時になっていた。

今回で知ったこと、というよりは再確認したこと。

それは、


「やっぱり、カップルって似たもの同士だよなぁ……」


 前世で通っていた高校でよく廊下でイチャつく男女カップルを見かけたが、お互い似たもの同士が多かった。

 というのは、男女2人の性格、私生活などだ。

周りからは好評だった者は、同じような者と付き合う。

逆に、あいつはヤバい、と言われている者はヤバそうな者と付き合う。

 『類は友を呼ぶ』ということわざがあるが、まさにこの事だ。


「今回に関しては、2人とも性格がとても良い人で、恋バナは超がつくほど好きなんだろうな……」


「ほんとそうよね」


「うわぁ!びっくりした!」


「ふふふ……キシってほんと面白いね」


「そ、そうかな?」


「うん」


 そう言うと、レイはキシのベットに座る。

そして、空を明るく照らす月を仰いだ。

その姿はあまりにも合いすぎていて、どこか悲しいような雰囲気を漂わせていた。

 その姿を見たキシは思わず見惚みとれてしまっていた。


「……どうしたの?ぼーっとして」


「え?あ、いや―――何でもない……」


 キシは頬を紅くして視線を逸らした。


「そう……」


「「…………」」


 しばらく、2人の沈黙がつづく。


「ねぇキシ」


「ん?」


「きょ、今日は自分の部屋で寝るね」


「え、あ、うん。なんで?」


「いや、だってアースィマさんが……」


「あ、あぁ……そうだよな。俺もその方がいいと思う」


「いや、そうじゃなくて……」


 レイは部屋の扉の方へ視線を移す。

そこにはアースィマが―――。


「……っ!アースィマさん!

なに覗き見してしてるんですか!」


「相変わらず仲がいいわね。

この後がとっても楽しみだわ!」


「ちょっと待ってください!

勝手に人の部屋を覗き見しないでください!ストーカーで訴えますよ!」


 アースィマは「ハイハイ」と言いながらキシの部屋からはけた。


「もー、何とかしてくれ……」


「あはは……」


 流石にレイも苦笑した。


「それじゃ、わたしは部屋に戻るね。」


「わかった」


「おやすみ」


「おやすみー」


 この時、レイは少し寂しい思いをしていたことに、キシは気づいていなかった。

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